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1. オールドファッション
2. サマーワンダーランド
3. Jaguar
4. オールドファッション(instrumental)
5. サマーワンダーランド(instrumental)
6. Jaguar(instrumental)
「オールドファッション」music video
「オールドファッション」making of studio recording & music video & photo session
back number exclusive video
※三方背BOX
「オールドファッション」は彼らの王道の魅力が凝縮された、せつないラブソングであると同時に、これまでの楽曲とはまた違う大きさ、温かさ、強さを兼ね備えた作品となっている。今の彼らだからこそ、描くことのできた深みのある世界が展開されているのだ。カップリングの2曲からも最新のバンドの息吹が伝わってきた。ドーム・ツアー敢行後も、余韻に浸ることも留まることもなく、新境地を切り拓き続けている彼らに、この新作について聞いていく。
──ドーム・ツアーを終えて、どんなことを感じましたか?
清水 バンドにとって、ひとつの節目になったのは間違いないんですが、何かを成し遂げたという感覚はまったくないんですよ。というのは5本のライブの内容がバラバラというか、別物だったから。凝り固まってないし、できあがってない。まだまだ先があるし、back numberというバンドは追求しがいがあるというのがメンバー3人の共通認識なんですよ。
戸田恵梨香
ムロツヨシ
富澤たけし(サンドウィッチマン)
杉野遥亮
黒川智花
夏樹陽子
草刈民代
松岡昌宏
脚本:大石 静
音楽:河野 伸
プロデューサー:宮﨑真佐子 佐藤敦司
演出:金子文紀 岡本伸吾 棚澤孝義
製作:ドリマックス・テレビジョン TBS
「オールドファッション」は彼らの王道の魅力が凝縮された、せつないラブソングであると同時に、これまでの楽曲とはまた違う大きさ、温かさ、強さを兼ね備えた作品となっている。今の彼らだからこそ、描くことのできた深みのある世界が展開されているのだ。カップリングの2曲からも最新のバンドの息吹が伝わってきた。ドーム・ツアー敢行後も、余韻に浸ることも留まることもなく、新境地を切り拓き続けている彼らに、この新作について聞いていく。
──ドーム・ツアーを終えて、どんなことを感じましたか?
清水 バンドにとって、ひとつの節目になったのは間違いないんですが、何かを成し遂げたという感覚はまったくないんですよ。というのは5本のライブの内容がバラバラというか、別物だったから。凝り固まってないし、できあがってない。まだまだ先があるし、back numberというバンドは追求しがいがあるというのがメンバー3人の共通認識なんですよ。
──まだ完成されていないと?
清水 何をもって完成とするのかはわからないんですが、先は遠いですね。MCや流れも含めて、個人的にまだまだ未熟だなと思った次第です。
栗原 僕らをデビュー当時から見てくれてるテックさん(楽器を担当するテクニシャン)と話す機会があって、「上手になっているし、バンド感が強くなってきているよ」って言ってもらって、うれしかったんですが、足りてないところがたくさんあることは痛感しているし、まだまだ伸びしろがあると思っています。
小島 終わった時にもっと達成感があるんじゃないかと思っていたんですが、予想してたほどじゃなかったんですよ。もちろんそれなりの達成感はあるんですが、自信満々とか、ほら、出来たって感じではない。ミュージシャンの先輩の方々から、「やったら、ぽっかり穴があくよ」「次に何をしていいか、わからなくなるよ」って言われたりもしたんですが、そういうのもまったくなく(笑)。
──それはとても頼もしいことだなと思います。
清水 単に反応がにぶいだけで、もう少し時間がたってから、感じるかもしれないですけどね(笑)。
──ドームで印象に残った光景というと?
