佐藤竹善による3枚目のクリスマス・アルバム『Your Christmas Day Ⅲ』。竹善自身がセレクトした洋楽カヴァーにオリジナル楽曲を織り交ぜ、全曲英詞による、ヴォーカリスト佐藤竹善の魅力を余すことなく伝える1枚。今作では世界的パティシエとして名高い「パティシエ エス コヤマ」のオーナーシェフ・小山進氏とのコラボレーションが実現。小山氏が発表した新作ショコラに込めた物語を元に、佐藤竹善が書き下ろした約10分の大作「The Lost Treasure ~The Adventures of Jaime~」を収録。またCDジャケットは小山氏が今作の為に制作した苺ショートケーキを全面に使用、ブックレット中面にも小山氏の作品の写真を多数掲載し見た目にも楽しいアートワークとなっている。
このアルバムに唯一収められるオリジナルの新曲「The Lost Treasure ~The Adventures of Jaime~」。今年10月フランス・パリで開催された世界最大のチョコレートの祭典「SALON DU CHOCOLAT 2015(サロン・デュ・ショコラ)」で最高位のゴールドタブレットを獲得した小山氏が新作ショコラ『SUSUMU KOYAMA’S CHOCOLOGY 2015』で表現した、4つの章からなる壮大なストーリーを元に、竹善が書き下ろしたキャリア初の組曲だ。楽曲制作にあたって、小山氏が創造したストーリーを五感で体感すべく、新作ショコラ『SUSUMU KOYAMA’S CHOCOLOGY 2015』を竹善が試食する場が設けられた。その時の竹善と小山氏の対談の模様をレポートする。
- ■ 小山氏の熱いレクチャーを受けながら、一粒一粒じっくりと試食する竹善
- 小山「今から召し上がっていただく4つのチョコレートがチャプターになっているんです。1つ目が『アルアコの誓い』、2つ目が『草原の少女』、3つ目が『黄金の果実を探しに日本にいく』、そして最後が『ニワトコの森にいる魔女から捕らわれている美女を助ける』、そういうストーリーなんです。この“助ける"ということに、“文化を取り戻す"という意味が深い根底としてあるんです。ですから、クラシックのように、チャプターの要素があるというのもありがたいですし、根底にある“取り戻す"という思いが詞の世界に出てくる、というのも嬉しいですね」
- 佐藤「そうですね。今の世界事情的にも、いろんなメッセージになりますよね。楽章で曲を書くっていうのはいいなと思います。よくここまで形にされましたね」
- 小山「とにかく今日までに形にしないといけないなと思って」
- 佐藤「アハハハ、そうか。頑張っていい曲にしますよ」
- 小山「では、早速試食をしていただきたいんですが、まず一つ目は、アルアコ族のカカオで作っています。カカオって実はフルーツなんです。ライチとマンゴスチンを足して二で割ったような味がするんですね。それに糖度があるから発酵するんです。その発酵した旨味や香り、渋味や酸味がいろいろ入ってカカオ豆になるんですけど、カカオフルーツの果肉自体が手に入ったので、それを瞬間冷凍で輸入して、同じくカカオから生まれたチョコレートと合わせてるんです。これはたぶん世界で初めてだと思います」
- 佐藤「ああ、美味しい。非常に上品な味がしますね」
- 小山「2つ目は、カモミールをミルクで煮出して香りを移し、それとエクアドルのカカオを合わせ、そこにイチゴとグロゼイユを加えてツートンにしています。僕自身はイチゴは少女的な印象があって、そこにグロゼイユの渋味と酸味のある、ちょっと綺麗な大人の女性のような素材を合わせると、背伸びした大人になりたい女の子、のようなイメージになるんです。ベースはミルクチョコなので、ふわ~っとカモミールの香りが漂って、そこに優しいベリーの味が入ってくると思います」
- 佐藤「ほんとだ。僕は全然グルメじゃないんですけど、それ分かりますよ。わ~、嬉しい」
- 小山「3つ目は宮崎県の日向夏と、イタリアのヘーゼルナッツを合わせたチョコレートを作りました。日向夏は種も果汁も皮もわたも全部使ってます」
- 佐藤「これは一つ目と二つ目のものとは随分違いますね」
- 小山「噛む楽しさもありますよね」
- 佐藤「まさに起承転結の転、という感じですね」
