公式発言第二弾

──ちなみに、この曲のビデオクリップはどういうコンセプトなんですか?
林檎「今回、私のなかでは、監督の番場(秀一)さんとヘアーメイクの小西(神士)さん、それから、スタイリストの伊賀(大介)さんの3人に必要以上に入れ知恵をしないっていうコンセプトがあって、そのうえでお任せした時に“どうなるんだろう?”っていうのが見たかったんです。でも、番場さんには“例えば~の映画みたいな”っていう在りものの世界ではなく、“番場さんのなかにあるモチーフがない世界を作って欲しい”ってお願いして。映像って目に見えるものだから、すごく難しいとは思ったんですけど……あと、“ちょっとだけ未来で~”ってことは提案させて頂きました」
──どうして、未来な方向性を提案したんですか?
林檎「今回の音からすると、懐古趣味的になりがちになるだろうなって思ったし、音を追わない世界にして欲しかったんです」
──オーケストラ・アレンジだと、古めかしいイメージになりがちですけど、今回、林檎ちゃんが曲で意図したのは現代的なアレンジですもんね。
林檎「そうですね。そこは意識しましたから」
──撮影現場を拝見させて頂いたら、一つのセットで撮っていたし、当然、コンピューターグラフィックの加工も撮影後だったわけで、どういう作品になるか全く想像が付かなかったです。
林檎「ね。「迷彩」も同じセットで完結した作品でしたけど、動きがあったから、作品の仕上がりは想像が付いたと思うんですけど……今回は撮影を見ていても分からなかったんじゃないかと思います」
──あと、林檎ちゃんがビデオ中で着ている肌色のドレスは伊賀さんのオートクチュールなんですよね?
林檎「そうそう。伊賀さんは小林賢太郎さんの舞台で忙しいはずなのに、いつの間にかに作ってくださったんです。私は“裸体に近いイメージ。でも、見せたくない部分はあるって感じの服を用意してください”ってお願いしたので、布とか貝を持ってきてくださるのかと思ったんですけど(笑)」
──(笑)貝って……武田久美子じゃないんですから!
林檎「貝、良くないですか?」
──いま、イケてるかもしれませんね(笑)。
林檎「でも、伊賀さんは賣笑エクスタシーで着たドレスも作ってくださったり、毎回、手の込んだお仕事をして頂いていて」
──ちなみに今回の撮影で、林檎ちゃんのハイライトは?
林檎「細かい石で満たした浴槽のなかに私が立っていたんですけど、その石が足に食い込んで、肌がボコボコになったところ(笑)」
──あはははは。でも、それはビデオじゃ、分からないっていう。
林檎「一応、ビデオには押さえてあるので、別エディットで、もう一本作ればいいんじゃないですか(笑)。でもね、あのシーンでは前屈み気味の変な角度で立っていたので、その体勢を腹筋でキープしてたんですけど、だんだん感覚がなくなってきちゃって……ガラスを割る「本能」の撮影と比べれば、今回は地味ではあるんですけど、PVは体を張るっていうイメージ通りの撮影でしたよね」
──しかも、CGと合成するために、長い時間、体を動かせない状態になってたり。
林檎「そうそう。息をしちゃうと、体が動いちゃいそうで……あれは難しかったですよね」
──あと、林檎ちゃんの踊りにはバレエ的な要素が取り入れられてましたよね?
林檎「ちょっと習っていたからといっても、自分の曲では難しいですよね。あの動きは、最初、アドリブでっていうことになっていたんですけど、急にやるのは難しいっていうことで撮影の合間にお話して決めたんです。ただ、足の動きはいらないって言われたので、クラシック・バレエのスタンダードな手の動きを取り入れたという」
──完成したビデオは、肺のなかが浴室になっているというセットとコンピューターグラフィックが非日常的で美しい空間が広がっていますが、出来上がりはいかがですか?
林檎「番場さんが作られたビデオは、架空の世界っていう作品はいっぱいあるんですけど、未来的な作品って、あんまり見たことがなくて、まさにこういう作品を拝見したかったです。」
──あと、「性的ヒーリング」には毎回、お馴染みのおまけ映像が収録されているわけですが、今回は……というか、作品を重ねるごとにパワーアップしてません?
林檎「ね。なかなか頑張ってたでしょ。私としては結構な演技度数ですよ(笑)」
──一応、おまけ映像なので、多くは語れないと思うんですけど、あの白熱の演技といったら、もう!
林檎「すごいでしょう。また一つ大人になったでしょう?」
──爆笑しながらの撮影でしたけど(笑)。
林檎「やっぱり、笑っちゃいますよね。しかも、その選曲がまた可笑しくて、シェイバーのCMで、なんであの曲がっていう。それがいまだに腑に落ちないんです けど」
──あはははは。
林檎「なんで、あんなにワイルドなんだろうっていう(笑)」
──や、それは相手の怪優さんがワイルドだったということで(笑)。
林檎「(笑)ね。半裸で。あれはたまらないですよね。でも、あの撮影はホントに頑張りましたよ。だって、普通、あんな顔しませんもん。初めて見ましたよ (笑)」
──撮影場所もあんなところで……
林檎「ライティングも、地中海に照りつける感じが完璧でしたよね」
──あと、東芝の元宣伝担当氏をはじめ、怪優陣がまたしても豪華で。
林檎「宣伝担当の方には目隠しをして頂いたり、苦悶の顔を撮ったりしたので、もっとフィーチャーされると思ったんですけど、最終的には後ろ姿ばっかり(笑)。あと、一番最後の社会科見学の映像はいかがでした?」
──大の大人があのテンションの高い映像をを朝早く集まって撮ってるってことを考えると、なんだかすごい世界だな、と(笑)。
林檎「(笑)ちょっとねぇ。私としては映像に付ける音楽もやりたかったんですけど、音も関係なくて、キャラクターだけ私が書いたイラストをもとにしているんです。それ以外、全く関与してないんです。人のビデオだと思って、まったく、もう……(笑)」