シークレット・ツアー“御起立ジャポン”でその謎に包まれた活動を明らかにした5人組バンド、発育ステータス。そのワン・アンド・オンリーなライヴの模様を収めたライヴ・ビデオの発売を記念して、ベース/ヴォーカル担当の林檎ちゃんに楽曲とメンバーについて解説して頂きました。
椎名林檎
村田純子
鳥井泰伸
田淵ひさ子
吉村由加
発育ステータス楽曲解説

1. 発芽
「ビデオを見て頂ければ分かって頂けると思うんですけど、やった曲たちはほぼ順番通りに出来ていて、初めからライヴっていう目的があるから“ここで早い曲が欲しい”みたいな、アマチュアのりで曲を作ってたんです。で、この曲は最初だから“優しい気持ちになろう”っていう。もう、ミュージカルな感じですね。最初は振りも付いてたんですけど、踊ってると楽器が弾けないってことでちゃんと弾いてみました」

2. 悪い苗 良い萌
「“発芽”の次は何?と云う感じで、この曲はタイトルぎめだけにすごい時間がかかりました。で、タイトルが“悪い苗 良い萌”ってことは良かったり悪かったり激しいイメージだよなってことで、それを適当に闘牛とかカルメンのイメージに発展させて曲が始まったんです。でも、其の激しさをみんな恥ずかしがってたんで、私は道徳の授業の様に“恥ずかしいって言ってる方が恥ずかしい”って言って、一人で頑張って作りました」

3. 害虫駆除
「これは最後の方に出来た曲なんですけど、出来た曲が全体的に攻撃的な感じだったんで、優しい歌をやりたくて作りました。そもそも、私は自分達だけもりあがるサークルのりがイヤで。でも、そういう風に見えちゃったら失礼だから、プロとしてきちんとしたものを提供したいっていう気持ちの現れですね。ちなみにここではチャコちゃんの“ポエオ”っていう名ギター・フレーズが生まれました」

4. たかいたかい
「ベースの純子ちゃんはメロディアスなフレーズを弾くことが私の見たところ一番の魅力なんです。この曲では彼女に“せっかく一緒にバンドをやってるんだからってことで何か弾いてよ”ってお願いして。で、そこから生まれた2小節で完結するリフを、ダイナミクスを付けずに曲の全編で繰り返すのみの構成にしたんですけど、私的にはそれが非常に勉強になりました。だから、この曲は詞も純子の才能に脱帽っていう内容になってます」

5. 生え抜き
「この曲も“こうやって、いいのだけ残すのって間引きじゃなくて、なんていうんだっけ”(と言って芽をつむジェスチャー)って感じでタイトルがかなり難航しましたね。でも、タイトルが決まってからは早かったです。ちなみにこの詞のイメージは“選んでくれるって言ったじゃん!”っていう北国とか日本海の心寒いイメージです」

6. 咲かせてみて
「これはもっとビデオにも入れたかったんだけど、ホントは曲のフレーズの合い間に入るD.M.B.Q.のよっちゃんの“咲かせてみて”っていう台詞(大人の色気風)が4小節に1度入ってくる感じの曲だったんです。で、みんなもその気になってやってたんだけど、やっぱり、ここでもサークルのりでやってると思われるのがイヤだったんで、最終的にはこういう唄モノの形になりました」

7. 今夜だふ
「“ 咲かせてみて”は処女喪失の痛みを忘れていないっていうイメージだけど、“今夜だふ”はもっとヤリ慣れてる感じだよねって。ホント、そんな話ばっかりしてたんだけど、実際、みんな同じ女性像を思い描いて楽器を持つと、やっぱり、こうだよねっていう一つの同じ世界にある音になりました」

8. 雌花 故 雄花
「この曲はメンバー間で解釈が分かれて、作っていくのがすごく難しかったです。で、ここでは鳥井くんがトリッキーなベースのフレーズを弾き始め、絡むのがとにかく難しかったです。だから、彼のことを理解しようとするんじゃなく、女性サイドが“ もう駄々っ子ね”って感じでまとめるしかありませんでした。もう、この曲くらいになるとメンバーそれぞれが発育ステータス像を持てるようになって、私としては嬉しかったです」

9. 光合成
「ホントは4曲目に出来た曲で、メンバーの間でも好評です。発育ステータスはどんどん完成していく過程を見せたいっていうのがあったんですが、最初の頃に出来た曲はあまりにも乱暴なものだったんで最終的な曲順操作で並び替えました。でも、自分から言い出してはみたものの、ベース3人ってミックスから何からホント大変でした。とくにPAオペレートを担当して下さった2ミックスの方々には本当に御迷惑をお掛けしました」

追記
「ビデオの見どころは、駄目出しをしてる時の純子ちゃんとチャコちゃんの顔です。ホント、いい顔をしてます。あとは私の尻軽さを是非。妙に言葉につまったり、妙に標準語になったりしてるところに注目して戴きたいです」