GUITARHYTHM Ⅶ〜解説
最速でお届けする『GUITARHYTHM Ⅶ』解説の連載。長年、布袋寅泰作品リリースごとに取材を行なってきた”音楽コンシェルジュ”、ふくりゅう氏がいよいよ今週発売を迎える『G7』を、いち早くファンの皆さんにその魅力を解説!
第4回テキストが公開!
『GUITARHYTHM Ⅶ』 全曲解説 〜後編〜
“自由な音楽にしたい”という想いと、“7”という数字にイマジネーションを掻き立てられ完成した、『GUITARHYTHM Ⅶ』。制作にあたり、目の前にある現実や世界情勢は無視できず、ただのファンタジーではなく、リアルからインスパイアされた要素が創作の火種になったという。日常は、混沌としている一方、かつて人類が描いてきた未来が完成する一歩手前でもあり、それゆえの自由や不自由が巻き起こす混乱。迷い揺れながら、沸き起こる不安や恐怖。そして、愛と向き合って誕生した、全10曲の作品たち。
モダンでありながらクラシック。緻密なバランスの取れたアルバム作品へと仕上がった、ギターミュージックの進化形『GUITARHYTHM Ⅶ』。キャリアや年齢によって経験を重ねたことで、GUITARHYTHM初期の瞬発性だけではない、筆圧や言葉の深みが反映された芳醇な音世界が創造された。
6曲目:「Domino」
アルバム制作にあたり、まず取り組んだのが中毒性高い跳ねるビートの本作。ギターリフが、タイトルにあるドミノのように音階が下がって展開していく。それはまるで螺旋のようにメビウスの輪の如く、重力を越えて繋がっているかのようだ。敢えて選んだという歪みある80’s寄りなサウンドメイク。人懐っこいせつなポップなメロディー。森雪之丞による不条理を描いた歌詞世界。アバンギャルドな表現から生まれた人生の理。実に“GUITARHYTHMらしい”ポップアート・ソングの完成だ。
7曲目:「Mystic 7」
絨毯に乗って未来の扉を探しに古の旅に出ようという物語。それは、映画のような世界観であり、地球上のさまざまな謎を“7”というキーワードで暴き出す。曲作りでは“7音ずつ展開したり、メジャー7とマイナー7をぶつけるのも面白いね”など、空想を膨らませていった。ゆえに、スコアはまるで宝の地図のようでもある。マーク・ボランの妖艶さとレッド・ツェッペリンの強靭さを持ち合わせた、トリッキーでグラマラスなロックンロールの誕生だ。デモのタイトルは「Zepp Bolan」だったという。
8曲目:「Eternal Symphony」
前作『Still Dreamin'』からの系譜を感じるナンバー。前へ進むためのきっかけを模索するリリックは、ロンドンの地下鉄をグルグル回りながら思いついたという。さまざまな人種や国籍。それぞれの想いが街のなかに溢れては消えていく。テクノロジーは前進し、ものすごいスピードで時代は変わっていくが、一人ひとりに存在する意味があるというヒューマニティを描いた作品。“思い出は重なって 消えない虹となって どんな苦しい時も 支えてくれるから”という言葉に、深い重みを感じる。
9曲目:「Horizon」
布袋曰く“ジェフ・ベックや天に渡った人々へのレクイエム”。たとえ天に昇ってとしても、感謝はずっと続いていくという愛の深さを描きたかった”という本作。無限に広がっていく地平線という意味を込めてタイトルは「Horizon」となった。『GUITARHYTHM Ⅶ』で描かれたダークな世界。来るところまで来てしまった現実という名の未来。しかし、問題を乗り越えることで新たな希望を見出してきた人類の歴史。そんな希望の光が、ギターとストリングスのハーモニーによって表現されている。
10曲目:「Break The Chain」
アルバムを締めくくる、ヒリヒリとしたビートを感じられるパンキッシュなロックチューン。布袋が、世に問うテーマがタイトルとなったファン待望のキラーチューンだ。ライブでの高揚感が楽しみなナンバーでもある。こうして完成した『GUITARHYTHM Ⅶ』は、世界的にもギターミュージックとして類を見ないアルバム作品となった。“中毒性あるから、最後まで聴いたらまた聴きたくなるんじゃない? アルバムというエネルギーを感じてほしいね。じっくり、ゆったりと楽しめる、ラグジュアリーな作品になっているはず”と語る布袋。時間を捧げ、全10曲が紡ぐ物語に浸る喜びを味わってほしい。
ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
最速でお届けする『GUITARHYTHM Ⅶ』解説の連載がスタート。長年、布袋寅泰作品リリースごとに取材を行なってきた”音楽コンシェルジュ”、ふくりゅう氏が『G7』を、いち早くファンの皆さんにその魅力を解説!
