Album

 

Still a long way to go

CD
32FD-7007
1988.06.09

 

収録曲

1 君住む街へ  
2 she's so wonderful  
3 I can't stand this  
4 陽射しの中で  
5 夏の別れ  
6 still a long way to go -また会う日まで-  
7 多分 その哀しみは  
8 逢いたい  
9 悲しい愛を終わらせて  
10 僕らしい夏  
11 昨日 見た夢  

解説

 今思えば、それは緩やかな解体ということだったのかもしれない。「as close as possible」という言葉は、そうありたい、という願望だったのかもしれない。

 このアルバムが発売になったのは88年6月1日。発売後、6月9日からツアーが組まれていた。82年の「OVER」のツアー以来初日になっていた千葉県文化会館を皮切りに翌年2月まで全国83カ所102公演という大規模なものだった。一年間で100本を越えるコンサートを経験したことはあっても、一度のツアーでそれだけの長期間に経験するのは初めてだった。

 何と言っても1曲目の「君住む街で」と6曲目「STILL A LONGWAY TO GO」が白眉だろう。どこの街にもこの歌のように自分を責めて苦しんでいる人がいる。これから出会うそんな“君”が住む街へツアーで訪れる。高らかな広がりと包み込むような包容力を持った後期オフコースを代表する壮大な1曲目が彼らの思いを物語っている気がした。

 タイトル「STILL A LONG WAY TO GO」もそうだ。遙か先まで続くロング・ツアーの途上での出会いと別れ。ツアーが一期一会であることを知り尽くしていたのがオフコースというバンドだった。

 アルバムは全11曲。小田和正が6曲,松尾一彦と清水仁が2曲づつリードヴォーカルを担当、「君住む街で」は、小田・松尾・清水が交互に歌っている。松尾一彦は自分の曲の作詞に松本一起を、清水仁は松尾一起と吉田拓郎に依頼している。「逢いたい」は、オフコースというイメージに捕らわれない男のラブソングだ。

 アルバムの全体像は「as close as possible」よりも統一感を持ちつつ、歌われていることに一貫性は薄い。特に小田和正の書いた曲の中に、“終わり”を予感したようなものが多いと思うのは、結末を知ってしまっているせいだからだろうか。

 小田和正は、この年の3月に二枚目のアルバム「BETWEEN THE WORDS &THE HEART」を発売した。共同プロデユーサーは大間ジローだった。その中でオフコースの「僕の贈り物」をセルフカバーしている。

 それぞれの自立性とその反面に希薄になってゆくお互いの必要性。このアルバムで彼らが感じ取ったのはそれなのかもしれない。

 バンドで出来ることはやった――。

 最後のシングルとなった「夏の別れ」が発売になったのは10月25日。ファンクラブの会報の中で、解散が告げられたのは11月の九州公演が始まる直前だった。

 “ここからは別々の夏、思い出は思い出として”。「夏の別れ」の歌詞だ。

 89年2月26日、オフコースは最後の東京ドームのステージに立った。

 小田和正はこう言った。

“ここから先はみんながオフコースだからね”。

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