小島 単純に人が多く感じました。ツアー初日の前日、名古屋で人が入ってない状態でゲネプロをやった時は狭く感じてたんですが、当日、お客さんが入ったら、こんなに人がいるんだという驚きがありました。
栗原 今回のドームはワンマンの会場としては過去最大キャパだったと思うんですが、ステージから客席の一番後ろの席までが見やすくて、距離感を近く感じられる会場だなと思いました。
──純粋に音楽そのもの、歌の力によって展開していくステージになっているところも素晴らしかったです。
清水 ある時からback numberにとってのいいライブとは、とにかく楽曲を大切にすること、お客さん一人一人を大切にすることだっていう結論に達したんですよ。なので、ドームでも演出も含めて、そこに集約できるステージを目指していました。ドームって、物理的な距離はあるんですが、その距離を感じてもらわないようにするには、よりそばで歌う感覚が必要になってくる。そういう意味でも意外としっくりきました。というのは、歌っていて、自問自答する瞬間、一人っきりになる瞬間が多かったから。ライブハウスだと、お客さんから近いから、逆に一人になれなかったりするんですよ。僕自身、もともと自問自答ばっかりしているし、そういう歌が多いんですが、ドームという空間ではむしろ、そういう歌が合うんだなと思いました。
──あの広大な空間の中で、一対一のパーソナルな関係が何万組も成立していると言えそうですよね。
清水 こういう曲たちじゃなかったら、そういうライブはできないと思うので、その点では本当に誇りに思ってます。
──ニューシングルの「オールドファッション」はドーム・ツアー中に作ったんですか?
清水 そうです。東京ドーム終わりから大阪ドーム前までの期間で作りました。
──ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』の主題歌になっていますが、どういうところから曲作りをスタートしたんですか?
清水 台本を4話まで読んで、何曲か作りました。ドラマの制作サイドからは「“君といられて良かった”みたいな歌にしてほしい」ということでした。いつもそうなんですが、ドラマに寄せていくという意識はなく。わりと早い段階で、“君には僕なんだ”って最後のフレーズが出てきたので、最終的にこの言葉を言うために書いていくべきなんだろうなと思って、いろんなパターンを書きました。いちゃいちゃしてる感じにはしたくなかったんですが、結果的に鼻につかない程度にいちゃいちゃした歌になり(笑)。でもそれだけで終わっちゃいけない歌だと思ったので、一番だけ聴くのと最後まで聴くのと、2回め、3回めに聴くの、ドラマが進んでいくにつれても全然聞こえ方が変わる様に、試行錯誤しながら作りました。
──確かに、様々なニュアンスが詰まっていて、いろんな感じ方ができる深みのある曲ですよね。今の清水さんの人間性も曲に反映それているのではないかと感じました。
清水 こればっかりはね、反映するなといっても無理だなと(笑)。
──“君には僕なんだ”って、今の年齢だからこそ、歌える歌詞なんじゃないかと思いました。
清水 インディーズの頃とか、メジャーデビューしてすぐとか、こういう表現が好きじゃなかったと思うんですけど、ファンクラブを立ち上げて、ファンクラブのライブも何度かさせてもらい、俺たちが大事な場面で照れるわけにもいかないなって思うようになってきたんですよ。その時々の心の持ちよう、表現の仕方は変わっていくと思うんですが、今はこういうモードなんだと思います。昔はクサいなと思って言わなかったようなことを歌えるようになってきた。それって、おもしろいことだなと感じながら制作してました。
──演奏もいろんなニュアンスが入っていて、深みがありますよね。大地を踏みしめていくようなベースとドラム、空に広がっていくような歌とギターだなと感じました。
清水 プロデュースをお願いした島田(昌典)さんがそういうスタイルがお上手ですから。ある意味、back numberのバラードの基礎を作ったのは島田さんだと思います。今回は和也も寿も島田さんの要望に応えられるようになったので、ちょっとおもしろくないですね(笑)。もっと島田さんに罵倒されてほしかったんですけど(笑)。
──アレンジ含めて、どのようにして完成させたのですか?
