ヨルシカ
Digital Single
ブレーメン
2022.7.4 Release
ヨルシカ、9ヶ月ぶりとなる新曲は昨年から継続している文学オマージュ作品。
今作「ブレーメン」はグリム童話の物語の一編「ブレーメンの音楽隊」をモチーフに制作。
軽快なリズムに乗って「死ぬほどのことはこの世に無いぜ」と楽観的な思想を歌う楽曲。
「愛の歌を歌ってんのさ あっはっはっは」
チャーミングに下降するメロディに乗せて、こんな言葉が歌われる「ブレーメン」。ヨルシカが発表してきた楽曲の中でも、かなりカラッとした響きを持つ一曲だ。心地よく揺れるグルーヴと軽やかなギターカッティングに乗せて「ねぇ考えなくてもいいよ」「この音に今は乗ろうよ」とsuisが歌い音楽の享楽に誘いかけるこの曲。「死ぬほどのことはこの世に無いぜ」と煩悶や葛藤をあっけらかんと振り払う、オプミスティックなムードが漂っている。 Text:柴那典/音楽ジャーナリスト
この曲がモチーフとしているのは、グリム童話の『ブレーメンの音楽隊』。よく知られているそのストーリーは、すこし不思議な終わり方をする。年をとってお払い箱になったロバとネコとイヌとオンドリは、音楽隊に入れてもらおうとブレーメンを目指す旅の途中で見つけた森の中の一軒家でどろぼうを追い払う。そして「4匹はたいそうこの家が気に入って、もうここから出ていこうとはしませんでした」と、ブレーメンには結局辿り着かないまま、そこで幸せに暮らすハッピーエンドとなるのだ。
そんなことを踏まえて考えると、「ずっと二人で暮らそうよ この夜の隅っこで」という歌詞のフレーズも味わいを増す。「♪この夜の」というところのふわっと宙吊りになるようなメロディの動き方も絶妙だ。
歌詞には「まるで僕らはブレーメン」という言葉もある。ただし『ブレーメンの音楽隊』の4匹はもともと居た場所から追い払われた動物たちだ。そう考えると、この曲の屈託のないムードの裏側に忍ばされた“毒”のようなものにも思いを馳せてしまう。後半にある「馬鹿を装うのもラクじゃないぜ」「数年経てばきっと一人も覚えてないよ」というシニカルなフレーズもピリッと効いている。
昨年から「又三郎」、「老人と海」、「月に吠える」と、文学オマージュ作品を続けて発表してきたヨルシカ。この「ブレーメン」も含めて、とても風通しのよい、自在な作風の広がりを感じさせてくれる。
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