-
1. ハイ・ディドゥル・ディー・ディー [ピノキオ]
-
ブルーフェアリーから「勇敢で正直で思いやりがあれば、人間の子どもになれる」と告げられたピノキオですが、周りには誘惑がいっぱい。学校へ行く途中で出会ったのは、詐欺師のキツネ。“正直ジョン”と名乗るところが、いかにも胡散臭い。正直ジョンはこの曲でピノキオをそそのかし、人形劇団に売り飛ばそうとしていますが、ピノキオにはそれが分からず、一緒に歌いながらついて行ってしまいます。
-
2. ハートの女王/誰がバラを赤く塗った? [ふしぎの国のアリス]
-
イジワルで短気なハートの女王は、ふしぎの国の住人たちから恐れられる存在。気に入らないことがあると、すぐに「首をはねろ!」と叫びます。この曲のシーンでは、お城の庭に咲く赤いバラが、じつはペンキを塗った白いバラだったことがわかり、ブチ切れ。「首をはねろ!」というお約束の展開に。ハートの女王を演じたのは、『シンデレラ』のフェアリー・ゴッドマザー役で知られるヴェルナ・フェルトン。そのギャップに驚き。
-
3. フック船長はエレガント [ピーター・パン]
-
フック船長の歌といえばこの曲。ウェンディとロストボーイたちを捕まえて、海賊船のマストに縛りつけ、「仲間になるか、さもなければ死刑にするぞ」と迫ります。子分たちは「フック船長と働くのは楽しいよ〜」と歌っていますが、楽しいワケがない。曲を書いたのは、数多くの映画やブロードウェイ・ミュージカルの名曲を生んだ偉大なソングライター、サミー・フェイン(作曲)とサミー・カーン(作詞)。
-
4. 町のクルエラ [101匹わんちゃん]
-
毛皮に目がくらみ、かわいい子犬たちの命を狙うクルエラは、一度見たら忘れられない強烈なキャラクター。ディズニーの伝説的なアニメーター《ナイン・オールドメン》の1人であるマーク・デイヴィスが生んだ名悪役です。売れない作曲家ロジャーは、クルエラから受けた印象をもとに歌を作りますが、それがのちに大ヒットし、ロジャーとわんちゃんたちの生活を救うことに。
-
5. 信じて欲しい [ジャングル・ブック]
-
妖しいムードのこの曲を歌うのは、主人公モーグリを催眠術にかけ、丸飲みしようとするヘビのカー。1967年のアニメーション版では、くまのプーさんの声の主でもあるスターリング・ホロウェイが、カー役を演じています。ちなみに、2016年の実写版『ジャングル・ブック』でカーを演じたのは、スカーレット・ヨハンソン。彼女がこの曲を妖艶に歌うバージョンもあるので、ぜひチェックしてみて。
-
6. ザ・フォニー・キング・オブ・イングランド [ロビンフッド]
-
有名なロビンフッドの物語を動物キャラクターで描いたこの作品は、サントラが日本でCD化されていないこともあり、あまり音楽が浸透していませんが、主題歌の「ラヴ」はアカデミー賞にノミネートされました。この映画の悪役は、リチャード王の代理として国を治めている弟のプリンス・ジョン。重税を課して国民を苦しめている欲深いライオンです。「ザ・フォニー・キング・オブ・イングランド」は、そんなプリンス・ジョンへの反発を込めて、ロビンフッドの仲間たちが歌うナンバー。メインで歌っているのは、ロビンフッドの相棒リトル・ジョンの声を演じた俳優兼シンガーのフィル・ハリス。『ジャングル・ブック』のバルー役や、『おしゃれキャット』のトーマス・オマリー役でも知られています。
-
7. 哀れな人々 [リトル・マーメイド]
-
『リトル・マーメイド』は、作曲家アラン・メンケンが初めて手掛けたディズニー作品。ひと足先にディズニーの仕事をしていた作詞家のハワード・アシュマンに誘われ、彼とのコンビで歴史に残る名曲の数々を生み出しました。海の魔女アースラが歌うこの曲は、ベテラン俳優パット・キャロルの表情豊かでエキセントリックなボーカルが魅力ですが、その歌い方を指導したのもアシュマンでした。
-
8. 強いぞ、ガストン [美女と野獣]
-