清水 スタジオに入って、3人でフル尺でおおよその形を作ってから、島田さんにお願いするという流れでした。プロデューサーにお任せするというよりは、自分たちでやったものを整えてもらうというニュアンス。
──最初にこの曲のもととなるものを聴いて、どう思いましたか?
小島 その段階で台本は読んでなかったんですけど、ドラマの内容はおおよそ聞いていたので、この曲の感じが合うんじゃないかなって思いました。
清水 この曲はサビが地味に聞こえると嫌だな、サビで開けるような感じになるといいなと思ったので、サビに向けて転調してるんですが、そういう曲は初めてだったので、どうかなと思って、最初に寿に「どう思う?」って確認しました。
栗原 そう聞かれたんですが、転調したかどうかもわからないくらい、自然に聞こえたので、何を心配しているのか、よくわからなかったという(笑)。
清水 寿は音階の知識がない分、感覚で聴くので、逆に頼ってるところがあって。寿が大丈夫だったら、大丈夫だろうって。逆に和也に聞くと、仕組みがどうとか、音楽理論がどうとか、うだうだ言うので、話が長くなってしまう(笑)。
──メンバー2人からいろんな角度からの反応が返ってくるわけですね。
清水 そうですね。2人に助けられているところはありますね。
──島田昌典さんのプロデュースは久々ですが、今回お願いすることにしたのはどうしてなんですか?
清水 ずーっとお願いしようと思っていて、気がついたら、「fish」以来で4~5年経っていました。歌のテイク選びも含めて、back numberの軸みたいなものをもう1回確認したかったので、お願いしました。タイミング的にも曲調的にもピッタリというか、自分たちで、でたらめストリングスを付けて、アレンジしている段階でも島田さんだったら、どうするかなって考えていたので、島田さんにお渡しするべきなんだろうなと判断しました。
──シングルの初回盤の特典映像に入っているメイキング映像を見ても、島田さんとメンバー3人がしっかりコミュニケーションを取って、制作している様子が収録されてます。メンバー全員が歌の世界観に沿って、演奏していることも伝わってきました。
清水 オケ録り(楽器の録音)のときに全然歌詞があがってなかったので、イメージだけ伝えていたんですよ。こういう曲にしなきゃいけないと思っているからって。2人がそこに合わせようと、必死になってやってくれました。あの集中力はすごかったですね。
小島 今回は歌詞が未完成だったので、スタジオでみんなで話し合いながら、演奏のニュアンスを変えたり、機材を替えたりして、「どっちのテイクがいい?」って確認しながら、作業を進めました。
清水 セッティングをあれこれと替えるのは、ほとんど小島さんの趣味の域でしたけど(笑)。
小島 えっ、嘘でしょ(笑)。
栗原 いや、割とそこで時間を取っていた(笑)。
清水 ちょっとしたプレイというか。僕らもつきあってあげたみたいなところはありましたね(笑)。
栗原 レコーディングでは島田さんにもピアノで参加していただいていて、一緒に録ったときに、パワー感や跳ね感をどれくらいにするか、いろいろ細かなアドバイスをしていたただいたんですよ。4年前に島田さんと一緒にやった「fish」の時は、アドバイスされても、自分がいっぱいいっぱいでついていけないところもあったんですが、今回のレコーディングではいい感じで作業できました。
──島田さんと久々にやったからこそ、自分たちの成長もはっきり実感できたのではないですか?
栗原 改めて島田さんのすごさに気づかされたレコーディングではありましたね。
──歌もギターもとてもニュアンスが豊かです。
清水 島田さんはプロデューサーなので、バンドマンや歌を作っている人間の視点とはまた違って、俯瞰で見てくれているところがあるんですよ。いい音を出すということにおいても、改めて勉強になりました。何にとってのいい音なのかまだ、きっちり考えないと完成形が見えてこないわけで、突き詰めて、質の高いところでやっていただけました。これだからプロデューサーさんとの仕事はやめられないですね。自分たちだけで作るのも楽しいんですが、他の人と関わって得たものが、また自分たちのエキスとなっていくので、そこがおもしろいという。
──「オールドファッション」の歌詞は詩的なところも魅力的です。“花は風を待って”とか“月と夜が呼び合う”とか、儚さも感じるんですが、時間の流れを越えた永遠性も感じ取れました。書く上で意識していたことというと?
