LUNA SEA
オリジナル 9th アルバム
『LUV』インタビュー

真矢

いい意味で“LUNA SEAというものの面影”を追わなくなった

――『LUV』をつくり終えた今、真矢さんの手応えはいかがですか?

真矢曲の仮タイトルと本タイトルが一致せずに、戸惑っておる段階です(笑)。それは冗談として、非常に聴きやすいアルバムだと思いますね。プレイヤーとしても演奏していてすごく楽しかったし、音を楽しむという意味でもめちゃめちゃ完成度の高いアルバムじゃないかな?と思いますね。

――全体的にとても明るい印象を受けました。

真矢 50歳を前にして、照れずにこういう表現ができるようになったのかもしれないね。これだけ明るいと、バンドの“笑顔の部分”を見せた感じがするじゃないですか? 終幕前は、そういう表現ってあまりできなかったしね。それが今では素直に、表立ってニッコリ笑顔になれた、と。まさにV6現象(笑)!(※「Hold You Down」のインタヴュー参照)。 

――(笑)。コンセプトをカッチリ決めてつくったわけではない、という点は前作『A WILL』と同じかと思いますが、今作はどういうところが違いましたか? 

真矢今回のアルバムのほうが、いい意味で“LUNA SEAというものの面影”を追わなくなったのかもしれない。「LUNA SEAはこうでなければならない」の“ねばならない”がなくなったのかもしれないですね。『A WILL』の頃は、まだ少しそういう意識が残っていたかな。

――築き上げてきた「こうである!」という像を今回は脱却した、と?

真矢うん。それがまた、「脱却しようぜ!」と意識してつくったアルバムじゃないんですよね。自然とそうなったんです。

――ライヴ感のある作品だ、とも感じました。インストゥルメンタルの「Ride the Beat,Ride the Dream」は躍動的でダンサブルで、真矢さんのライヴでのドラムソロがパッケージされた感もあります。

真矢あぁ、そうですね。元々僕はあまりレコーディングでもテイクを重ねる人間じゃないので。レコーディングはライヴより時間があるから、音作りもゆっくりできるんですけど、プレイ自体はそう何回も叩けない楽器なんですよ。何回も叩くと音が変わってしまう、という性質がありますから。叩いた時の衝撃音、要はスティックと皮との衝突音がドラムのサウンドじゃないですか? だから、何度も叩けばどんどん皮が緩んでしまうので、現実的に何回もできない、というのもあるし。あとは、集中力。行きたいタイミングで行けなくなる、というのもやっぱり、ドラムという楽器の特性ですからね。かつ、ドラムって空気感があるから細切れにできないし。シンバルなんてシャーン!と一回叩けば何小節でも鳴っていて、そういう面でも何回も叩けないんです。だから、ライヴ感という意味では、僕のドラムというパートはもうまさにその通りで。でもギターやベースも含め…もちろん細かいところを見るのもレコーディングでは大事なんですけど、今回はそういった大きな全体像を見据えられるようになったのかもしれないですね。

――「Ride the Beat~」はINORANさんとの共作だそうですが、具体的にはどのようにつくられたのですか?

真矢「こういうのやってみない?」というINORANからの提案で、INORANがつくってきたSEに合せて叩いたんです。「ここはこういうニュアンスがいいんじゃない?」みたいなやり取りをしながら録ったテイクなんですよ。

――面白いですね。そんなつくり方は、これまでなかったですよね?

真矢なかったですね。ましてや、いつもデモテープを録っているスタジオで録ったんですよ。普通のレコーディングは、ドラムのブースってものすごく広いんです。「そういうスタジオで録るものだ」という固定観念があったんですけど、そうではない場所で録ったものを本番テイクとして使った。そういう余裕感も出てきましたね。

――アルバムにおける転換ポイントにもなっていますし、新鮮な曲でした。各自の持ち味を発揮するのと同時に、新しいLUNA SEA像を全員でつくろうとされたアルバムなんでしょうか?

真矢そうだね。例えば、RYUちゃんの持ってきた曲をSUGIZOがアレンジしているものもあるし、“誰々の曲”というより、“皆、LUNA SEAの曲”という感覚でやっていたのかな?とは思います。 

――皆さんのデモを聴かれた後、アレンジ段階で真矢さんが大胆に変えた、という曲もあるのですか?

真矢いや、自分の想いを乗せるのは当たり前のことなんですけど、そんなに大胆に変えるものはなかったですね。皆、僕のプレイに寄せてデモをつくってきてはくれるんですけども、「ドラマーはこれをやらないだろう」というパターンも結構あったんですよ。でも、そういうのを僕は率先してピックアップしてるの。

――ご自分の中にない発想をむしろ楽しむ、という?

真矢そうそう、そのほうが絶対面白い。ドラマーにとってはすごく大変な、「腕が止まるよ!」みたいなフレーズもあるけど、それに挑んだほうが結果的に、自分には無いものができるのでね。

――「BLACK AND BLUE」も、歌はメロディアスですがファンキーでソウル感があって、新しい印象を受けました。

真矢皆さん、そう言われます。意外なんでしょうね。例えば、ギターのカッティングから入るのを、「LUNA SEAの新しい形ですよね!」とか言われるんですけども。僕はSUGIZOと高校時代からバンドを組んでいて、ああいうカッティングを刻んでいるのを間近で何回も見ているんですよ。だからもう、至って自然に入ってくる。「あぁ、いかにもSUGIZOが好きそうなフレーズ入って来たな」みたいな(笑)。

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