XXX-FM「椎名林檎の踏みっぱなし ~むしろ直で~」

林檎ちゃんがパーソナリティーを務めるFM番組「椎名林檎の踏みっぱなし ~むしろ直で~」のWEB上再現。今回はインタビュアーに小野田雄さんを迎え、新作「真夜中は純潔」について語った3月12日O.A.の放送分です。

──新作の完成おめでとうございます。
椎名ありがとうございます。
──今回、アナログ盤先行リリースということなんですけど、林檎ちゃんは普段アナログ盤って買うの?
椎名アナログって重いし、かさばるんだけど……そうですね、CDで出てないものは 否応なしにそれしかない訳だけど、頑なにアナログにこだわってはいないですね。
──今回、アナログ盤が先行リリースされるのは作品のイメージに負うところが大きかったりするんだよね。
椎名必然性とか、どこがどうだっていうのはないんだけど、前から言ってて決まっちゃってたというか、当初「アナログだけ」って言ってましたからね。ところが蓋を開けてみたら、アナログ盤って沢山作れないってことが発覚したんですよ。そもそも、今回のアイディアってデビュー前からあったんだけど、その頃はこんなに売れる状況になるとは想像してなくて、ただ「いつか、やりたいね」って話だったんですよね。でも、実際にやろうってことになったら、大慌てになって、結局、CDも出すってことで落ち着いたんです。
──タイトル曲の「真夜中は純潔」ではスカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)が参加してますけど、一緒に演ってみていかがでした?
椎名スカパラの皆さん、楽しかったですよ、作業も早かったし。でも、スタジオに人が多い多い。
──ドラマーの茂木(フィッシュマンズ)を含めると9人居ますからね。
椎名やっぱり集まるとスカパラってすごいんですよね。お一人お一人にそれぞれおいしい立ち位置があって、お互いを汚し合わない。しかも、相乗効果みたいな。
──キャラが確立してるんだよね。
椎名で、全員せっかちなんですよ。誰かが“もう一回やり直したいんだけど”って愚痴を言うと“なんで?いいじゃん!何がいけないんだよ!”って別の方がおっしゃるんですよ。それは亀ちゃん(亀田誠治)とレコーディングする時も同じ感じだったんで、「ああ、良かった。やっぱり同じだ」と思って。

──じゃあ、「シドと白昼夢」で演った服部隆之さんは?
椎名服部さんはすごい方ですよね。結局、この曲のアレンジを話し合った時、いくつかしかキーワードを言ってなくて、服部さんが“「奥様は魔女」でいいよね?”っ ておっしゃったんですけど、私、何のことだかよく分からなくて(笑)。でも、レコーディングしてみたら音はすごい良かったんで……だって、私、話し合いの時に“♪ ププッピドゥ”とかしか言ってないですからね。だから、服部さんは人間観察に長けた方で、その人の望んでることを察知するのが早いんですよね。
──この曲は村上“ポンタ”秀一さんがのドラムを叩いていらっしゃいますね?
椎名ポンタさんは生で初めて見たんですけど、上体動かない、動かない。すごい、外人みたい、とか思って。聴いたことない、感情的な感じで、びっくりしました。そもそもアレンジは服部さんが決めてあって、ここでドラムがパーンって入るっていう風になってるんだけど、それ以外で自由に出来る隙をうまく使って叩かれるんですよ ね。あんなドラム聴いたことがないですよ。
──で、3曲目の「愛妻家の朝食」ですけど、これは以前、キーボードで参加してた 森俊之さんがアレンジを担当されてますね。
椎名森さんはこれまでにかなりの回数、お会いしているので、安心して委ねられま したね。逆に森さんの方が気を使ってくださって、“これで大丈夫?こんな感じでいい?”って訊いてくださって、その話が具体的になればなるほど“そうそう。その通り!”って思いましたね。
──アコーディオンでお願いしたcobaさんはいかがでした?
椎名や、ホントに素敵な方で。“はい、やった!はい、次!”みたいな感じで見た目は乱暴なんだけど(笑)、あんなに可愛らしい音を出されるし、素晴らしかったですよ。
──でも、今回のシングルって聴いてて思ったのは、これまでの作品以上に参加されてるプレイヤーの仕事振りを聴く楽しみがある内容だなってことで。
椎名そうですね。今回って1曲ずつ違うし、そういう企画だから今後も一緒にやるか分からないじゃないですか?だから、私、参加した方に本音を言えなかったんですよ。でも、それぞれにガーンっていうのがあって、ホント大満足です。
──出会いの場っていうか、ねるとんみたいな感じですよね。
椎名そうですね。私、結婚するまで村珍(村石雅行)とカースケさん(河村智康)の2人しか知らな~いみたいな感じだったから、すごい楽しかったですね。やっぱり、歌手業はいいですよ。
──そうそう、歌手だよね。今回のシングルはそこが重要っていうか。
椎名そうそう。プリプロもせず、スタジオで初めて、みたいな感じ。嘘でも信頼しちゃう勢いっていうか(笑)、賭みたいな感じで始めてるから、すごい楽だし、それが実際良く録れてるから満足ですね。


※尚「椎名林檎の踏みっぱなし ~むしろ直で~」は架空のラジオ番組です。