オフィシャルインタビュー
≪後篇≫
後篇では、ニューアルバムの全楽曲について収録順にメンバーが語ります。お話を通して楽曲をさらに深く楽しめるヒントを掴みながら、アルバムのリリースを心待ちにしていてください!
ー7月に配信リリースされたシングルでもある「待つ」、アルバムはこの曲で始まります。
知:バンドで新しいサウンドでやりたいイメージがあって、色んな音が鳴っている気持ち良さを重視して作り始めた曲です。エレクトリックピアノのフレーズから作り始めて、俺がギターを弾くなら?フジムラのベースはこうかな?Yurinくんがこう歌ったらカッコ良いかな?とイメージしながらバンド像を作っていった感じですね。
ーそもそも知さんは曲が先に出来るタイプですか?
知:(詞と曲が)並行して、ですね。最近は曲を作るタイミングで、1コーラスを作り切るまでに歌詞も考えて仮歌も自分で歌って、というのを決めてやっているので。今まではレコーディングのギリギリまで歌詞が出来ないことも多かったんですけど、自分の中で漠然としているモチーフをいかに固められるかというのはやっぱり詞かな、と思ったので、そういう意味で詞を固める作業をコンパクトに出来るようになったきっかけの曲でもありますね。(作った曲に対する)イメージをレコーディングの時にすぐ伝えられない自分の力量不足を感じてて、だから仮歌を自分で歌えるようにしようと思うようになって。で、歌っているとシンセのメロディでふわっと打ち込んでいたものが歌に導かれてメロディに変わったり、適当にスキャットでパラパラ歌ってる時に、この譜割りだったらこういう音で行くのが気持ちいい、じゃあこの音に似てる単語って何だろう?で、その単語が入ってきたらそれに対してのモチーフって何だろう?って広げていく感じで。2番のAメロで“嫌な事ドリップして サンプリングして ステレオ鳴らして”って歌詞は歌ってて気持ちがいいし言葉の意味としても気に入ってるものが作れて、こういうのが作れたのが本当に楽しいな、っていう。
Yurin:自分で歌わないと出来なかったったよね。
知:そうそう。(仮歌を歌うことなく)シンセメロだけ持ってレコーディングの伊豆に向かう道中で(歌詞を)考えても、こういう曲は出来なかったかなと思います。この曲は世界観をイメージ出来る単語として“ルームナンバー・ワンオーワン”と言ってますけど、引っ越した家が101号室で。たまたまなんですけど、Yurinくんも101で、さらに言うとフジムラも101なんですよ(一同笑)。
フジムラ:本当なんですよ、最近引っ越して101号室です(笑)。
知:導かれたなぁと思いますね。ハイライトはマネージャーが吸ってるタバコで、部屋の情景が浮かぶ曲にしよう、みたいな感じで。
ーこの曲は頭から女性コーラスのようなものが聞こえますね?
知:あれはコーラスもYurinくんで、全部1から録ってます。
Yurin:僕、裏声で歌うと女性になるんですよ(笑)。
知:どっちがメインボーカルか分からないような作りにしたくて。裏声の方をメインにしようかなと思ったり、Yurinくんの裏声と僕でツインボーカルにしようかなとも考えたんですけどね。
ーボーカルの妙で、ルームナンバー・ワンオーワンに色んな人が浮遊して存在しているような世界観が見えてきます。続く曲も知さん作「猫にサイダー」。
知:僕が10年ぐらい前、ボーカロイドで曲を作っていた時にニコニコ動画にも公開した曲です。この曲を公開した1年後ぐらいに、歌ってみた動画でYurinくんがこの曲を歌ってくれていて、すごい感動しちゃって。バンドを組み始めた初期はオリジナル曲もあまりなかったのでこの曲とかフジムラのボカロの曲も演奏してたんですけど、アレンジをバンドだけでやることに納得がいけてなくて封印してたんです。でも最近、シーケンスとかも使えるようになって色々とイメージも変わってきて、10年経った今だったら自分でも受け入れられるかなと思って皆に“この曲を入れたいんだけど”って提案して。
ーまだサイダーガール結成の予兆もないのに、タイトルに“サイダー”が入ってる!
