DVD&ブルーレイ・オペラ名盤選

クラシックの名門レーベル、ドイツ・グラモフォン&デッカが贈る、史上最高のオペラ映像シリーズ!

Blu-rayで見るオペラ作品

オペラを映像で鑑賞するなら、絶対にBlu-ray Discだ。DVDに比べると、同じ作品でも感動が数百倍は違う。そのポイントは3つ。

①DVDに比べ画質が圧倒的に高い。これは最近の大型テレビでは特にはっきりと分かる差だ。

②DVDに比べ音質が圧倒的に高い。特に、AVアンプ+サラウンドスピーカーで聴くと、臨場感がまるで違う。

③DVDに比べ高画質、高音質の力でオペラの愉しみが圧倒的に深い。特に今回のシリーズのように、制作者が徹底的にこだわった映像作品であればなおさらだ。画面の横縦比が、4:3から16:9になり、舞台のフレームが、そのままワイドに再現できるのも、Blu-ray Discの臨場感的な視覚メリットだ。

Blu-ray Discの魅力の第一が、解像力が高いこと。解像力とはどれくらい細かな部分まで見えるかという尺度だが、画面を構成する画素数でいうと、DVDが約34万(横720×縦480)に対し、Blu-ray Discは約207万(1920×1080)だ。その分だけ、細かな部分まで再現できる。DVDは、1994年に当時の(解像力の低い)アナログテレビ用に開発されたディスク・フォーマットだ。だから、収録された映像の解像力も低いまま。
 一方、Blu-ray Discは2006年に規格化され、高解像力がダントツに高いハイビジョンテレビ用に開発されたディスク・フォーマットだ。日本は2011年までに国民全員がハイビジョンテレビに替えたわけで、Blu-ray Discはハイビジョンテレビに最適なディスクなのだ。
だからBlu-ray Discでは、実に細やかな映像美が愉しめる。いま流行の4K(3840×2160)テレビは超解像機能を有し、Blu-ray Discをさらにきれいな映像で再生できる。

 

今回のBDオペラシリーズの代表作のひとつ、アンナ・ネトレプコの有名な「椿姫」(2005年、ザルツブルグ音楽祭)。Blu-ray Discで観ると、ハイコントラストで、高鮮鋭、高輝度、高精細な画質により、感動度がひじょうに高い。シンプルな大道具にて、美貌の人気ソプラノを徹底的に引き立てている。彼女以外の出演者はすべて地味な黒衣装で、ネトレプコの赤のワンピースが否応なしに浮き彫りにされる。赤の深さ、瞳の大きさ、きらきら輝くヴィヴィッドな表情、神々しいまでのあでやかさ--フェロモンたっぷりの若きネトレプコの色香が爆発がBlu-ray Discなら十全に愉しめる。
 大道具、小道具、衣装への制作者の細かなこだわりは、Blu-ray Discなら、手に取るように分かり、物語への理解も深まる。DVDでは衣装の質感のディテールまでは分からないが、Blu-ray Discなら、衣装の材質感、ギャザーや皺の様子がこと細かに見て取れる。ハイビジョンが持つ精細再現力により、舞台で起こるさまざまな出来事が、まさに眼前の実存感で迫るのである。

Blu-ray Discでみるオペラのもうひとつの魅力が、横長の舞台をそのまま映像化できることだ。DVDは4:3の比率だから、横長の舞台を部分的に切り取らなければならない。解像力も低いので、カメラワークはズームが中心になる。しかも16:9のハイビジョンテレビで見ると、左右に黒帯が付く。Blu-ray Discは16:9なので、ハイビジョンテレビとまったく同じ横縦比。そもそもオペラのステージが横長なので、最適なワイドフレームなのである。
Blu-ray Discは音も素晴らしい。完全非圧縮WAV、ロスレス圧縮(圧縮/伸長過程でデータ量は完全に確保される)で、生々しい臨場感が聴ける。
 ワイド画面に拡がる高精細な舞台映像と高音質なサラウンド音響は、観る人を歌劇場のS席に誘ってくれる。Blu-ray Discでオペラを愉しもう。

オーディオ・ビジュアル評論家
麻倉怜士

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