気づかず過ぎた初恋(Extra Winter Version)
作詞 : 松任谷由実 作曲 : 松任谷由実
いつのまにか それは私の胸に
そっと舞い降りて
ある日 小さな芽をだしていた
こわれそうな
この世界の中で たったひとつ
大切な何かが 生まれた
風にふるえる気持は
こぼれ落ちる涙は
あなたへの愛だとは 気づかぬまま
闇の中に 未来を見てたあの頃
それは少しずつ
空へ 私を運んでいった
知らぬ間に
あのときの不安は あなたからの
ながい物語のはじまり
雨にきらめく緑も
ふいに浮かぶポエムも
あなたのいる世界に 気づいたから
風にふるえる気持も
こぼれ落ちる涙も
あなたのいる世界に 気づいたから
私の歌を貫いているテーマは、“特別な絆”かもしれません。絆が私の人生を形づくっている。もちろんそこから勇気をたくさんもらうし、そのせいで立ちどまってしまうこともあるのだけど。この歌は、そんな絆が芽生えた瞬間の歌。幼すぎてその時には気づかなかったけれど。特別な何かが生まれた瞬間に、世界がまるで違うものに見えること、特別な何かがあるから人は強くなれること。それを学びはじめる一歩。
「昔そんなこともあったなぁ」という人には、どうかこの時の気持ちを忘れないでほしいという願いでもあります。『水の影』で、「けれど傷つく心を持ち続けたい」と歌いました。感じるものが多い心は苦しく痛々しくもあるけれど、その人の世界は、それは美しいものになるのです。私?私の心は生まれた時のままですよ(笑)