知:これは僕がボーカロイドを公開していた時のハンドルネームが“ラムネ”だったので。でも単純に僕、地元でお祭りに行った経験があまりなかったんですけど、上京してから色んな神社とかでお祭りがあって、ラムネの瓶を見たりしてサイダー、という感じで、上京1ヶ月ぐらいで作った曲でした。
ー若干ノスタルジーがあって、むしろ小さい頃の思い出を描いたのかと思ってましたけどね。でも、今のサイダーガールに導いたと言っても過言ではない曲なんですね。
知:そうですね。色んなボカロの曲を公開してましたけど、(Yurinと)一番繋がった曲かもしれないなぁと思ってます。繋がったことによってバンドをやりたいなと思うきっかけになったというか。そういう意味ではもう1曲、僕とフジムラを繋いだ曲もあるんですよ。でもそれはバンドのアレンジがまだ納得いかなくて。
フジムラ:それ、知くんのボーカロイド曲の中でも一番好きな曲なんですよ。「くじらの街」っていうタイトルで。いつか音源化したいね、って知くんとも話したりしてるんですけど、“いや、あれはまだ”って(笑)。
ー今後のお楽しみですね。続いて、TVアニメ「古見さんは、コミュ症です。」OPテーマにもなっている「シンデレラ」。
Yurin:アニメの原作を読んで書いた曲で、作品の世界観に寄り添う形を目指して作っていきました。“多幸感”を考えながら明るい曲になったなという印象ですね。
ーYurinさんは歌詞と曲で先にどちらを書くというのはありますか?
Yurin:僕は曲が先ですね、詞から書いたことはないです。この曲もメロが先で、歌詞が曲に引っ張られちゃうんですよ。なので、こういう曲調だからこういう歌詞を書こう、みたいなところから作るので、この曲も“多幸感”のイメージから曲を明るくしてそこから歌詞も明るくなっていく作りです。歌詞からは作れないですね、もし詞から始めたら暗い曲しか書けないと思う(笑)。
ー面白いです、原作を読んだ上で作っているのであればアニメの世界をまず言語化してからハッピーなメロディをつけていく作り方をしているのかなと思っていたんですけどね。
Yurin:そうですよね。昔から僕、音楽を聞く時も歌詞を見ないタイプだったんですね。メロディと声の感じとかから曲のイメージだったり情景を感じ取っていたので、曲が感情を支配する、みたいなところが昔からあるというか。曲を聴いてこういうイメージだったのに歌詞が全然違うんだ、っていうのが昔からあって。曲が印象を決める、みたいなことが多いので僕もそういう曲作りをするんだろうなと思います。
ーなるほど。でも例えばアレンジで見ても、後半でラッパのパラパラ〜という音が入ってるのと入ってないのでは多幸感が全然変わってきますよね。この曲は江口亮さんとタッグを組んだ楽曲ですが、改めてご一緒して勉強になったことなどは?
