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DON’T GIVE UP!

「Don't Give Up!」は、2012年12月5日にリリースされた布袋寅泰、34枚目のシングル。「POISON」、「スリル」等これまでも数々の布袋作品を手掛けてきた中野裕之監督による、ロンドンの街並みを軽快に闊歩する布袋の姿が印象的なミュージックビデオだ。

ロンドンに移住して初めて作られた作品で、本人曰く“自分の新しいスタートと決意みたいなものを込めた”曲。作詞は、いしわたり淳治、作曲は布袋寅泰。コーラスにSHOGO、LOVEが参加している。

布袋は、自身の活動におけるターニングポイントにおいて、必ず熱い魂やチャレンジ、夢、戦いなど“熱い言葉”をサウンドに込めてきた。伝えたいメッセージにブレはない。自身も夢を叶えるために挑戦を続け、“何度倒れても立ち上がれ”という熱いメッセージを伝え続けている。

BOØWY時代、初期人気チューン「Dreamin'」の本質は、いつの時代へも継承され、少しずつ形を変えながらもヒストリーは育っているのだ。本作では布袋の想いを、作詞家いしわたり淳治が見事に代弁している。

  • LEGEND OF FUTURE

    「LEGEND OF FUTURE」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』のオープニングを飾る1曲目のオーケストラによるインストゥルメンタル。

    本作「LEGEND OF FUTURE」とアルバム11曲目の「A DAY IN AUTUMN」は、“映画のサントラのように、夢の入口と出口って感じにしたかった”という布袋のアイディアをオーケストレーションを取り入れて具現化したナンバーだ。他の楽曲をすべて録り終えたあと、最後にレコーディングされたという。

    オープニングから鮮烈な印象を与える映像は、砂漠でG柄ギターを背負った枯れかけたバラからはじまる。灼熱の太陽が照らすひとすじの道。突如あらわれた、オアシスのような一杯の甘美のワインを飲み干し、再生するシーンから本編がスタート。そもそもの発端は、布袋がギターへペイントした幾何学模様の“HOTEIモデル・ギター”をキャラクタライズしようとしたことからはじまった。アニメーションはアニメ制作会社であるガイナックスのメンバーの手によるもの。日本ロック史に残る最高峰の音楽映像作品の1曲目だ。

    <GUITARHYTHMとは?>
    東京ドームでのBOØWY、最後のライヴ『“LAST GIGS” LIVE AT TOKYO DOME "BIG EGG" APRIL 4,5 1988』からちょうど半年、1988年10月5日に発売されたファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』。“GUITARHYTHM”とは、GUITAR(ギター)とRHYTHM(リズム)を組み合わせた布袋による造語だ。また、アルバムのタイトルに冠したシリーズ・プロジェクトの総称を指す。この言葉には「イズム=主義」という意味も含まれている。バンド時代の音楽性とは異なり、コンピュータを大胆に取り入れたハイヴリッドなデジタル・ロックといった趣をみせており、“架空のサウンドトラック”をコンセプトに、映像を意識した楽曲作りとアルバム構成が成されている。先行シングルがなく全曲が新曲。また全曲英語詞であり、これは海外進出を意識して制作された為である。

    なお、本映像を含め、永石勝監督によって全曲映像化されたミュージック・ビデオは、アルバム『GUITARHYTHM』リリースの翌年、1989年1月11日にビデオ作品『GUITARHYTHM』としてリリースされた。

  • C'MON EVERYBODY

    「C'MON EVERYBODY」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』収録のエディ・コクランによる名曲のカバー。

    まさに衝撃のミュージック・ビデオだ。デジタル・ビートに当時26歳だった布袋がギターを弾きまくるポップアートな映像美。世界へ誇るグラフィックデザイナー、宇野亜喜良の手によるアルバム『GUITARHYTHM』アートワークのフォトペイントが、ガイナックスによるアニメーションとの融合でダイナミックに動き出す。現在から顧みても驚きのポップカルチャー空前のフュージョンであり、アヴァンギャルドな世界観だ。

    オープニングは布袋マークであるG柄の球体が宙を舞い、布袋の元に舞い降りる。布袋が着用しているジャケットは、セックス・ピストルズのファッションをクリエイトし、その後ファッションデザイナーとして大成したヴィヴィアン・ウエストウッドの当時最新作だったアーマージャケット。いわゆる中世をテーマにしながらもパンク・スピリットを受け継ぎ、常識をぶち壊す、時空を超えたエレガントな進化形ファッションだ。映像で布袋がギターを弾きながらステップを踏む姿はロックンロールであり、リーゼント・ヘアスタイルなどロカビリー文化の未来派継承ともいえるだろう。ロックヒストリーを次の時代へとアップデートする意気込みが本作にはすべて込められている。2020年、オンラインに公式でアップされた、30数年前の過去からやってきた未来的ロックンロール映像を“あなた”はどう受け止めるだろうか?