- 小山「そして、4つ目はミステリアスな雰囲気と味を持ったペルー産のカカオが手に入ったからこそ生まれたショコラです。食べた瞬間、『これはエルダーフラワーやカシスに絶対合うぞ!』と直感しました。また、色もミステリアスな紫色が似合うようなチョコレートが創りたい、と思っていたのでカシスを使い、さらにエルダーフラワーの香りでいっそうミステリアスな雰囲気を醸し出しました。 」
- 佐藤「これは初めて食べる味ですね。味が3層にも4層にもなってる」
- 小山「立体的ですよね。僕が表現したい形が、一番最後に凝縮してるというか。ショコラってこんなに立体的に口の中で感じるんだなってことを味わっていただきたいなと思いました」
- 佐藤「これは本当に食べたことない味ですね。ドラマチックに広がっていきます。素晴らしい! いいものをいただきました」
- ■ 運命的な繋がり― テーマに導かれた、小山氏とのコラボレーション
- 佐藤「最初にパーティでお会いしたんですけど、そこに押尾コータローくんがいて、彼と小山さんが仲がよかったんですね。その時にすごく音楽のことを語られていたので、音楽が好きなんだろうなと思って。いつか何かできたらいいなと思っていて。それで今回が3回目のクリスマスアルバムなんですけど、毎回ジャケットに何かしらクリスマス的な遊び心を入れた展開をしたいなと思っていて、そこで小山さんのケーキとコラボできないかなと思ったんです。それでお声掛けしたら引き受けていただいて。そしたら逆にこういうストーリーで音楽を、という提案が速攻であがってきまして(笑)。運命的な繋がりというものをテーマにした、音楽とスイーツ、ショコラとのコラボみたいなものになったらいいですねって書いてあって。最初チンプンカンプンだったんですよ。お願いしたのはジャケットのことだったから(笑)。でも、これはすごく面白いなと思いました」
- 小山「こんなお願いしてもいいものかと、最初はちょっと悩んだんですよ。でも、最終的に謝ればいいかなと(笑)」
- 佐藤「(笑)。僕たちは同じ歳っていうのもあって、非常に親近感もあって。以前クリスマスライブに見に来てくれたんですけど、その時にすごく感激してくれたんですね。楽屋に来た時に顔を見てそれがわかって。それがすごく嬉しかったのと、音楽をちゃんと真剣に聴く人なんだなと思いました。だから単純に、チョコのために音楽があったらっていう面白さだけじゃない、本当に音楽が大好きで、音楽のよさもわかっていて、それでいてチョコレートは本職で、その素晴らしいものを一緒にしたいっていう、その思いがすごくリアルに伝わってきたんです」
- 小山「ショコラを創ってると、自然に音が鳴ってくるんですよ。何か物創りをしているといつもそうなんですけどね。で、この構想は一年がかりなんです。試作は二ヵ月。それで、いろんなアイデアの切り抜きをしている時に、『緑にもいろいろあるな』とか、そういうことをリマインダーに入れるんです。そこからショコラになっていく。僕の中では、音と味っていうのは繋がっているんです」
- 佐藤「その音っていうのは、音楽だけじゃない、鳥の声や街の音、すべての音っていうことですよね」
- 小山「そうですそうです。で、思いついたことをバーッと書いてる時ってテンション上がってるじゃないですか、夜中でも。それを送信するわけでしょ。竹善さんからしたら、ものすごい迷惑な話ですよね。あいつ面倒くさいな、みたいな(笑)」
- 佐藤「あっはははは! それはないですけどね。返信のスピードにはビックリしました(笑)。このお話を読んで、僕はプロではないので味のことは分からないですけど、今試食させていただいて、自分の中で食べた時の印象がこんなに広がるんだな、とか、こんなに展開するんだな、とかいろいろ感じたんですね。それを音楽の中でどう表現するか。ジャジーでプログレでポップで。そんな曲を楽しんでできたらいいなと思います」
- 小山「楽しみですね。このチョコレートを食べながら、この曲を聴く会なんかもやりたいですね。バレンタインの時なんかに」
- 佐藤「ああ、それはいいですね!」
<小山 進 プロフィール>