清水 感覚としては、相手を説得するみたいな歌でいいんじゃないかなってことは思っていました。相手の側が“本当にこの人でいいんだろうか?”って不安に思ったりすることってあるじゃないですか。そういう不安を取り払うために、説得するというか。とは言え、なぜ僕なのか、大声を張り上げてもしょうがないし、あまり説明しすぎてもしょうがないので、謎の比喩みたいなところにたどり着いたのかなと思います。
──「オールドファッション」というタイトルはどんな流れで出てきたのですか? 歌詞の中にドーナツという言葉があって、その種類を指す言葉でもありますが。
清水 そこもなくはないですけど、オールドファッションという言葉の元々の意味は時期を表すもので。“今とは違う昔の”とか“古き良き”という言葉で表される、人生の中ですごく光ってる時期の記憶や思い出を象徴するのにふさわしいと思ったので、使いました。そういう時間って、誰でも持っていると思うし、僕にもありますし、人生を生きるにあたって、とても重要なんじゃないかなって。そういう幸せな思い出って、消しても消えないというか、忘れても消えない。そういう大事な時間のことを歌っているので、こういうタイトルがいいのかなって。ドラマの結末を知らないんですが、ストーリーがどうなるかによって、どういう曲なのかが決まるところもあるので、僕も楽しみにしてます。
──小島さんと栗原さんは歌詞が付いて歌が入って、どんな印象を持ちましたか?
小島 僕はもうちょっと明るいイメージを持ってたんですけど、詞が入って、ちょっとせつないというか、悲しい歌に聞こえる部分もあるなって感じました。ドラマを観ていくことで、また歌詞の意味合いが変わっていくかもしれませんが。
栗原 依与吏さんっぽいところもあるんだけど、いつもとは違う感じもあって。こう来たかって思いました。曲調的には王道だし、僕たちの強みを全部乗せた、みたいなところもあるんだけど、新しい一面も感じさせる曲になった気がしてます。
──確かに、back numberの本質的な魅力が詰まった曲であると同時に、新境地の部分もある曲ですよね。
清水 リスナーの人たちに、どう聞かれるのかなってことは思いますね。一緒だなって思われるかもしれないし、全然違うって思われるかもしれないし、こればっかりはリリースしてみないとわからない。その反応が楽しみですね。「瞬き」にしても「大不正解」にしても、自分たちをどうアップデートするか、back numberをどこへ運んでくれるのか、楽しみながら作れているので、シングル制作、おもしろいなと思います。
──MVは演奏シーンとドラマとリンクする映像とが混ざり合う構成になっています。
清水 女の子を出すのが合うかなと思ったんですが、この曲に関しては違うものにしたかったので、男性を主人公にしたものにしようということは思っていました。この曲の持ってる一番大事なところが表現できればいいなというイメージがあったので、そこを大切にしていきました。
小島 バンドのシーンとキャストの方が出演されているシーンとで、いいバランスになりましたね。
栗原 演奏シーンを撮ってる時は、3人の距離がかなり近いなって感じました。室内ということもあり、ギュッギュッとしていた。
清水 確かに、照明の光も明るめで熱かったし、俺たちのホットなぬくもりが強めに出た撮影という。
栗原 そういう意味でいろいろぬくもりを感じる撮影でした(笑)。
──2曲目の「サマーワンダーランド」はタイトルどおり、夏感のある曲ですが、衝動的な若い夏の感じではなくて、理性的な要素も加わった今の年齢なりの夏の感じが描かれた曲ですね。
清水 この曲は演奏から作り込んでいったんですが、最初は夏の歌にするつもりはなかったんですよ。でも3人で演奏しながらアレンジしていって、最終的にこれがいいんじゃないかとなった時に、曲が夏になってしまった(笑)。リリース時期は冬気味の秋じゃないですか。これは終わったなと(笑)。でも突き詰めて作った結果、夏になるならしょうがない、腹をくくろうってことになり、この曲調で夏の曲を作るのが楽しくなり、ますます取り返しがつかなくなったという(笑)。でも自信作になりました。みんなで好きに演奏して、ガシャっと作って、歌詞で帳尻を合わせるという得意の感じがうまいこと、ハマったと思います。