  • GLORIOUS DAYS

    「GLORIOUS DAYS」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』収録曲。

    布袋が異空間を歩きドアを開けるシーンから映像はスタート。天井からライトに照らされたステージ、逆光の中で布袋がギター片手にセンターに立つバンドは、キーボード ホッピー神山、ドラマー 池畑潤二、ギター 土屋昌巳、パーカッション スティーヴ衛藤(現スティーヴ エトウ)、そしてベースに松井常松が参加していた。PINK、ザ・ルースターズ、一風堂、BOØWYメンバーが会するスペシャルなライヴ映像であることにも着目したい。「GLORIOUS DAYS」は、現在もファンの間で愛され続けている大切なロックチューンだ。

    なお、「GLORIOUS DAYS」の歌詞は、作詞者であるハービー山口の実体験が元になっており、CDには日本語による訳詞も掲載されていた。

  • MATERIALS

    「MATERIALS」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』収録曲。

    BOØWY時代、ジャン=ポール・ゴルチエのファッションでタイアップしたオンワード樫山CFソングとして使用され、アルバムリリース以前よりテレビ上にて流されていた。二律背反の悲しみを歌い、ヘヴィメタルなギターサウンドを取り入れ、デストピアな世界観を表現していく。

    映像では、クレイ・アニメーションを導入。クリエイティヴの限界へと挑み、数カ月に渡って制作は行われたという。物語は、ライブハウスで佇むなか、布袋がギターの姿に変化したカメに乗せられて竜宮城へ時空を飛び越えてワープ。ネオン瞬くなか、乙姫たちとパーティーと思いきや、そこはライヴ会場だった。フロアにいたひとりの女性と目が合いウインク。しかし、突然照明が消えて緑色のモンスターが登場。モンスターは女性を丸めあげ地球にして、太陽の電源を落とし、布袋と粘土ライクな可変バトルを繰り広げていく。ラストは布袋がギターを奏で星となり、炎に包まれ太陽を復活させ、バラへと転生するアヴァンギャルドな展開へ。

  • DANCING WITH THE MOONLIGHT

    「DANCING WITH THE MOONLIGHT」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』収録曲。

    EMI-UKより、12インチのアナログ盤で制作された経緯を持つダンサブルなポップチューン。オリジナルはフェードインではじまるのに対し、12インチ・ヴァージョンはギターのイントロから、幻の7インチ・ヴァージョンは女性コーラスからはじまるなど異なるアレンジが施されている。

    映像では、「LEGEND OF FUTURE」と通じる世界観なのか、G柄ギターを背負ったバラが雑踏のなかギターを爪弾くシーンからスタートする。謎の猫との出会い、そして霧で霞んだタワーを登って行くシーンが印象的だ。雲を突き抜け、星空の下、街を見渡せばUFOだって飛び交う不思議な空間。とあるテレビから、ギターを抱えたバラが布袋の映像とシンクロしながら歌唱する。月の元で踊るシーンから注目はギターソロだ。手書きの夢見心地なアニメーションが妄想をかきたてるサイケデリックかつドリーミーな展開へ。街やタワーや花たちが舞い踊る、祝祭感あるシーンが印象的なアルバム中最もポップなナンバーである。

  • WIND BLOWS INSIDE OF EYES

    「WIND BLOWS INSIDE OF EYES」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』収録楽曲。

    バンド時代とは一線を画したドープかつアヴァンギャルドなナンバー。悪夢を歌った楽曲であり、サビパート以外の歌詞はドイツ語でポエトリー・リーディングされるオペラ調の構成になっている。水が流れる風景、滝、山、森林、自然をモチーフに躍動感あるグルーヴを妖しげに映像とシンクロ化。ドイツ語パートの朗読は、布袋の友人であるドイツのバンド、PLANETSのサージが担当。楽曲の歌詞は、布袋の書いた日本語詞を、本作のエンジニアであるマイケル・ツィマリングの妻がドイツ語に訳したもの。ラスト、ふと悪夢から我に返ったかのように、自然体の布袋が白壁の部屋で座りながらギターを奏でるシーンへと移り変わる。

