GREY
作詞 : 松任谷由実 作曲 : 松任谷由実
グレイ
黄昏が夜に名残を惜しむ・・・グレイ
まだしばらくは明り灯さず
窓にもたれて
会えなくなったひとの気配抱きしめてみる
霧雨が街の影をうるます・・・グレイ
忘れていった傘をひらけば
なぜかそこだけ
雨も時の流れも止まる静かな通り
私の心はアッシュトレイ
灰を落とす彼のくせと
指先なつかしむ 小さな大理石
グレイ
世界中の恋がくゆらす煙・・・グレイ
ゆっくり空に昇っていって
燃え尽きた日々
思い起こすように漂う美しい色
私の心はアッシュトレイ
灰を落とす彼のくせと
指先なつかしむ 小さな大理石
1987年に、小林麻美さんのために書いた歌です。私、窓辺でたそがれを見ているのがとても好きなんです。しかも、日が落ちてだいぶ経って、とっぷり暮れるまで見届けるのが好き。昼の間ずっと身を潜めていた暗闇が、何かを連れてくるのを楽しみにしているのかも。静寂がふたたび主(あるじ)になる時のなかで、永遠が姿をあらわすのを待っているのかもしれない。
実は消えてなくなったように見えていたものが、甦ってきてくれる。それは連綿と同じ時を生きていてくれた。そしてこの先もずっと変わらず生きていてくれる。私がいなくなっても。