──しかも年齢なりの夏になっているところも見事です。
清水 最初は若い夏にしようかと思ったんですけど、そういう曲だと、「俺らじゃなくねえか」って小島さんからクレームが出るなと思い、路線変更してこうなりました。2人がどっしりとやってくれたので、若い感じにもならず。
小島 バンドを始めた頃の感じでやろうと思っても、もうそうはならないですからね。それに、3人でしっかり話しながら、作っているので、イメージしたものからそんなにはずれることはないですね。この曲はバンドで作ったという感覚が強くあります。
栗原 3人の縦のリズムの関係性がおもしろいんですよ。実はベースは裏で跳ねていたりとか、いろいろな縦の関係性が組み合わさって、曲が成り立っている。自分以外の2人のリズムを感じながら、演奏するのが楽しかったですね。昔だったら、難しくてできなかったと思うんですが、今は楽しみながら、この感じを出せました。
清水 実はドラムはかなり重たく叩いてるんだけど、それを跳ねているように聞かせてるのは、ギターのカッティングだったりして。1個1個だけだとリズムにならないけれど、3人の音が組み合わさると、曲のリズムとして成立している。「アップルパイ」あたりからやり出した手法なんですが、技術が伴ってきて、今まで以上に効果的になってきました。で、その曲調がこういう歌詞を呼んだということですね。“夏のせい”って歌う歌って、結構あるじゃないですか。クリープハイプとか連呼しちゃってるし(笑)。でも“夏のせい”って言葉って、ずるいんですよ。なので、その言葉を否定することで、ちょっとした誠実さみたいなものが出て、収まりがよくなりました。
──3曲目の「Jaguar」は初期の曲でいえば、「こぼれ落ちて」のようなロックバンドとしてのback numberの魅力が全開の曲ですが、今だからこそ描ける世界になっていて、深く踏み込んだ歌詞も魅力的です。これはどんなところから?
清水 恋愛を歌うってことは人間を歌うってことですから、素晴らしさを歌うだけでは十分じゃない気がしてまして。例えば、電化製品をお勧めする時でも、商品の良さだけじゃなくて、欠点、弱点も伝えなきゃ、フェアーじゃないじゃないですか。機能は優れているけど、電気代は月4万円かかりますとか(笑)。恋愛も人生も同じで、もちろん素晴らしいところも歌いたいんですが、逆の側面、ダークな部分も歌いたくなるんですよ。いいことばっかり歌ってると、自分たちがいい人になったような気分になる時もあって、それはそれで居心地が悪いというか。ライブ1本通しても、1曲2曲は怪しい気持ちの歌、闇の部分の歌を歌いたくなるという。内容自体はすがすがしくないけど、歌っている時はすがすがしかったりするので、そういう歌を作りたいし、歌いたくなるんですよ。人間の欲って、絶対にあるものだし、そこに蓋をするのではなくて、きちんと歌って、自分たちの中だけでもきちんと向き合ってきたいと思っています。
──“斑ら模様”という言葉の響きもインパクトがあります。
清水 この曲では女性の中にある動物性、みたいなものを切り取れたらと思って作りました。
──疾走感あふれる演奏でありつつも、サンプリングに通じるようなクールなリズムであるところも新鮮でした。
清水 これまさにドラム・フレーズから作ったんですよ。テレビから聞こえてきた3秒ぐらいのフレーズを何これ? かっこいいんじゃない?と思って、寿に聞かせまして。
栗原 スマホで録音したみたいで、突然、「これ、できる?」って言われました(笑)。
清水 ある意味、サンプリングですよね。あのリズムを再現してほしい、ずっとやり続けてほしいって。そしたら、ずっとやり続けてくれて。大変だなとは思ったんですが、和也にも「じゃあ、このリズムに合わせて、なんか弾いて」って。そこからコード展開させて、メロを乗っけて、作っていきました。こういう作り方、たまにあるんですけど、久々じゃないですかね、この感じは。
──演奏はどうでしたか?
