LUNA SEA「LUV」

J Interview

Hold You Down

――「Hold You Down」のデモ音源を最初に聴いた時、どんな印象を受けられましたか?

Jまさに次のステージに向かう、バンドの“今”を表わしている、というか。殻を割ろうとしているようなエネルギーを感じる曲だな、と思いましたね。デモの段階で既に、“ここに5人それぞれの息吹が入った時、とてもエネルギッシュな曲になるんじゃないかな?”とすごく感じました。

――ご自身のベースのアプローチは、どんなことをポイントにされましたか?

Jいつも思うことなんだけど、その曲をどうグルーヴさせるかは俺のベースのアプローチによって全然変わってくるから、いろんな方法を試すんですよ。ドラムとギターを繋いでその曲をドライヴさせる、ロックさせる役目として、まあ、自ずと方向性は決まっていくんですけども。この曲が求めるアプローチは結構、スパッと決まりましたね。感じるがままに、だったかな? アプローチの方向性が間違っていないか?というのは、原曲作者のINORANと話はしましたけど、途中のベースソロのようなところも、導かれるままにプレイしたものがそのまま使われているし。そういう意味では、すごくオーガニックなんじゃないかな?

――実際にプレイなさる中で浮かんでくる情景、イメージはありましたか?

J俺の場合はライヴかな。もちろん音色からインスパイアされるものもすごくあるんだけど、この曲をライヴでプレイした時に、今までの世界観の“その先”にあるものを生み出せるんじゃないか?と思いました。LUNA SEAというのは、やっぱり長くやって来たからこそ、凝り固まってしまってしまいそうな場所もあるじゃない? もちろんそれはいい意味で、なんだけど。

――揺るがない軸でもありますよね。

Jそうそう。でもやっぱり、“その先”に手を伸ばすことを辞めてはいけないと思うんですよ。だからこの曲は、バンドとして次の世界に向かっていくイメージを描けた、ライヴで皆と盛り上がれる曲なんじゃないかな?と思う。動じない余裕、バンドとしての強さがあるからこそ、響かせられる音なんじゃないかな?

――Jさんは、メモリアルなライヴでは、いわゆる王道の代表曲をしっかりと聴かせていくべきだ、というお考えですよね。長年掛けて培ってきたものを守りながら、新しいものも見せていく。その両方が大事ということでしょうか?

Jそう、俺の中ではそこは全然、セパレートになるものじゃないんですよ。今までやってきたことに対する自分たちの答えとして、新しい場所に向かう、というかね。新しい場所から振り返った時に、僕らがかつて見た場所が消えてしまうようでは、いけないんですよ。新しい場所は、そこから振り返った時、今までやってきたことが凛としてある場所でなきゃいけない。そういうイメージなんです。それが、自由ということだと思う。

――実践するのはとても難しいことのようにも思えます。

Jうん、とても難しいし、とても勇気の要ることだしね。でも、新しいことに挑戦する力は、絶対必要。それがバンドのエネルギーにも変わっていくしね。けっして過去を否定するという話じゃないんですよ。例えば、本を読んでいくうちに、新しいページに進まない限りは、次のストーリーが始まらないわけでしょ? 「ここまで面白かったから、これでいいか」って話じゃないわけだから。「え? これからどうなっていくの?」と次のページをめくっていって、新しい章が始っていく。そういう新しいものを俺たちはつくれたと思う。

――歌詞はラヴソングのように読めますが、Jさんはどういうメッセージを受け取られましたか?

J主語と対象……“キミ”という相手をRYUはよく書くでしょ? その対象を、自分の大切にしているものや、掴もうとしているもの、いろんなものに置き換えることができて、世界が変わっていくんだよね。深い歌詞だと思うし、聴いてくれた皆のいろんな状況に当てはめて楽しめると思いますよ。

――Jさんご自身はどんな関係性を思い浮かべましたか?

J実は、最後の1行は、「こっちのほうがいいんじゃない? どうかな?」とRYUに伝えたんですよ。せっかく「Hold You Down」というタイトルだから、“キミ”という相手に対する想いをもっと強くイメージできるような言葉のほうがいいんじゃないかな?って。それで、今の形に変わったんだ。

――アルバム『LUV』への期待感が高まるリード曲だと感じます。Jさんから、新しい曲を聴くのを楽しみにしているファンの皆さんへ、一言お願いします。

J今までにはない新しいページ、新しい扉を開いてくれる作品になると思います。前のアルバム『A WILL』から4年経つんですけど、その4年間を埋めるという意味ではなく、それ以前からの僕たちと繋がっていくものになると思う。自分たちの信じるままに進んでいった、すごいアルバムになるはずです。新しい世界へ旅立てると思うと、すごく楽しみでしょうがない。今までの更に“その先”にある世界を皆と一緒に楽しみたいな、と思っています。

(取材・文/大前多恵)

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