Yurin:音数が多いけどそれぞれの音が役割を持っていて、音の使い方はアレンジャー・プロデューサーとして学ぶところがたくさんありました(一同うなずく)。そして、よりポップに、大衆的にしていく作業がすごく上手い方で、この曲も元々はサビ始まりではなかったんですよ。イントロがあってAメロ、っていう流れが歌から始まることですごく分かりやすくなったし、アニメの主題歌としてTVで流れる時は約90秒なので、その時間内でのインパクトで考えた時にはやっぱりサビ始まりで良かったなと思いますね。
ー続く4曲目は「足りない」。
知:これは、詞として完成してる自負があるのであんまり補足することがないというか、他の曲は割とモチーフが明確にあるんですけど、この曲は心の内面を歌っていてちょっと漠然としている部分もありつつも、テーマは、“足りない”。それに尽きると思うんですけど、「上を向いて歩こう」のオマージュ的なところで、上を向いて歩くのは涙がこぼれないようにですけど下を向いて歩くのは涙がこぼれるようにっていう逆・坂本九さん的なインスピレーションが若干、あります。
ーサビの部分が爽やかで美しいですね。
知:サビのコーラスは3声にしたんですよ、皆で歌えたら良いなと思って。僕たち3人で合唱っぽくするのも狙って作りました。レコーディング自体はフジムラの声は入ってなくて仮のデモで歌ってる僕のコーラスが乗ってるんですけど、前にライブでやった時には(フジムラにも)歌ってもらったりして。
ーベースもかなり存在感ある曲なので、ライブが大変かも。
フジムラ:そうですね、作る段階で知くんとも結構打ち合わせをした曲なんですけどベースラインがずっと動いてるというか。AメロBメロのベースのタイトさ、サビの広がりとか結構ベースが支配してる、ベースが引っ張っていく曲だなと思いますね。
ーそしてフジムラさんが手がけた「ピンクムーン」。
フジムラ:自分の中で、前にやったことは出来るだけやりたくないというのがあって。この曲はまずエレキベースを弾いてなくて、鍵盤でベースの音を出すシンセベースを使ってるんですよ。今年の春ぐらいに衝動的に買ったんですけど、そこから勢いで作った曲です。曲を作る上でそこまで悩まなかったんですけど、言葉の部分ですごく悩んで。僕、中学校の頃からラップ・日本のヒップホップを聞いててすごい好きだったんですけど、韻を踏んで意味が繋がっていかなかいと駄目なのにいざ自分が書くとなると言葉は出てくるのに物語としてはズレちゃうっていうことが多くて。このラップもすごく時間がかかりました。こんなに悩むのは初めてくらいのレベルでひねり出しました(笑)、もうギリギリまで。大変でしたけど、改めて出来たものを聞いて新鮮な気持ちにはなれてはいます。今まで自分で曲を作る時ってシンセサイザーってあまり使わなかったんです、今回はベースとプラスして上物でも結構鳴らしたりしてて、スクラッチ音も自分でiPadを繋いでピューン、って回して録音して。色々と遊び心を持って、ワブルベースを使ってみたりとか。
Yurin:結構、人力でやってたよね。
フジムラ:お!サイダーガールはこういう曲もあるんだ!って思ってもらえたら嬉しいですね(一同うなずく)。
ーライブではどうするんだろう?と思いますが?
フジムラ:僕は鍵盤を弾いて演奏します、ベースは背中に回して(笑)!
ーそんなフジムラさんの新しいこととしては、続く「かいじゅうのゆめ」で5弦ベースを弾いてますよね?
フジムラ:弾いてます!前回の全国ツアーで高松に行った時、知くんがライブハウス近くの楽器屋さんに行ってて。それで知くんが“良いベースあったよ”って、とりあえずネットでお店のページを見たら僕が昔っから欲しかったベースが載っててこれはヤバい!と思って、弾くだけ弾きたいなと思って。それでリハの時にマイクを通して“この後、楽器屋さんに行ってきます”って言ったらPAの方が“今行こう!”って(笑)。全員で楽器屋さんに行って、それで試奏してその場で衝動買いしたベースです。いわゆるローBって言って4弦のさらに下にもう1本太い弦がある5弦ベースで、この曲は普段の4弦では出ない音を使いたいということでこれを使うしかない!と初めて実戦投入しましたね。
Yurin:デモを作って、下の音をドロップチューニングしても良かったんですけどせっかく5弦があるなら5弦で弾いた方が良いよなぁと思って。ツアーでも“5弦ベースを買ったんでいつかライブで見られると良いね”みたいなMCもしてたんで、使う機会を作ろうと(笑)。
ー次のツアーで5弦ベースもお披露目でしょうか。
フジムラ:使いますね!見た目のカッコ良さに負けないよう、猛練習ですね(笑)。
Yurin:ちゃんと弾けると良いね。これはわちゃわちゃと、難しい曲を作ろうと思ったんですね。自分たちも演奏するのがしんどいし聴く人も難しい曲を作ろう、と。これはハチャメチャにやりましたね、拍子も変わるしサビ中で転調もあって5弦ベースだし、みたいな。割と特殊な曲でよく分かんない歌詞も書けたなと思って(笑)。
ーちなみに歌詞にある“プラテン”ってどういう意味ですか?
