宇宙図書館
作詞 : 松任谷由実 作曲 : 松任谷由実
棚の隅に眠っていた 遠い日々の贈り物
今 私が開くように あなたがのこしたメッセージ
光りの塵 射し込む窓 ほおづえつき 読みだせば
目を覚ました文字たちが 踊り始める
夢の中のあなたは あの日と変わらず
まだ幼い私を抱きしめてくれる
いつのまにか眠っていた 冬の午後は過ぎてゆく
ただ 涙の跡だけを ページに記して
夢の中であなたは なつかしい服着て
忘れていた未来を教えてくれる
棚の隅に戻しておこう 遠い日々の宝物
愛の心失くしたとき 取り出せるように
いつの日にか また逢えたら 微笑むように
図書館の窓から差し込む光にきらめく塵が、宇宙に瞬く星々のように思える瞬間があるんです。そして、そのひとつひとつの塵に愛を感じてしまう。そこは、私の心の輪郭をつくってくれた人、私の心にかさぶたをつくってくれた人、本当の優しさは厳しさの中にあると教えてくれた人、そういう人たちの、私に残してくれた愛と知が、ずらっと棚に並んでいるような図書館だから。
「後ろを振り向いてはいけない」という人がいるけれど、それは嘘だと思う。私を私たらしめているもの。それは日々に埋もれて忘れがちなのだけれど、忘れたくない。忘れてはいけない。ときどき心の中の図書館に足を運んで、棚の隅に静かに佇んでいる本のページを、そっと開きたい。