──今回のライヴ『(生)林檎博’08』のスタイリング・コンセプトについて教えてください。
「少女期から今に至る、成長していく感じであったり、ストリップじゃないけれど、どんどん脱げていく感じ。それは見た目だけではないと思うんですけど、彼女からそういうイメージをお話頂きました。オープニングのスタイリングに関しては、“置物のようにいたい”とか“人間味の無いかんじ”っていう言葉をテーマに、完成形に辿り着くまでは難しかったです」
──オープニングのヘッドドレスは動物の角なのか木の枝なのか、
不思議な世界にぐっと引き込まれますよね。
「最初、私の中に動物の角っていうイメージはなかったですし、お客さんがそれをどう受け取るかも分からなかったんです。ただ、今回のセットリストだと、私にとっては“茎(STEM)”が一番芯になっていると思ったので、枝であったり植物のイメージに近づけられないかなっていうことで、“角のバランス感覚を模した植物の枝”に変化していったんです。ドレスの方は大理石の写真を大きく引き伸ばしたものを生地に染めて、自然の中の物として“ある”感じ、人間味がない感じを出したかったんです」
──お仕事を通じてやり取りされるなかで、杉山さんから見た椎名林檎さんとは?
「作品を作った時点で彼女はひとつ完成されているわけです。視覚的な部分については彼女は大きなイメージを投げて、細かいことは言わないんですね。要するに私をがっつり信頼して、何が出てくるのかっていうのを凄く楽しみにしてくれているんです。今回にしても、着物のスタイリング経験しかないような私にワン・ステージ全ての衣裳のスタイリングを振るなんて、よっぽど人を信頼する心を持ってる方じゃないと出来ないと思うんですよ。私にしてみれば、それはすごくプレッシャーなんですけど、その緊張感が面白いし幸せな事ですね。だから、どう受けて立とうか、私はひたすら聴き込んでいつも必死なんですけど、彼女のそういう愛情深さが人を動かしていくんだなって思います」
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