Yurin:天ぷらって偽物っていう意味があるんですけど、業界用語っぽく本物もモノホン、天ぷらもプラテンにしたっていう(一同笑)。実はそういう意味があるのを全然分かりやすくしようともせずに完全に自分勝手に、遊び心を持って書いた感じです。
ー続く「トロール」も効果音がいっぱいで、遊び心ある曲です。
知:これは昔、僕たちが月イチで生配信していた「あなたの炭酸、抜けかかってますよ」という番組内の企画で、作った曲の発表会をしてたんですけど、ハロウィンのテーマの時に作った曲で、それをフル尺で作って。
Yurin:元々デモで入っていた三味線の音がアクセントになるかなと思ってAメロとか落ちサビでも鳴らしてみたりとか。
知:ギターソロの折り返しからベースとギターソロで同じラインを弾くところは竿のアレンジの肝かなと思ってます。歌詞は、ハロウィン時期の渋谷って若者がお酒を飲んで暴れてるのが僕的にはウォーキング・デッドっぽいというかゾンビに見えて、モチーフはそこから得てますね。
ーそして「再見」、読み方は?
Yurin:中国語でサイツェン、ですね。イントロで鳴っている鍵盤がリリースカットピアノと言って、普通の鍵盤は押すと余韻が残るんですけど、これは余韻をカットしてシンセっぽいカラッとした音が鳴るんです。これを使ってみてフレーズを考えていた時にオリエンタルな雰囲気のメロが出来たので、二胡が鳴ってたり中国っぽい音を使って曲を作ってみようかな、と思って出来た曲ですね。
ーこの曲はまさに、恋愛をテーマにYurinさんが描いている曲です。
Yurin:再見って“さよなら”って意味なんですけど、“再び見る”と書いてさよなら、って面白いなと思ってこの単語を使って曲を書きたいなみたいなのがありましたね。“またね”的な意味もあるとは思うんですけど、そういう含みがある裏テーマも作りやすいかなと思って。歌詞の最後の方でお別れのシーンを描いてるんですけど、その後また会うのかもう会わないのかっていうのは聴き手側が想像できるように含みを持たせるようにしていて。1曲の中で、映画を見終わった後の喪失感や本の読了感とか、そういうのを出せたらと思って作りました。
ー確かに含みを持たせて描いてますよね、ズバッと別れを切り出しているわけでなく。
Yurin:さよならするのって労力が要ることですよね、誰しも皆、経験したことがあると思うし、色んな出会いもあれば色んな別れ方もあって。僕はインプットとして割と映画から曲にしていくことが多いんですけど、この曲はたまたまバッドエンドの映画を続けて見ていた時期があって。僕としてはハッピーエンドが見たいのに(笑)。そういう時のインプットから出来た曲でもありますね、なのでハッピーエンドが描けないっていう。
ー続いて「melt」も、恋愛がモチーフですかね。
Yurin:この曲も「トロール」と一緒で月イチの配信企画内で曲の発表会をしていたバレンタイン時期の曲で、元のタイトルは「チョコレート」でした。歌詞は視聴者の方から募って作ったものです。Bメロで三拍子になったり転調したり、バレンタインの時の女の子の浮き沈みじゃないですけどそういうのを曲で表せたらと思って、ワンコーラスを作ってた時よりすごくドラマチックになった感じがしていて。
ー女子の心理をトリッキーなメロディで表現するという。面白い!
Yurin:女の子目線で歌詞を書くことってなかったと思うんです。視聴者の方が寄せてくれた言葉があるから自分の心情だったりを入れ込みすぎず、より俯瞰して作れた曲という感じですね。物語を書く、という行為に近かったかもしれないです。前に進む勇気みたいなものをやっぱりバレンタインの時期って必要だったりすると思うので、この曲を聴いて来年のバレンタインは頑張って欲しいなと!
ーバレンタインがテーマの楽曲なのに、初回盤の特典映像内で“海を感じるギターソロ”とか言ってませんでしたっけ?