数多くいるディズニーヴィランズのなかでも、ガストンを愛するファンの多いことといったら! 顔自慢、力自慢のうぬぼれ屋で、目的のためには手段を選ばない狡猾さも持ちあわせていますが、なぜか憎めないのは、この曲のせいかも。子分のル・フウに持ち上げられて調子に乗ったガストンの“俺様節”がさく裂! 作詞を手掛けたハワード・アシュマンのコメディセンスが光る1曲です。
-
9. 夜襲の歌 [美女と野獣]
-
野獣は子供たちをさらいに来るぞ——そんな言葉で恐怖をあおり、町の人々を野獣退治へと駆り立てるガストンもコワいけど、デマを信じて暴徒化する人々もコワい。群集心理の恐ろしさが、この曲に描かれています。作詞を手掛けたアシュマンは、映画の完成を待たずにエイズで命を落としましたが、当時未知の病だったエイズに対する人々の偏見や恐怖心が、この曲のインスピレーションになったのだとか。
-
10. アバヨ、王子様 [アラジン]
-
『アラジン』の悪役といえば、アグラバー王国の邪悪な大臣ジャファー。得意の催眠術を使ってジャスミン王女と無理やり結婚し、王位に就こうと目論んでいたものの、アリ王子の登場でピンチに。そこでジャファーは魔法のランプを手に入れて、アリ王子の正体を暴露。そのシーンで歌うのが「アバヨ、王子様」で、「アリ王子のお通り」のリプライズになっています。曲の終わりに響きわたる“悪役笑い”が最高!
-
11. ウギー・ブギーのうた [ナイトメアー・ビフォア・クリスマス]
-
イカサマが得意なギャンブラーのウギー・ブギーは、体のなかに無数の虫が詰まっているという、なんとも気持ち悪いキャラクター。でもエンターテイナーとしての才能は抜群で、サンタクロースを拷問にかけながら、恐ろしくも魅力的なパフォーマンスをみせてくれます。ウギー・ブギーのモデルになったのは、1930〜40年代に活躍した稀代のエンターテイナー、キャブ・キャロウェイ。
-
12. 準備をしておけ [ライオン・キング]
-
偉大なライオンの王ムファサに対してコンプレックスを抱いているのが、はみ出し者の弟スカー。力では兄にかなわないため、ハイエナたちと手を組んで、ムファサを亡き者にしようと企みます。そんなスカーが数百頭のハイエナ軍団を前に、「自分こそが次の王になる!」と宣言するのがこの曲。スカー役の名優ジェレミー・アイアンズの鬼気迫る名演に酔いしれて。
-
13. マイン、マイン、マイン [ポカホンタス]
-
舞台は17世紀のアメリカ。先住民たちが暮らすヴァージニアの海岸に、イギリスから開拓団がやって来ます。船から降り立った探検家ジョン・スミスが求めているのは、心躍る冒険。それに対して、開拓団を率いるラトクリフ総督が求めているのは、金鉱を掘り当てること。そんな2人の違いが、この曲で浮き彫りに。アラン・メンケン(作曲)とスティーヴン・シュワルツ(作詞)が初タッグを組んだ作品です。
-
14. 天使が僕に/罪の炎 [ノートルダムの鐘]
-
『ノートルダムの鐘』の悪役フロローは、社会のはみ出し者を容赦なく一掃しようとする冷酷な判事。しかも、それが正義だと信じているのだからタチが悪い。この曲はカジモドが歌う「天使が僕に」とフロローが歌う「罪の炎」がメドレーになっていますが、エスメラルダへの想いを、カジモドは“天国の光”、フロローは“地獄の炎”と表現しているのが対照的。次第に狂気を帯びていくフロローのボーカルが鳥肌もの!
-
15. スナッフ・アウト・ザ・ライト [ラマになった王様]
-
『ラマになった王様』では、ミュージシャンのスティングが劇中歌の作詞・作曲を担当。かなり気合いを入れて印象的な曲の数々を書き上げましたが、途中で大幅なストーリー変更があり、ほとんどの曲がお蔵入りになるという、まさかの事態に。悪役のイズマが「スナッフ・アウト・ザ・ライト」を歌うシーンも、カットされてしまいました。ただし、本編未使用の3曲がボーナストラックとしてサントラに収録されたのは、ファンにとってせめてもの救い。この曲は、サントラでしか聴けなかった幻の悪役ソングです。
-
16. ヨーデル・エイドル・イードル・アイドル・ウー [ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え!]