1964年京都生まれ。2003年兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」をオープン。「上質感のある普通味」を核にプロフェッショナルな味を展開し続けている。近年、子どもたちの育成や、自身の“モノづくり"に対する姿勢、発想の原点などを題材とした講演会や講習会を各地で行い、子どもたちから大人、年配の方々まで厚い支持を受けている。カカオの産地には毎年訪れ、これまで訪れた産地はエクアドル、マダガスカル、ベトナム、インドネシア、コロンビアと、未知なるカカオとのさらなる出逢いを求めて旅を続けている。フランスの最も権威のあるショコラ愛好会「C.C.C.」のコンクールでは、2011年の初出品以来、5年連続で最高位を獲得。2014年においてはC.C.C.の審査員全員が出品した作品全てに対して満点をつけたショコラティエのみに与えられる「Excellence chocolatier etranger(2012年までの「外国人最優秀ショコラティエ賞」にあたる)」を受賞し、日本人初となる3度目のW受賞を達成。審査員より「味覚の錬金術師」とまで評される。また、インターナショナル・チョコレート・アワーズにも2013年より3年連続で出品。2015年、アメリカ大会経て出品したロンドンでの世界大会は、金賞を4品、銀賞を5品、銅賞1品と3年連続で多数の部門での受賞を果たした。
2015年7月には、イタリア・ミラノで開催された万国博覧会で、100名を超えるイタリア人料理人、ジャーナリストらの前でショコラセミナーを行うなど、名実ともに世界が注目するショコラティエに。
著作にはビジネス書『丁寧を武器にする』『「心配性」だから世界一になれた』(ともに祥伝社)、レシピ・フォトブック『ショコラ・ジャポネ』(柴田書店)がある。
『Your Christmas Day Ⅲ』には、平原綾香とのデュエットによるモーリス・ホワイト「I Need You」のカヴァーも収録される。1985年に全米ヒットを記録したR&Bの名曲が、この二人によって新たなデュオ・スタンダードに生まれ変わった。単なるカヴァーソングの枠を超えたこの楽曲は広く音楽ファンの注目を集めそうだ。ここでは、そのレコーディングから平原のパートのボーカル・レコーディングをレポートと、佐藤竹善×平原綾香との対談をお届けする。
- ■ 「I Need You」RECレポート
- すっかり秋が深まった11月某日、ひと足早くスタジオ入りした平原は、早速ボーカル・ブースに入ってウォーミングアップをスタート。アスリートが体の各部分をゆっくりとほぐしていくように、平原は様々な音域の声を響かせてノドの具合を確認していく。その声を聴きながらエンジニアが音を整えているところに、竹善も到着。再会を喜び合い、ひとしきり共通の知人たちの話題で盛り上がった後、まずはレコーディングの進め方を打ち合わせることになったのだが、竹善の方針はすでに決まっていたようだ。
「綾香ちゃんのやりやすいやり方がいいよね」。
というわけで、歌うパートも歌のアタマから録っていくのではなく、平原が歌いやすいところから始めて徐々にテンションを上げながら進めていくことになった。もっとも、いざレコーディングが始まると、平原はいきなりクライマックスに達したかのような情感豊かな歌声を聴かせる。竹善は1テイクごとに「いいねえ」「バッチリだよ」を連発。大サビの部分でいかにも繊細な歌声を平原が聴かせると、竹善は思わず「惚れるよね」とひと言。今回のアルバムの別の曲で竹善とデュエットし、この日は英語のネイティブな発音を確認するために駆けつけたSHANTIも「素敵!」と感嘆の声をもらした。そして、レコーディングが始まって3時間あまり。竹善から最後のOKが出ると、自然と拍手が起こり、平原ははにかむように微笑んだ。
「まるで70年代ソウルのデュエットのような、大きな愛を歌ったラブソングになりますね」と語る竹善の満足げな表情が、この日の成果の大きさを物語っていた。 - ■ 佐藤竹善×平原綾香 対談インタビュー
- —実際に会う前は、お互いをどういうふうに認識していらしたんですか。
- 佐藤:綾香ちゃんのことを最初に知ったのはやっぱり「ジュピター」ですよね。聴いて、びっくりしました。声質、そして歌唱力、表現力。“本物の人がまた出てきたなあ”と思いました。