  • CLIMB

    「CLIMB」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』収録楽曲。

    当時、映像監督だった永石勝は仲間たちと深夜まで新しい映像の撮影方法について語り合っていたという。そんなアイディアが炸裂したのが本作だ。撮影監督の矢島祐次郎が、ベーカム130台で布袋を360度囲って、1フレームずつ順番に撮って編集するという撮影方法を編み出した。今思えば、後の映画『マトリックス』(1999年)の“バレットタイム”と呼ばれるVFX的アプローチだ。チーム布袋は10年も前に実現していたのだ。

    カメラ中央で、縦横無尽にギターを弾き、そして歌う布袋の勇姿。80年代末に記録された、ミッシングリンクとも言える画期的な映像美を堪能あれ。

  • GUITARHYTHM

    「GUITARHYTHM」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』のタイトル・トラック。

    布袋による自らの音楽活動の指針となる"ギタリズム宣言"と呼べるナンバー。ファンクなグルーヴで宙を切り裂くギターフレーズのエッジーさ。SEで様々なサウンドが織り交ぜられていく練りに練られた音響へのこだわり。聴くたびに新たな発見と出会える宝物のようなナンバーだ。後のアルバム作品でも度々アレンジされ、様々なヴァージョンが登場するギターアンセムである。

    映像では、サイケデリックなシーンを背景にSFめいたチューブが印象的なギタリズム・ボディースーツを装着した布袋による独壇場といえるプレイが繰り広げていく。日本ロック史に誇る、強烈なインパクトを刻むミュージックビデオ作品だ。

    Bメロの歌詞は、クワイエット・ライオットやオジー・オズボーン・バンドのギタリスト、ランディー・ローズがステージでチョーキングを轟かせていた光景を、作詞を担当したハービー山口の経験から書かれている。ハービー山口は、当時イギリスを軸に活躍されたカメラマンであり、布袋とはBOØWYのアルバム『BOØWY』レコーディングの際からの縁だ。

  • A DAY IN AUTUMN

    「A DAY IN AUTUMN」は、1988年10月5日にリリースされた記念すべき布袋寅泰のファースト・ソロ・アルバム『GUITARHYTHM』のクロージング・トラック。7分38秒に凝縮されたファンタジックなロック組曲だ。

    布袋としては珍しく歌詞ありきでメロディーを生み出した作品。デモはアビー・ロード・スタジオの第2スタジオにある、かつてジョン・レノンやポール・マッカートニーも使用したというピアノで作られた。

    秋の日、年老いたバラがカフェでお茶を飲む。美しきバイオリンの音色、淡いアニメーションとともに繰り広げられていく人生の無常観。ここでも登場するG柄のギターを抱える赤いバラの存在。オーケストラが奏でる重厚なサウンドが加速する瞬間、タイムマシーンのように、人生の走馬灯のようにサウンドはめくるめく時代を超えていく。布袋によるロマンティックかつファンタスティックな一面が炸裂した、次世代に継承したい心の奥底に暖かな火を灯してくれるスペクタル・チューンだ。受け継がれていく魂。そして、GUITARHYTHMの音色は止まることなく続いていく……。

  • DOBERMAN

    「DOBERMAN」は、2003年9月26日にリリースされた布袋寅泰9枚目のアルバム『DOBERMAN』のタイトル・トラック。

    本作は“11 IMAGE×11 CREATOR ROCK THE FUTURE”をテーマに、アルバム『DOBERMAN』に収録された全11曲を11人のクリエイターによって映像化した全曲映像作品集『DOBERMAN DVD』として2003年12月3日にリリースされた。

    アルバムにおける全曲映像化は、ソロ・デビューアルバム『GUITARHYTHM』以来の試みであり、いまから振り返ればスマホやYouTubeなど“動画で音楽を聴く”=ネット時代を見据えた先駆けといえるクリエイティヴなアクションであった。なお、DVDには布袋作品初となる全曲 5.1 MIXオーディオとしてDTS 5.1chサラウンドで新たにミックスされたサウンドも収録されている。

    「DOBERMAN」の映像クリエイターは、東弘明が担当。アッパーなギターサウンドが、ディストピア感漂う3Dとアニメーションを駆使したパースペクティヴなヴィジュアルによって相乗効果を高めている。また本楽曲は、TDKの録画用ディスク『超硬』CMソングでもあり、布袋本人も出演していた。

  • NEW WORLD

    「NEW WORLD」は、2003年9月26日にリリースされた布袋寅泰9枚目のアルバム『DOBERMAN』に収録された楽曲。布袋の友人、俳優の豊川悦司が作詞で参加している。

