DVD Single「COLORS」
Don Cameronインタビュー |
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1)『COLORS』のミュージック・ビデオのコンセプトは?
(始めてこの歌を聞いた時の印象は?)
いつまでも印象に残る宇多田ヒカルのパフォーマンスがこのビデオの中心となります。
彼女のパフォーマンスはいわゆる動的なものですが、あえて感情から離れたところで表現する事で、周囲の物をコントロールして、感化しているような印象を与えていると思います。
このプロモーションビデオは視聴者を外から内的な世界への旅へと導いて、“自然”と、人の創り出すもの“シンセティック”とのコントラストを見せているのです。
森から建物のエントランス、そして廊下へ……と、ヒカルの旅は“自然”と“シンセティック”な世界を1つのものにうまく融合させている。そしてその結合が最後のブレイクでクライマックスを迎えるのです。廊下のインテリア(天井のライトやウォーター・スペース)がフラッシュ・フレームで自然界にある対照的なイメージ(太陽や海など)を呼び起こすシーンがそれです。
このビデオはエナジーに溢れ、気持ちのテンションを高め、そしてプロアクティブな気にさせてくれる。コレオグラフィーが折り込まれた束縛されない自由なストーリーとパフォーマンスが、斬新なグラフィックス・アプローチで表現されているのです。
2)このビデオを制作するにあたって最も難しかった部分は何ですか?
いくつもの要素(音楽、ビジュアル、情感)をもつフィルムを創る上で、当初は、宇多田ヒカルが東京、僕がロンドンという物理的な距離が一番難しい部分になると思っていました。でも、結果的にはこの距離が自由を与えてくれたんだと思います。僕が受け取った最初の『COLORS』は歌詞が書かれる前のデモテープでした。宇多田ヒカルと僕は、別々の国で、同時進行で、彼女が音楽のコンセプトを、僕がビジュアルのコンセプトを創っていました。最初のうちはあまりコミュニケーションをしませんでした。
僕は構造的に創ろうと決心して、各トラックの構成部分である歌、コーラス、インストなど、それぞれのビジュアル・アイデアをまず創りました。これが、できあがったビデオがイメージとパフォーマンスで動かされている理由のひとつなのです。
そして『COLORS』の音楽ができあがっていくにつれ、次々に構成分子が僕のところに渡って来ました。インストバージョン、ラフMIXバージョン、歌詞を変更する前のバージョン、そして完パケと、順を追って僕の手元に届いたのです。曲の進化と共に、僕も各要素にフォーカスをあてながらコンセプトに磨きをかけることができたのです。
歌詞ができた時には、僕の方でもビデオの全体的な雰囲気とアプローチができあがっていました。ビジュアル面の“旅”(物質的、精神的、そして感情的な)のコンセプトと彼女の歌詞がしっくりと噛み合っているのに驚いたのを覚えています。ヒカルに最初会ったのはコンセプトの締め切りの3日前だったのですが、音楽とビジュアルのコンセプトがぴったりだったのは、お互いに驚かされたものです。
3)最もやりがいのあったプロセスは何ですか?
こういったコンセプトを創る時に一番やりがいのある部分は、視聴者が見るたびに新しい発見ができるようなストーリーを創り上げることなのです。だから、答えるより問いかけの方が多くて、視聴者とストーリーとがインタラクティブな関係で、それぞれが自分の結論を見られるような、自由なストーリーを創りたかった。
4)このクリップの中でフォーカスして見てほしいところ、見逃さないでほしいところはどこですか?
ナチュラルとシンセティックの世界がつながる最後のコーラスの後で、それをはっきりと認識するところがこのビデオのピボット的瞬間。この一連のシーンは、ヒカルの外から内へのパフォーマンスの旅を通して自然が解放されるところなのです。
5)宇多田ヒカルと仕事をしてみた印象は?
どんなクリエイティブなコラボレーションでも、お互いの仕事に対して信頼と敬意をもつことが最高な事です。ヒカルはどんな提案にもオープンで積極的に参加して、素晴らしい現場の雰囲気をつくってくれました。その結果、これまでにない彼女の局面が見い出せ、彼女のスクリーンでのイメージを全く新しい方向性で展開するビデオができたのです。
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