栗原 自分だったらやらないドラムなので、ちょっとしたムチャぶりなわけで、しかもレコーディング中にも、「1番の終わり、ちょっとさみしいから、ドラム、なんかやって」って言われて。ムチャぶりにつぐムチャぶりでした。
小島 ベースもそうですよね。「もっとやってよ。もっと何かないの?」って(笑)。
──バンドがクリエイティブかつアグレッシブな活動を続けていることが伝わってくる3曲となりました。
清水 あまり意識してなかったんですけど、昨日、パソコンを見ていて、世に出ていない曲、ストックを確認したら、40~50曲あったんですよ。今回の主題歌に向けても何曲か作ったし、映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』の時も8曲くらい作っていたし。最近、曲を作ってないなと思っていたんですが、実は2018年はメッチャ作っていたことが判明しまして(笑)。いろんな角度で曲を作れてるのがいいなって思いますね。ドラマや映画に、というだけでなく、俺たちって今こうなんじゃないのかってところから形になったり、弾き語りで作ったり、曲の作り方が増えてきた。曲を作りたいという感覚が自分の中にあるので、これからもあまり懲り固まらずに、やっていきたいですね。
──初回限定盤のDVDでの「exclusive video」、サプライズもあって、楽しかったです。
清水 第1弾は僕の弾き語りで、第2弾は和也の台湾の映像だったんですが、今回もメンバーに焦点を当てた作品になっています。これまでの2本と雰囲気が全然違うし、テイストも違うので、これだけ観ても、楽しんでもらえると思います。
栗原 いろいろな意味で勉強になりました。
──2019年はアリーナ・ツアーも控えています。どんな意識でのぞんでいきたいですか?
小島 アリーナ・ツアーは2017以来なんですが、1度やってるから、大丈夫という感覚はまったくなくて。これまで行ったことのない県にも行けますし、また新たな気持ちでしっかりのぞめたらと思っています。考えるべきことはたくさんあるんですが、まずは単純にみんなでライブをやることをさらに楽しめたらと思っています。
栗原 半年間かけてやるツアーなので、体調を崩さないように気を付けます。今年1年で感じた自分たちの伸びしろをツアーまでにどこまで伸ばせるか、さらにはツアーが始まって、ファイナルまででどれだけ伸ばせるか、その伸びしろの可能性に、自分たちもワクワクしながら、ツアーを回れたらと思っています。
清水 ライブのことに限らずなんですが、「そろそろ自分自身と仲良くなれよ」って自分に言いたいですね。自分のアラを探したり、ミスしたことを反芻して悶々としたり、自分との戦い方を間違えている節があって。受け入れることなのか、許すことなのか、どういう表現がふさわしいか、わからないんですが、自分自身を味方に付けられるメンタリティーを身に付けたい。大坂なおみちゃんのコーチ、俺にも付いてくれないかなって(笑)。ツアーは何十本もあるので、落ち込んでいたら、身が持たないですから、もっと明るくなれるように、頑張りたいですね(笑)。
(インタビュー・文:長谷川誠)