    本作は“11 IMAGE×11 CREATOR ROCK THE FUTURE”をテーマに、アルバム『DOBERMAN』に収録された全11曲を11人のクリエイターによって映像化した全曲映像作品集『DOBERMAN DVD』として2003年12月3日にリリースされた。

    「NEW WORLD」の映像クリエイターは写真家、操上和美が担当。オープニングは飛行機の爆音が鳴り響き、モノクロが映える映像によって布袋のアップシーン、ギタープレイ、子供を抱えるシーンなどで展開されていく。

    歌詞における血塗られた人類史と向き合った悲しみと、それでも継承されていく新しい命へ向けた希望の言葉。痛みを感じる白熱するエモーショナルなギターソロと、サビで解き放たれる“Someday my son will see the world”の響きが胸を熱くする。いまの時代にこそ、あらためて聴いてほしい名曲のひとつだ。

  • ハウリング

    「ハウリング」は、2003年9月26日にリリースされた布袋寅泰9枚目のアルバム『DOBERMAN』にラスト・トラックとして収録された深遠なるギター・インスト楽曲。

    本作は“11 IMAGE×11 CREATOR ROCK THE FUTURE”をテーマに、アルバム『DOBERMAN』に収録された全11曲を11人のクリエイターによって映像化した全曲映像作品集『DOBERMAN DVD』として2003年12月3日にリリースされた。

    レコーディングで使用したデジタル・アンプzenTeraは、パワーブック(Macintoshのノートブック)でセッティングをセーブ出来る機能を活かし、スタジオでレコーディングした後、自宅に持ち帰り再録したというエピソードがある。デジタル黎明期なレコーディング秘話だ。この機能はツアー『HOTEI ROCK THE FUTURE 2003-2004 DOBERMAN TOUR』でも活用された。

    「ハウリング」の映像クリエイターは写真家、平間 至が担当。朝焼けの浜辺を舞台に、重厚なストリングスが布袋によるギターソロ、そして切れ味の鋭いブレイクビーツによって溶け合う魂の叫びだ。中盤以降、さらにその様相は深みを帯び内的宇宙に火を灯す。その音色は、意識進化の目覚めのようだ。ギターは、ZODIACWORKSのカーボン製ギターDARKSTARが登場する。

  • BACK STREETS OF TOKYO

    「BACK STREETS OF TOKYO」はロック界のレジェンド、ブライアン・セッツァーが布袋寅泰とのコラボレーションのために作った楽曲。2006年8月23日、“BRIAN SETZER vs HOTEI”名義のシングルとしてリリースされた。楽曲タイトルは、布袋とブライアンが六本木の裏通りを飲み歩いていた頃の思い出から生み出されたという。

    当初は2005年、布袋のラブコールでブライアンとバンドを結成するはずだったが実現には至らず(その名残は布袋のアルバム『MONSTER DRIVE』に残る)。翌年、本作「BACK STREETS OF TOKYO」での共演へと結実した。

    ミュージックビデオでは、2人の楽しげなギタープレイと軽やかなステップに視線が釘付けになる。東京名所を練り歩く姿、車で移動する貴重なるシーンに笑みがこぼれる極上のロックンロールだ。

  • SAVE ME

    「SAVE ME」は、1997年8月1日にリリースされた15枚目のシングル「CHANGE YOURSELF!」のカップリングに収録。

    本作は、布袋と交流の深い、「POISON」「スリル」「CIRCUS」「バンビーナ」のミュージックビデオを手がけた中野裕之監督による映画『SF サムライ・フィクション』(1998年公開)の主題歌。布袋は風祭蘭之介役として出演し、サントラも手がけ、第32回シッチェス・カタロニア国際映画祭 最優秀映画音楽賞、第13回高崎映画祭 最優秀新人男優賞を受賞している。

    楽曲は、チルでスペーシーな世界観を優しさで包み込むようなミドルなデジタル・チューンとして表現。映画のテーマがSFセンスめいた時代劇だったからか、後半からレナード衛藤、池畑潤二が和太鼓でリズム隊に参加。時間軸を超えビートと絡み合う、布袋らしさ溢れる“歌う”エモーショナルなギターソロに心を鷲掴みされる。

  • SERIOUS?