- 平原:とにかくすごい人というイメージだったんですけど、デビューして間もない頃キャンペーン先のホテルの部屋でBGMのスイッチを入れるといろんなポップスが流れてくるなかに、すっごくいい声の人が歌ってたんです。“これ、誰だろ?”と思って、歌詞を書き留めて、あとで調べてみたら、その声の主は竹善さんだったんですよね。突き抜けるような声というか、すごい透明感があって日本人離れしてるというか、わたしのなかではとにかく竹善さんの声というのは特別で、だからT-FMのわたしの番組に来てくださったときもすごくうれしかったですし…。
- 佐藤:そのときに初めて会ったんだよね。
- 平原:お台場のビーナス・フォートで公開録音があって、そこに竹善さんに出ていただいたんです。それで、「チェンジ・ザ・ワールド」を二人で一緒に歌ったんですが、その曲はリハーサル室で2回くらい合わせたのかな。でも、竹善さんが一人で歌われる「スルー・ザ・ファイア」のほうは1コーラス歌ったらもう「ウン、OK。終わり!」と言ってリハを切り上げてしまったことにわたしはびっくりして、それがすごい衝撃でした。それから、小田和正さんの「笑ってみせてくれ」というオリンピックの選手を応援する歌に参加させていただいたときに、一緒にレコーディングする相手も竹善さんだったんです。
- 佐藤:そうだ、そうだ。「ウィ・アー・ザ・ワールド」みたいに、いろんな人が参加してるんですけど、うまくスケジュールが合って、一緒に歌うことになったんです。
- 平原:だから、ご縁をずっと感じていました。
- 佐藤:この間、またラジオに呼んでもらったときにはビートルズの「TWO OF US」をやったんです。「TWO OF US」は世代的にも彼女は知らない曲だったんですけど、それを敢えてやってみましょうということで取り上げたら、彼女は素晴らしい解釈と表現力で歌ってみせて、すごく驚かされました。綾香ちゃんはポールやジョンとは全然タイプの違うシンガーですけど、でもきちっと自分のスタイルを出して、僕は僕ですごく自由に歌えたんですよね。その感触が素晴らしくて、それが今回お願いする直接のきっかけにもなりました。
- —今回取り上げた「I Need You」のオリジナルはモーリス・ホワイト(アース、ウィンド&ファイアー)の曲です。
- 平原:わたしは、じつはまったく知らない曲だったんです。
- 佐藤:1歳ですからね(笑)。この曲がリリースされたときには。
- 平原:聴いてみると、大人っぽくて一筋縄ではいかないというか、ただ「好きです!」というのとは違って奥に秘めた感じが必要だし、同時にそれでも溢れてくる思いというものも表現しないといけないし。まずはメロディーを覚えるというところからの作業だったんで、かなり苦労しました。しかも、自分のリハーサルがあったんでオケ録りに伺えなくて、本来なら一度そこで一緒に歌って、それから自分でさらに練ってという段階を踏みたかったんですけど…。その上、わたし自身がちょっと体調を崩してしまって、みなさんにご迷惑をかけてしまったんですが、こうやって普通に話すのも難しいような状態だったから、今日は歌える喜びというか歌の神様に感謝する気持ちもいつも以上に大きかったし、それに竹善さんがわたしを選んでくださったことも本当にうれしかったから、不安も大きかったけれど、今日は本当に印象深い日になりました。
- —平原さんの歌を聴いて、「惚れちゃうね」というような感想も出ていましたが。
- 佐藤:上手な人はいっぱいいますけど、そういう技術的なことがどうでもよくなるような感じで胸に迫ってくる歌を歌う人というのはなかなかいないですよね。でも、今日はそういうドキドキするようなことが随所にあって、英語の監修で来てくれたSHANTIと顔を見合わせては二人で感動してました。
- —最後に、リスナーに向けてメッセージをお願いします。
