あまりにも幅広い林檎ちゃんの音楽性のルーツを探るべく、林檎ちゃんの音楽遍歴を追跡する「椎名林檎の作り方」第3弾!

●中学生でモータウン、ソウルやR&Bに目覚めた林檎ちゃんは高校生になるとどうなっていくんですか?
林檎:まあ、思春期の時にブランキーとかレディオヘッドとの出会いがまずあって、高校は2年生の途中でやめちゃうんですけど、高校時代といって思い出すのはビョーク(注1)のファーストアルバム『debut』かな。当時はビョークを聴いて、けっこう自分が解放されたような感じがしましたね。

●林檎ちゃんの詞には度々シド・ヴィシャス(注2)の名前が出てきますけど、セックス・ピストルズ(注3)との出会いというと?
林檎:ビョークと同時期、15〜16歳ぐらい。

●やっぱり、セックス・ピストルズはよく聴いてたんですか?
林檎:う〜ん、セックス・ピストルズはビデオとか観てすごく影響を受けたんですけど、音としてたくさん聴いていたというとレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(注4)とかかな? あとは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(注5)の黄色いジャケット『イーヴィル・エンパイア』とか、パール・ジャム(注6)の『ノー・コード』とかが大好きですごく聴いてましたね。

●いわゆるグランジ系を?
林檎:そうですね、いわゆる(笑)。で、高校をやめた後は、トッド・ラングレン(注7)とかレッド・ツェッペリン(注8)とかかな。今から考えると感覚が昔に戻ってたんでしょうね。改めてビートルズのホワイトアルバム(注9)がグワーっときたりして、ものすごく新しい感じがしたんですよ。

次回、デビュー編に続く


注1)アイスランド出身の女性ヴォーカリスト。個性的なヴォーカル・スタイルとクロスオーバーなサウンドで、その後の女性ヴォーカリスト達に多大な影響を与えた。
注2)セックス・ピストルズのベーシスト。良い意味でも悪い意味でもパンクのイメージを決定づけた暴れん坊。
注3)言わずと知れたパンクの代名詞的バンド。林檎ちゃんの巻き舌は、ヴォーカルのジョニー・ロットンの影響か?
注4)84年のデビュー以来、常にシーンをリードし続けているミクスチャー・ロックの代表格。
注5)「最強のロックバンド」との呼び声も高い、90年代を代表するハードロックバンド。
注6)ニルヴァーナと並んでグランジ&オルタナティヴを代表するバンド。
注7)70年代初頭から現在に至るまで常に第一線で活躍する天才アーティスト。プロのミュージシャンからの支持も高く、「musician’s musician」と呼ばれている。
注8)言わずと知れた70年代を席巻したイギリスのハードロックバンド。ギタリストは天才ジミー・ペイジ。
注9)ビートルズの9枚目のオリジナル・アルバム。正式のタイトルは『The BEATLS』だが、真っ白なアルバム・ジャケットが話題となり「ホワイト・アルバム」の通称がついた。