『レット・イット・ビー』コメント

『レット・イット・ビー』スペシャル・エディションの発売について頂いたコメントをご紹介!
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今回の「Let It Be」スペシャル・エディションの最大の意義は、このアルバムに真摯な姿勢でちゃんと向き合うきっかけを与えてくれた、ということ。少なくとも僕にとってはそうだ。

元々アルバム「Let It Be」は、ビートルズのラストアルバムにも関わらず、様々な理由により”いわくつき”の作品でもあったので、冷静な判断ができず、正直今の今まで個人的な「好きなビートルズのアルバム・ランキング」の結構低い位置に留まっていた。

もちろん今回のリミックス再発盤は楽しみにしていた。ポールがよく言う、フィル・スペクターがしでかしてくれた(?)ネガティブな側面を解消してくれると思ったからだ。しかし最初に聴いた時、細かいところは置いておいて、感触としては「そこまで変わってないじゃん」と思った。今回リミックスを手がけたジャイルズ・マーティンの姿勢はかっこいい。ポールに媚びるわけではなく、しっかりと歴史の事実に、そしてフィル・スペクターに敬意を表したリミックスだった。

色々な文献を読み漁ったり、先入観を持った状態で音楽を聴くということについて、僕は反省せざるを得ない。ジャイルズ・マーティンによって僕は、逆説的にフィル・スペクターの仕事っぷりを冷静に見直せた。すると、その編集のセンス、ひねくれたユーモア感覚が今更ながら浮き彫りになり、あのジョージ・マーティンにはできなかったであろう、「新しいビートルズ像」を生み出すことに成功してたんだ、と初めて気が付いた。

確かに「The Long And Winding Road」の聖歌隊みたいなコーラスやハープは、ポールと同じく僕も全くもって好きになれない(笑)であれば今回のを聴けばいい。そのあたりはしっかりジャイルズがリミックスでいい具合に抑えてくれてる。(難しかっただろうなぁ)

ともあれ、アルバム「Let It Be」は、僕の中で「ビートルズのすごいアルバム」に昇格してしまった。このスペシャル・エディションのおかげである。

和田 唱氏(TRICERATOPS)

あの時の四人の心は、THE BEATLES に向かっていたのか、そうでないのか、私にとってはもうどうでもよい事なのだ!LET IT BE!まだ、新たなる"原石"が磨きあげられ"今の音"として目の前に差し出された!引いては寄せる波の様に、THE BEATLES に"終わり"はない!私の戻るべき曲がりくねった道は、THE BEATLES が教えてくれる!THE BEATLES を知らない子供たちに、此のアルバムを聴かせたい!
from R.U.

宇崎竜童 氏

中一の妄想少女だった私はBEATLESと一緒に暮らしていた。学校から帰ると制服のまま赤いLPレコードに針を落とし、そこから私の本当の時間が始まった。父がジャズマンだったからあらゆる音楽に溢れた環境に育ったけれどBEATLESが「Love me do」とこの世に現れ触れた途端、私は自分の世代の音楽に出会えた!と覚醒した。

当時の大人達は判で押したように「不良の音楽」と決めつけてくれたから快感だったのだろう!決してこの聖域には入って来ない!サンクチュアリーだった。しかし時を経てBEATLESが偉大になると「良いね!」という大人達が入って来ては「LET IT BE」は凄い曲だと言い出した。代表曲だとも言い出した。「他の曲は聞いた事無いくせに」と反論はしなかったけれど。

なので「LET IT BE」について語るのは少し苦手だった。

今、正直な気持ちを分析すればBEATLESの終末を感ぜずには居れない宿命を背負った曲だったからだと思う。しかし、今回の作品に寄せたポールのメッセージに「ぼくはずっとオリジナルの「LET IT BE」をかなり悲しい映画だと思っていた。ぼくらのバンドの解散がテーマになっていたからだ。けれど…」という言葉を見つけた時、やっぱり心は繋がっていたのだ!と未だに妄想が蘇る私なのだ!

イルカ 氏

「ビートルズを見たらちゃんと受験勉強するんだな。だったらウラから手まわしてチケット取ってやる」。父から一枚入場券をもらった高3の6月。私は武道館で4人と司会EHエリックを見た。周りの叫声でほとんどその声は聞こえなかった。「ペーパーバックライター」を歌った。そうか大学でも行って何かのライターにでもなるかと思った。

ポールの夢に母親が出てきて「心配ないから。何もかもうまくいく。なるがままにLET IT BE」と歌ったと言う。
今回のこのCD群はあらゆる「LET IT BE」をめぐる旅。「LET IT BE」を巡る長い旅路。私も「なるがまま」に生きて七十数年、今では仕事先とカミさんの「なすがまま」である。辛くなるとトイレにこもり、こうつぶやく「LET IT BE」。

高田文夫 氏(放送作家、ラジオパーソナリティ)