第3回テキストが公開!
『GUITARHYTHM Ⅶ』 全曲解説 〜前編〜
“自由な音楽にしたい”という想いと、“7”という数字にイマジネーションを掻き立てられ完成した、『GUITARHYTHM Ⅶ』。制作にあたり、目の前にある現実や世界情勢は無視できず、ただのファンタジーではなく、リアルからインスパイアされた要素が創作の火種になったという。日常は、混沌としている一方、かつて人類が描いてきた未来が完成する一歩手前でもあり、それゆえの自由や不自由が巻き起こす混乱。迷い揺れながら、沸き起こる不安や恐怖。そして、愛と向き合って誕生した、全10曲の作品たち。
モダンでありながらクラシック。緻密なバランスの取れたアルバム作品へと仕上がった、ギターミュージックの進化形『GUITARHYTHM Ⅶ』。キャリアや年齢によって経験を重ねたことで、GUITARHYTHM初期の瞬発性だけではない、筆圧や言葉の深みが反映された芳醇な音世界が創造された。
1曲目:「AI Rising」
アルバムのキーヴィジュアルに登場する、映画『2001年宇宙の旅』のHAL 9000を彷彿とさせる赤く光るカメラアイ。それはAIをイメージしたアイコンだ。布袋による、アルバムに向けられたコンセプトを、リアリスティックなSFオマージュとして、サイモン・ヘイルの手によるオーバーチュアからイントロダクションが誘われる。まるで、映画のようでありNetflixでのSF作品のような緊張感。GUITARHYTHMと溶け合い、イマジネーション広がるオーケストレーションによる芳醇な音の調べ。
2曲目:「Midnight Sun」
『バットマン』のゴッサム・シティのようなイメージ。Midnight Sunとは、この星が危なくなってきた危機感が生んだダークヒーローだ。それは、アルバム『GUITARHYTHM Ⅶ』をオープニングから導くアジテーター。山木秀夫によるドラムと、KenKenのベース、そしてグルーヴするカッティングギターが、グラムロックをエレクトリックなブギーへとアッパーにアップデート。ギターソロで吐露する傷だらけの心情、せつなくも気高い思いの強さ。ライブを牽引するであろう、キーとなるナンバーだ。
3曲目:「Isolation」
マシーンナリーなビートと叫びのようなギターリフが相乗効果を生み、“隔離”をキーワードにストーリーを紡ぐ、俯瞰視点からの布袋の歌がドラマティックに響き渡る。ダンテの『神曲』のごとく、さまざまな言葉が降り注ぐ森雪之丞の作詞による、“独裁者が押した 自爆装置を止め / 歯車に挟まれた 天使の悲鳴を聴け”の一節が胸に刺さりまくる。声にならない叫び、想いはギターソロでロングに表現。ギターソロへ没入することで、訴えるべき言葉のエネルギーをより増幅させていく。
4曲目:「Andromeda(feat. アイナ・ジ・エンド)」
曲作りは、魔法のように迷いがなくイントロから一筆書きで2時間で完成したという。アンドロイド=AIとの対話で展開する物語。ハートが濡れる日=AIのジ・エンドへと物語は突き進む。フィーチャリングで参加したアイナ・ジ・エンドによる、今にも泣き出しそうな唯一無二の歌声。ギターソロでは、まるで楽器のように声で呼応するシーンなど聴きどころ満載。映画『ブレードランナー』を彷彿させるイントロダクションのギターは、アウトロにも螺旋していく。完璧な構成によるロックミュージックだ。
5曲目:「Highway Star」
放射する光の中を疾走するイメージ。ギターミュージックの進化を描いた、時空を超えたキラーチューンの誕生だ。リスペクトを込めてロックの古典を破壊して再構築する、パンクな精神性。ニューウェイ ヴを志向してきた布袋は、ディープ・パープルのようなハードロックからは一線を引いていた。ゆえに、圧巻の完成度に驚愕する選曲となった。ギミックは増し、GUITARHYTHMサウンドのルーツのひとつであるジグ・ジグ・スパトニックのギタリスト、ニールXが参加。編曲とミックスにジグジグからバンド名を拝借したBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之も参加しているなど、話題だ。
ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
最速でお届けする『GUITARHYTHM Ⅶ』解説の連載がスタート。長年、布袋寅泰作品リリースごとに取材を行なってきた”音楽コンシェルジュ”、ふくりゅう氏が『G7』を、いち早くファンの皆さんにその魅力を解説!
