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Release
2024年4月にTOKYO ARIAKE ARENAにて開催したヨルシカ LIVE 2024「月と猫のダンス」を収録したBlu-ray & DVD。ヨルシカが昨年4月にリリースした音楽画集「幻燈」を題材とした、ヨルシカの音楽ライブと役者による朗読劇を組み合わせたコンセプトライブ。
Blu-ray/DVD初回限定盤は、デジパックとライブ会場でも配布したポストカード、そしてライブ出演のメンバーたちによる座談会インタビューやステージセットの写真を掲載している「月と猫のダンス」パンフレットと、朗読劇「月と猫のダンス」台本の2冊の本が三方背ケースに収納された特殊仕様。
初回限定盤DVD/BD
■三方背ケース+デジパック+ポストカード+「月と猫のダンス」パンフレット(40P)+「月と猫のダンス」朗読劇台本(72P)
- Blu-ray:
- ¥8,580(本体¥7,800)/ UPXH-9037
- DVD:
- ¥7,480(本体¥6,800)/ UPBH-9577
通常盤DVD/BD
※トールケース
- Blu-ray:
- ¥6,380(本体¥5,800)/ UPXH-1090
- DVD:
- ¥5,280(本体¥4,800)/ UPBH-1517
ライブ映像全編を10月上旬ヨルシカYouTubeチャンネルにも公開予定です。映像自体は商品と同じ内容となりますので予めご了承ください。
収録曲
- 朗読「絵描きの男」
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01.ブレーメン
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02.雨とカプチーノ
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- 朗読「カナリア」
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03.さよならモルテン
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04.又三郎
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- 朗読「蛙」
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05.月に吠える
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06.451
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- 朗読「電話」
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07.都落ち
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08.ただ君に晴れ
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09.チノカテ
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- 朗読「砂浜」
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10.第五夜
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11.雪国
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12.いさな
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- 朗読「電話」
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13.斜陽
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14.靴の花火
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- 朗読「猫」
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15.左右盲
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16.春泥棒
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17.アルジャーノン
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- 朗読「個展」
※収録時間:約130分
※字幕:日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)
●購入者先着特典
以下のCDショップでは『ヨルシカLIVE「月と猫のダンス」』をご購入の方に先着で特典をお渡しいたします。
※2024年7月25日(木)までにご予約いただいた方には、発売日以降商品と一緒にお渡しできます。この期間を過ぎますと、予定数に達した店舗などでは特典をお付けできない場合がございますのでご注意ください。
楽天ブックス:スマホショルダー
Amazon.co.jp:A4サイズクリアファイル
タワーレコードオンライン:デジタル(AR)フォトフレーム用シリアルナンバー <絵柄A・2種ランダム>
HMV&BOOKS online:デジタル(AR)フォトフレーム用シリアルナンバー <絵柄B・2種ランダム>
★デジタル(AR)フォトフレーム…
お手元のスマートフォンやタブレットでシリアルナンバーを使ってサイトにアクセスすると、ARカメラが起動してフォトフレーム画像が浮かび上がります。
期間内であれば、1つのシリアルナンバーで何回でもお楽しみいただけます。
また、お楽しみいただけるフォトフレームは1つのシリアルナンバーで2パターンとなります。
デジタルフォトフレーム獲得期間:2024/9/17(火)12:00~12/31(火)23:59
タワーレコード(オンラインを除く):カンバッチ<絵柄A>
HMV(HMV&BOOKS onlineを除く):カンバッチ<絵柄B>
UNIVERSAL MUSIC STORE:B2ポスター
応援店:ポストカード ※店舗名はこちら
Review
ひょっとしたら初めて観る人は戸惑うかもしれない。こんなライブは他に類例がない。でも、最後まで観れば確実に深い感動、大切な何かに触れたような余韻を味わうことができるはず。音楽と朗読劇を組み合わせたヨルシカのコンセプトライブ「月と猫のダンス」は、文字通り「総合芸術」としての新しい表現領域を切り開いた公演だ。その模様を収録した本作には、単に物語を追体験するだけでなく、映像作品としての作品性、パッケージとして手元に置くことのできるものとしての価値と意味合いも込められている。
主人公は、恋人の女性と別れ海辺の部屋で暮らす画家の男。技量はあっても面白みのある絵が描けず、なかなか売れない悩みや迷いを抱えた男は、ある日、部屋にあった古いピアノに向かい、唯一弾ける曲だというベートーヴェンのピアノソナタ十四番「月光」の冒頭を何気なく弾く。そうすると、部屋の周囲にいる動物たちがそのピアノの音に惹かれて男の部屋を訪れるようになる……というのが朗読劇のストーリーだ。
この公演の題材となっているのはヨルシカが加藤隆と共に作り上げた音楽画集『幻燈』。その収録曲の数々は文学作品をオマージュしたものである。ステージにおいては、鳥や猫など動物の鳴き声をバンドメンバーが“実演”するなど、朗読と演奏が有機的に結びついている。つまり、音楽、文学、絵画、演劇など、さまざまな芸術を融合した表現になっている。
この映像作品が単にライブの模様を収録したものではないというのもポイントだ。ライブではアニメーションや実写の映像が楽曲ごとにステージ背後の巨大ビジョンに映し出されていたのだが、映像作品ではそこにあったリリックが演奏シーンに重ね合わせるように編集され構成されている。「又三郎」などの曲では特徴的なフォントが画面を埋め尽くす。実際に生で観た人なら、なお一層、この映像作品としてのあり方に感じ入るだろう。ライブ会場でも配布され初回限定盤にも収録されたポストカードもキーアイテムになっている。いろんなメディアを横断して伝わる物語体験の設計に目を見張る。
でも、何より心に響くのは、ヨルシカの音楽が持つ凛とした美しさ、生々しいエネルギーだろう。終盤に向けてその情感はどんどん高まっていく。ピンと張り詰めた演奏にどこか神秘的な響きを持ったsuisの歌声が響く「雪国」。優しくたおやかな祝祭感を醸し出す「靴の花火」。n-bunaが紡ぎ出すメロディと言葉、suisの類まれなる表現力を持ったボーカルが、全ての核として大きな説得力を持っている。
おそらく観た人によって、捉え方は何通りもあるだろう。解釈も、考察も、人の数だけあるだろう。筆者が受け取ったのは、芸術に心を燃やし、創作に身を賭すということの“尊さ”だった。終盤に放たれた、「私はこの色をどこかで見た気がする」という主人公の男の独白の言葉にハッとした。その後の「春泥棒」と「アルジャーノン」に胸を震わされた。売れるとか、成功するとか、そういう世俗的な価値とは違うところで、「描く」ということや「奏でる」ということを通して、とても大切なものに触れることができる。心から願えば、流れる時の中で、変化していく風景の中で、生まれ変わって何度でも出会うことができる。
とても美しい結末だと感じた。
柴那典/音楽ジャーナリスト