- 平原:この曲は、わたしにとっては音域が低いところもあるし高いところもある曲で、わたしはいま31歳なんですが、大人なんだけどまだ大人になりきれていない子どもの部分も滲み出てくるようなキーの設定なんですね。だから、男女の愛の歌にも聞こえるかもしれないけど、でも今日のわたしの歌にはなんとなく幼く聞こえるところもあって、聴く人によっていろんな想像をかきたてる歌になったと思うんです。ここのところ、日本だけでなく世界中で悲しい出来事が起こっていますが、それで会いたくても会えなくなってしまった人もいて、クリスマスの日にそういう辛いことがあった人がどんな思いで過ごされるのかということを思うと胸が痛くなるんですね。今日のこの歌はそういう大切な人を喪った人が聴いても、その人の悲しみに寄り添えるような歌になったんじゃないかと思いますし、そういう意味で新しいラブソングが誕生するんじゃないかなというふうにも思っています。
- 佐藤:僕も綾香ちゃんとまったく同じ気持ちなんですが、そもそも僕のクリスマス・アルバムのシリーズには、クリスマス・ソングではないけれどクリスマスに聴いたらいままでとは違うメッセージの伝わり方をする曲を必ず選んでいるんです。その感覚で、例えば去年はファレル・ウィリアムスの「ハッピー」を取り上げたんですが、綾香ちゃんも去年クリスマス・アルバムをリリースしてて、そこでも「ハッピー」を取り上げてたんですよ。そうした発想にも共通項が感じられたことがうれしかったし、そのことも今回お願いした理由のひとつでした。そういう二人が歌ったこの「I Need You」は、新しいカバーが生まれたというよりは、別の新しい曲になるなという感覚がすごくあります。男女二人で歌うことで、歌詞の伝わり方も全然違うものになると思うし。恋人同士だけじゃなく、ぜひいろんな人に聴いてもらいたいなと思っています。
- レポート&インタビュー:兼田達矢
<平原 綾香 プロフィール>
1984年5月9日 東京生まれ2003年12月17日にホルストの組曲『惑星』の『木星』に日本語詞をつけた『Jupiter』でデビュー。
翌年の日本レコード大賞新人賞や、2005年日本ゴールドディスク大賞特別賞をはじめ、様々な賞を獲得。
継続的音楽作品の発表と並行し、数々のドラマで女優としても活躍。また舞台においては2014年3月に「オペラ座の怪人」の続編ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」でクリスティーヌ・ダーエ役に抜擢。
さらには2015年5月「サウンド・オブ・ミュージック製作50周年記念版」で、主人公マリア役の吹き替えを担当するなど、その活動は多岐に渡る。今までに日本武道館公演を含む11度の全国ツアーを敢行。
デビュー以来、シングル31枚、デュエットシングル1枚、カヴァーアルバム、ベスト盤を含む16枚のアルバムを発表。
最新アルバムは「Prayer」(2015)。
佐藤竹善のクリスマスライブ“Your Christmas Night Again”が、12月4日Billboard Live Tokyoを皮切りにスタートした。
12月2日にリリースしたばかりのクリスマスアルバム『Your Christmas Day Ⅲ』のナンバーを中心に、クリスマスの定番ソングからオリジナル曲まで情感豊かに歌い上げ、第一部、二部と東京の夜を一足早いクリスマスムードに染めた。
佐藤竹善 with The Jazz Creatures
(Vo. 佐藤竹善 / Pf 宮本貴奈 / Ba. 井上陽介 / Dr. 江藤良人)
クリスマスイルミネーションに彩られ、すでに浮かれ気分の六本木の街を抜け、Billboard Live Tokyoへと急ぐ。12月4日金曜日、今夜は佐藤竹善“Your Christmas Night Again”初日。一仕事終えて向かったのは、21:30スタートの第二部。もう買い物客もまばらになった東京ミッドタウンの4階、Billboard Live Tokyoに足を踏み入れると、開演を待つ楽しげな話し声が聞こえてきた。同時に料理の美味しそうな匂いもふわりと鼻を刺激する。ライブハウスとは違った上品な大人の香り漂う空間に似合うように、少し背筋を伸ばしながら席に着くと、大きな窓にゆっくりと黒いカーテンがかかった。