第2回テキスト公開!
アルバム『GUITARHYTHM Ⅶ』は、リアリスティックなSFオマージュとしてオーケストレーションを奏でるオーバーチュア「AI Rising」で映画のように幕を開ける。
オープニングは、ダークスター像が垣間見え「Midnight Sun」でエレクトリックなBoogieをかき鳴らす。
「Isolation」では“独裁者が押した 自爆装置を止め / 歯車に挟まれた 天使の悲鳴を聴け”と歌う。
アンドロイドと人間の極限での会話を「Andromeda(feat. アイナ・ジ・エンド)」では、スペーシーかつエモーショナルにつながりを表現。
驚きの選曲センスが“寝かし頃”絶妙な「Highway Star」のカバーでは、ロックレジェンドをギタリズム色全開に再構築。空飛ぶ車で、ハイウェイを疾走するイメージだ。
楽曲構成にもこだわりをみせるロマンティックかつ妖艶な「Domino」。
ドラマティックに謎めいたセカイを「Mystic 7」で自由に泳ぎ。
情報過多な時代、揺れ動く心情を「Eternal Symphony」で癒していく。
ギターインストにオーケストレーションのシャワーが降り注ぐ「Horizon」で広がる絶景。
オーラスは切迫した雰囲気のもと「Break The Chain」でパンキッシュ全開に突き抜けていく。
アルバムとして最後まで聴いたら、思わず再生ボタンをもう一度押したくなる中毒性の高さ。原点回帰!? いや、螺旋階段上に時空をのぼり詰めた先の風景が新鮮なのだ。
ギタリズム誕生から35年。布袋寅泰は、曲がりくねったジャーニーを経て『GUITARHYTHM Ⅶ』へとたどり着いた。それは、人類が何処へ向かうべきか。そんな問いに対する布袋からの回答だ。結果、世界中の何処にも存在しない輝きを解き放つオーパーツのようなアルバム作品が誕生した。布袋は、自ら築き上げたかつての伝説をアップデートしていく。
ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
最速でお届けする『GUITARHYTHM Ⅶ』解説の連載がスタート。
長年、布袋寅泰作品リリースごとに取材を行なってきた”音楽コンシェルジュ”、ふくりゅう氏が『G7』を、いち早くファンの皆さんにその魅力を解説!
第1回テキストが公開です!
現実が物語のセカイを追い越したとき、ヒューマンはどんな夢を見るか。2023年、早すぎたシンギュラリティの到来。
カオスの時代に、布袋寅泰はアルバム作品『GUITARHYTHM Ⅶ』を完成させた。
《GUITAR+RHYTHM=GUITARHYTHM》
映画『ブレードランナー』以降のサイバーパンクなSF的世界観を、ギターサウンドを軸にテクノロジーとイマジネーションによって破壊と再構築するライフワーク=ギタリズム・プロジェクト。
バンドでもユニットでもない。布袋ならではのアートフォームだ。
シリーズは“7”作目へとたどり着いた。“出したい作品というよりも、出すべき作品”と語る布袋。
吐き出さねばならない、アーティストの魂の解放。
描かれるテーマはAI、ChatGPT時代に揺れる人類の業だ。
謎を解き明かすキーワードは“7”。
世界は7日間で誕生し、7つの不思議、7つの海、7つの門、7つ道具、大罪の7、北斗の7、Lucky7、第7天国、虹は7色。7という数字は、不可思議な世界を乗り越えていく数秘である。
『GUITARHYTHM Ⅶ』に収められた10編の楽曲は、それぞれにストーリーを奏でるが、ふとしたひらめきによって、点と点が結びつく瞬間が起きる。
それは、音の入れ物であるフォーマットに作品を合わせるのではなく、想像力を掻き立てる“作品ファースト”のスピリットによるマジックだ。
シルバーに輝くメタリックな革ジャンをまとったロックンローラーは、運命に抗う。
滅びゆく時代だからこそ心が見える。ロックをポップアートとしてとらえ、サウンドをイマジネーションによって可視化。ビートの効いた【スピード】サウンドをギターで【リフレイン】。流麗なる【メロディ】を【コンピュータ】によって破壊と同時に再構築する【パンク】スピリッツ。
グルーヴは成熟し、ロマンティックかつアバンギャルドに、奥深い世界観は無限の可能性を秘めて広がりをみせていく。
(次回に続く)