Album

この道をゆけば

オリジナル
ETP-8293
1974.05.05
廃盤
CD
TOCT-25632
2005.03.24
2,190円(税抜価格)+税
SHM-CD
TOCT-95032
2009.01.21
2,476円(税抜価格)+税

一流のセッションメンバーを起用するなど、新たな試みに満ちた2ndアルバム

収録曲

1 プロローグ
2 すきま風
3 はたちの頃
4 日曜日のたいくつ
5 別れの情景(Ⅰ)
6 別れの情景(2)~もう歌は作れない
7 新しい門出
8 あの角をまがれば
9 若すぎて
10 のがすなチャンスを
11 首輪のない犬
12 わが友よ

解説

 デビューから丸一年、1974年5月5日発売、二枚目のアルバムである。アルバムの裏ジャケットにレコーディングの際に使った録音シートが載っておりそれぞれの曲のレコーディングで使った楽器やミュージシャンのパートが記載されている。数字が16なのは当時のレコーディングが16チャンネルで行われていたことを示している。一曲に対して16のトラックに各パートの演奏を収録して、トラックダウンでバランスを調整する。70年代の初めはせいぜい8チャンネルだった。つまり、それだけ楽器の演奏やコーラスを重ねられることが出来るようになった。  一曲目の「プロローグ」は、アカペラにもかかわらず16のほとんどのチャンネルを使っている。わずか1分35秒のコーラスにそれだけ重ねている。当時、そういうレコーディングをしていたのは彼らだけだろう。

 1枚目の「僕の贈りもの」とこのアルバムにはサウンド面で大きな違いがある。それは、エレキギターが使われていることだ。ミュージシャンも村上“ポン太”秀一、高橋幸宏、小津昌彦(D)、高水健司、重実博、小原礼、鈴木淳(B)、大村憲治(G)、篠原信彦(Key)という当時の一流セッションメンバーが加わっている。レコーディングシートをそのまま載せているのもそんな変化を見せたかったのかもしれない。一枚目で、当時フォーク系のアーティストを多く手がけていた青木望に依頼していたストリングスとホーンのアレンジも、自分の曲は自分で行っている。

 オフコースは3人のグループとして70年にデビューした。とは言うものの、本格的な音楽活動に踏み切ったのは小田和正と鈴木康博の二人のデュオとしてだ。73年に「僕の贈りもの」を出した当時、小田和正は早稲田の大学院で建築を学ぶ学生でもあった。そういう音楽活動に費やす時間など環境的な意味も含め、二人のスタンスは微妙に違っていたのだろう。73年から74年にかけて彼らはCMや学園祭なども数多くこなしている。

 このアルバムの収録曲のうち、鈴木康博が7曲で小田和正は5曲。オリジナルアルバムで鈴木康博の曲の方が多いのはこのアルバムだけだ。「はたちの頃」「新しい門出」「のがすなチャンスを」とソウルからファンク、カントリーと洋楽のテイストが強いのは彼のセンスだろう。「のがすなチャンスを」と歌う鈴木康博と「もう歌は作れない」と歌う小田和正。当時の二人の心情を見るのはこじつけだろうか。小田和正の「別れの情景」は、「1」が別れる前で「2」が別れた後の情景と同じテーマで書き分けられているのも珍しい。アルバム全編が、少年の成長の軌跡を描くというストーリーになっている。小田・鈴木の音楽性のニュアンスの違いを楽しめる。二人にしか作れなかったアルバムだと思う。ジャケットの「GOIN' MY WAY」という言葉はレコード会社が勝手につけたそうだ。

田家秀樹

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