大きな拍手に迎えられて、佐藤竹善とバンドメンバーがステージに登場。バンド名は、佐藤竹善 with The Jazz Creatures。昨年のステージも、そしてレコーディングも共にした、宮本貴奈(Pf)、井上陽介(B)、江藤良人(Dr)という最強の面々だ。ステージセンターに用意されたチェアに竹善がアコースティックギターを抱えて腰掛けると、江藤のカウントから、1曲目のカヴァー曲がスタート。グランドピアノ、コントラバス、アコギと、暖かみのある巧妙なバンドアンサンブルが会場を包み込む。ツアーが始まったばかりなので、セットリストの詳細は控えるが、12月2日にリリースしたクリスマスアルバム『Your Christmas Day Ⅲ』に収録したカヴァー曲やオリジナルソングを中心に選曲。「いろんなタイプの僕なりの解釈のクリスマスソングを楽しんで帰ってください」との竹善の言葉どおり、クリスマスの定番ソングはR∧Bやブルース、ジャズなどのアレンジで多彩に生まれ変わっていた。さらに情感豊かな竹善のヴォーカルが、言葉にメロディに温もりを灯していく。
「僕はそんなにクリスマスソングに興味がなかったんですが、クリスマスアルバムを作るにあたって聴いていくうちに、クリスマスというより、クリスマスミュージックに惹かれていったんです。無数のクリスマスソングがあって、クリスマスという世界の中で愛情をもってリメイクされているんです」
途中のMCでは、クリスマスアルバムを作るきっかけともいえる、クリスマスソングへの思いを真摯に語ったり、そうかと思えば「僕、産まれた時から痩せたことがないんですよ」と笑いを誘ってみたり。終始和やかな空気に包まれる中、歌いながらブルース・ウィリスのシーンを思い浮かべてしまうと言う映画「ダイハード」のエンディングテーマ「Let it snow!Let it snow!Let it snow!」や、よりムーディーに、よりスウィート(竹善に言わせるとチョリンチョリン風)にアレンジした「I Need You」(アルバムでは平原綾香とデュエット)などを披露した。
一足早い竹善からのクリスマスプレゼントは、心にほっこりと余韻を残してくれた。その温もりを胸に抱きながら、帰り道、あの歌声に誓ったのだ。
「今年のクリスマスは、浮かれた街を見ても『チェッ!』と思いません」。
Happy Christmas!
取材・文/大窪由香
<公演概要>
佐藤竹善 Your Christmas Night Againバンド:佐藤竹善 with The Jazz Creatures
(Vo. 佐藤竹善 / Pf 宮本貴奈 / Ba. 井上陽介 / Dr. 江藤良人)
・日程:2015/12/04 (金) 東京:Billboard Live Tokyo
・時間:1st 17:30開場/18:30開演 2nd 20:30開場/21:30開演
・料金:サービスエリア ¥8,500(税込) / カジュアルエリア (1 drink 付) ¥6,500(税込)
・予約受付:ビルボードライブ 東京 予約センター 03-3405-1133
・日程:2015/12/05 (土) 下関:Jazz Club BILLIE
・時間:17:30開場/19:00開演 2ステージ制 (入れ替えなし)
・料金:LIVEのみ ¥8,000(税込) / LIVE+DINNER ¥10,500(税込)
・予約・問い合わせ:Jazz Club BILLIE 083-263-6555
・日程:2015/12/07 (月) 大阪:Billboard Live Osaka
・時間:1st 17:30開場/18:30開演 2nd 20:30開場/21:30開演
・料金:サービスエリア ¥8,500(税込) / カジュアルエリア (1 drink 付) ¥7,000(税込)
・予約受付・問い合わせ:ビルボードライブ 大阪 予約センター 06-6342-7722
・日程:2015/12/14 (月) 名古屋:NAGOYA Blue Note
・時間:1st 17:30開場/18:30開演 2nd 20:30開場/21:15開演
・料金:¥8,000(税込)
・予約・問い合わせ:名古屋 ブルーノート 052-961-6311
・日程:2015/12/18(金) 金沢:北國新聞 赤羽ホール
・時間:19:00開場/19:30開演
・前売りチケット料金:¥6,500(税込)全席指定
・チケット詳細・問い合わせ:エンタメスタイル 076-256-5538