    1994年6月1日にリリースされた4枚目のオリジナル・アルバム『GUITARHYTHM IV』に収録したリード曲「SERIOUS?」。途中段階では「POSITIVE?」という仮タイトルだったという。楽曲は、布袋がロンドンのフラットで生活をする中でのひらめきをアコースティック・ギターで爪弾くことによって生み出された。

    ミュージックビデオはロンドンレコーディングの最中に制作され、アルバム『GUITARHYTHM IV』収録曲を6曲映像化した作品集『SERIOUS CLIPS』に収められている。ミュージックビデオには当時のバンドメンバー、成田忍(G)、浅田孟(B)、椎野恭一(Ds)、小森茂生(Key)が出演している。デモテープなしにロンドンでのセッションによって楽曲アレンジを形作っていった、『GUITARHYTHM IV』における独特なレコーディングの名残が垣間見える。

  • さらば青春の光

    「さらば青春の光」は、1993年7月28日にリリースされた6枚目のシングル。TBS系ドラマ東芝日曜劇場『課長サンの厄年』主題歌。当初この楽曲の依頼があった際、布袋は充電期間でロンドンへと渡るため断る予定だった。しかし、敬愛する萩原健一氏主演という事で急遽承諾したエピソードがある。

    柔らかめなシングル・ヴァージョンと、ワイルドにリアレンジされたアルバム『GUITARHYTHM IV』ヴァージョンでは、楽曲の長さや間奏パートが異なり、前者はアコースティック・ギター、後者はエレキギター中心のコードバッキングになっている。聴き比べてみるのも面白いかもしれない。

  • OUTSIDER

    「OUTSIDER」は、1994年6月1日にリリースされた4枚目のオリジナル・アルバム『GUITARHYTHM IV』に収録。刺々しいパンキッシュなリリック(歌詞)は、4ヶ月もの間、夜の帳が降りるのが早いロンドンで孤独に曲作りへと立ち向かった心の奥底から吐き出されたフレーズだ。

    布袋は、高校を3年の3学期にドロップアウトしている。飛び出すように家を出た期待と不安が入り混じった感情。そんなアンビバレンツな想いが、本作にも通じるロック初期衝動となっているかもしれない。

    バンドサウンドがメインとなる『GUITARHYTHM IV』において、メカニカルな『GUITARHYTHM III』らしさを醸し出す「OUTSIDER」は、サイバーパンクでアヴァンギャルドなヘヴィロック・サウンドを解き放つ。不安定な感情を暴くSFめいた切れ味の鋭いストーリーテリング。これぞ“GUITARHYTHM”が誇るアナザーサイドのあらわれだ。

  • ESCAPE

    「ESCAPE」は、1994年3月30日にリリースした7枚目のシングル『サレンダー』のカップリング曲。大きな成功を収め孤独な旅を経験した表現者ならではの、“何かをスタートさせるには何かを終わらせるしかない”という、繊細なる心情の描き方に琴線を刺激される。

    ふと思いたった急遽の旅。ロンドンから夜行列車で西へ2時間、お風呂の語源になったという美しい観光都市バースのホテルで生まれたというナンバー。レコーディングは、バース郊外にピーター・ガブリエルが建てたリアルワールド・スタジオで行われた。ミュージックビデオはスペインで撮影されている。

    8枚目のシングル「薔薇と雨」がスイスでレコーディングされたことを思うと、いかに布袋が国境をフットワーク軽く飛び越え、作品作りに勤しんでいたかがわかる。これもまた夢の実現だったのだ。

  • NOBODY IS PERFECT

    「NOBODY IS PERFECT」は、1999年5月12日にリリースされた19枚目のシングル。1994年、東大寺で行われたユネスコによる公式イベント『GME'94 〜21世紀への音楽遺産をめざして〜 AONIYOSHI』での共演をきっかけに、1996年アトランタ五輪閉会式でも布袋と共演した映画音楽界の巨匠マイケル・ケイメンがストリングスの編曲・指揮を担当した。

    イントロから、心が穏やかにすべての想いと溶け合い、たゆたうように一歩一歩しっかりと進んでいくハートに火を灯す展開に心を打たれる。

    “完璧な人間などいない”を意味する楽曲タイトル。詞やサウンドのすべてに布袋らしさがつまっている入魂のナンバーだ。本作のミュージックビデオは、中野裕之監督が手がけ、北海道野付半島で撮影された。大空を羽ばたく鳥をイメージしたという、大自然の中でギターを弾き歌う布袋寅泰の姿の力強さ。美しい風景の映像が印象的なモーメントだ。

  • PROMISE

    2011年5月18日にリリースした、アーティスト活動30周年第一弾シングル。
    もともと“日本を元気にする楽曲をリリースしたい"と考え制作していたが、3月11日に起きた東日本大震災を受けて歌詞を新たに書き下ろした。
    ミュージックビデオの監督は、映画『新・仁義なき戦い。』を手掛けた阪本順治。特殊クレーン“ペガサス"を駆使した浮遊感に溢れた一発撮り映像となった。

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