知:僕、伊豆で脳内をやられすぎちゃって皆が部屋に戻った後でほぼ徹夜してそのフレーズを考えたんですけど、皆に(出来たフレーズを)聴いてもらったら共感生羞恥みたいな感じとか、バレンタインで冬なのに夏の感じが入ってきちゃって。恥ずかしくなっちゃって、結局DVDだけで聴けますね。
フジムラ:良いソロだったんだけどなぁ、後ろから風が吹いてる感じでね(一同笑)。
知:結果的には音源のギターソロが気に入ってます、はい。
ー「マーブル」もまた、ギターサウンドが良いんですよね。
知:間奏のところですよね、曲が全体的にあったかいのにそこだけ何だか寒くて寂しいみたいな、出来るだけ隙間があるというか。僕も、音を詰め込めるなら詰め込みたいタイプなので、抜いてもカッコ良いところを狙ってたところがあるかもしれないですね。
ー哀愁感がありますよね、あのツインギターにちょっと大人になったサイダーガールを感じるというか。
知:そうですよね。これは僕が重ねて録って、ライブの時は2人で出来たら良いなと思ってますけど、アコギも鳴ってるのでYurinくんにはアコギを弾いて欲しいしどうしようかなとちょっと悩んでますね。あれはツインだから良いのもありますし。
Yurin:ギターが3人必要な曲で、これは要考える、ですね。ライブに落とし込むっていうのは毎回、どの曲も結構大変なんですけどそれも楽しみでもあるっちゃありますね。
ーこの曲は知さんが書いたラブソングですが、情景が非常に見えやすい歌詞で。
知:ラブソングって僕、今までは濁した歌詞にしたかったんですけどストレートに書けたなと思いますね。
ーそしてアルバムの最後を飾るのが「ライラック」。
知:ライラックの花言葉が“思い出”で、一番最初にアルバムに入るのが決まった曲だけど一番最後で然るべきというか。僕は「ライラック」の後に「再見」が最後でも良いかなと思ってたんですけど、話しあった結果この流れになりましたね。
ーそれも一理ありますね。この曲も恋愛がモチーフかもしれないけど、特に後半で歌っている歌詞はこれからも音を鳴らしていく決意のようなものと勝手にシンクロして聴いてしまって。個人的にはすごくラストにふさわしいと思いました。
Yurin:エンドロール感もあるのかなぁと今、順番に並べて話してみたら思いましたね。それと今までのアルバムでも最後の曲はギターロックしてて疾走感とちょっと哀愁があるような曲が多くて、それを踏襲した部分もありました。曲順によって曲の印象も変わるんだなとも思うし、改めてこれで良かったなと思います。
本当に素晴らしいアルバムです。このアルバムを持って来年はツアーに出るわけですが、どんなツアーになりそうでしょうか?
Yurin:見せ方の幅が広がると思っています、フジムラが5弦ベースやシンセベースを使うのもそうだし、とても楽しみです。
知:前作のアルバムツアーって実は出来ていないので、今作はアルバムツアーとしてどういう風に見せていこうかなと考えていくのが楽しみです。前作も気に入っていたのでツアーが出来なかったのはショックだったんですよ。だから今作のツアーではちゃんと伝えられるように、届ける工夫をしなくちゃと思いますね。他のバンドと同じことをしてもしょうがないし、バンドはこうあるべきというものもないので自分たちなりのやり方を見つけて、さらに見せたいなと思っています。
フジムラ:僕はそれこそ前回のファイナルで、ライブがしたくてバンドをしてるみたいなことを言ったんですけど、バンドって何だろう?って考えた時にもちろん命を削って音源も作ってるけど、自分の中でやっぱり一番はライブだと思ってて。ライブは命のエネルギーの補給所じゃないですけど、皆に会いに行って僕らの音楽を届けて皆が喜んでくれたらそれですごく、幸せ度が満たされる。それが自分の今後もモチベーションにも繋がるし、お客さんの生活を豊かに出来るところもあるだろうし、こういう(コロナの)ご時世なので、ライブで命のエネルギーの補給をする場所だけどもそこでさらに命を削ってライブをしたいなと思ってますね、って回りくどいですね(一同笑)。つまり、命を削ってこのアルバムを皆にお届けできたら良いなと思っています。
インタビュー:高橋 ちえ