-
アラン・メンケンが作曲したにもかかわらず、日本では劇場未公開だったため、意外と知られていないのが『ホーム・オン・ザ・レンジ』の音楽。この曲は異色のカントリー・ヨーデルで、一度聴いたらクセになること間違いナシ。歌っているのは、お尋ね者の牛泥棒アラメダ・スリム。彼は何百頭もの牛を、誰にも気づかれずに盗み出すのですが、その秘密は音楽にあり。顔に似合わぬ甘い声でヨーデルを歌い、牛たちをあやつっていたのです。聞いている私たちまで催眠術にかかってしまいそう。
-
17. ファシリエの企み [プリンセスと魔法のキス]
-
1920年代のニューオーリンズを物語の舞台にし、ジャズ、ブルース、ザディコといった当地にゆかりの音楽を取り入れたのが、『プリンセスと魔法のキス』。ドクター・ファシリエは、邪悪な心を持つブードゥーの魔術師。花嫁を探しにアメリカへやって来たマルドニア王国のナヴィーン王子に目をつけ、彼をカエルに変えてしまいます。ファシリエ役を演じた俳優キース・デイヴィッドの低音ボイスが、なんとも魅力的。
-
18. お母様はあなたの味方 [塔の上のラプンツェル]
-
『塔の上のラプンツェル』の悪女ゴーテルは、ラプンツェルを誘拐し、塔の上に閉じ込めた張本人。じつは400歳の老婆ですが、ラプンツェルの魔法の髪に触れることで、若さを保っているのです。そんなゴーテルの性格は“ドラマクイーン”、つまりドラマのヒロイン気取りで、いちいち大げさに騒ぎ立てるタイプ。この曲では、ラプンツェルを言葉巧みに操ろうとしますが、芝居がかった歌い方がいかにもゴーテルらしい。
-
19. シャイニー [モアナと伝説の海]
-
海底のモンスター、タマトアが歌うこの曲は、1970年代に流行したグラムロック風。なぜなら、タマトアは全身を光り輝くもので飾り立て、あでやか(=グラム)に見せることに執着しているキャラクターだから。グラムロックの代表格、デヴィッド・ボウイにオマージュを捧げた魅惑的なナンバーです。収録されているのは英語版ですが、日本語版タマトアを演じたROLLYのバージョンもお薦め。
-
20. グリム・グリニング・ゴースト [ホーンテッドマンション] ボーナス・トラック
-
ディズニーランドのアトラクション「ホーンテッドマンション」の有名なテーマソング。アトラクション内でゴーストたちが歌っているだけでなく、誰もいないのに突然鳴りだすピアノや、吹き抜ける風の音も、みんなこのメロディになっています。いかにも取りつかれそうなメロディを書いたのは、1950年代〜80年代にディズニーで活躍した偉大な作曲家バディ・ベイカー。あえて不協和音を奏でて、不気味さを演出しているのがポイント。
-
21. ザ・ヘッドレス・ホースマン [イカボードとトード氏]ボーナス・トラック
-
日本では知る人ぞ知る『イカボードとトード氏』ですが、カリフォルニアのディズニーランド・パークには、この映画をもとにしたアトラクションがあるほどの人気作。ヒキガエルのトード氏が繰り広げるワイルドな冒険の物語と、伝説の亡霊“首なし騎士”をめぐる物語の2本立てになっています。「ザ・ヘッドレス・ホースマン」は“首なし騎士”からのナンバーで、ハロウィーンの夜に現れるという首なし騎士の伝説を伝える歌。映画のなかでは往年の大スター、ビング・クロスビーが歌っていますが、このアルバムで聴けるのは、コーラスグループ《ザ・メローメン》のメンバーで、ディズニーレジェンドとしても知られるサール・レイブンズクロフトによるカバーバージョンです。
-
22. ハロウィーン・タウンへようこそ [ナイトメアー・ビフォア・クリスマス]ボーナス・トラック
-
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』は、ティム・バートン(製作・原案・キャラクター設定)とダニー・エルフマン(作詞・作曲)が作り上げた唯一無二のミュージカル・ファンタジー。この曲を歌うのは、吸血鬼や狼男、魔女、ガイコツ、死体など(でも悪役じゃないけどね)。愛すべきハロウィーン・タウンの住人たちが総出演で贈るオープニングナンバーで、独特の世界観に引き込まれます。