
小出:今日はこのB組の教室で、岡村靖幸先生と待ち合わせしてるんですよ!
ホントに来てくれるのかな~?
関根:ドキドキするねえ。
小出:いや~ホントにドキドキするなあ。
(ガラガラ…)
岡村:こんばんは、SCHOOL OF LOCK!の生徒の皆さん。岡村靖幸です。
小出:うわあ~ホントに来た!! 岡村さんホントに来た~!!
小出:あ
りがとうございます! レコーディングスタジオで岡村さんに「僕ら、ラジオやってるんで来て下さい」って言ったら「全然行くよ」って言ってくれてましたけど、まさか本当にOKが出るとは思ってなかったんで・・・。
でもこうやって公の場でBase Ball Bearと岡村さんが話すの初めてじゃないですか。だからちょっと緊張してます。
岡村:緊張する?
小出:僕めちゃめちゃ緊張するほうなんですよ!! 岡村さんは全然緊張しないんですよね?
一回も緊張したことないですか?
岡村:ほぼ。
小出:じゃあ今岡村さんどういう状態ですか?
岡村:落ち着いてます。
全員:(笑)
小出:それは声聴いていてもわかります(笑)。
今回、岡村さんと「君はノンフィクション」という曲を一緒に制作させてもらったんですけど、岡村さんとBase Ball Bearの第一回目の接触って、(僕以外の)メンバーが会ったのって結構作業的には後半でしたよね?
岡村:全制作過程で言うと、結構真ん中から後半でしたね。
小出:僕と岡村さんでプリプロしていたやつをバンドで演奏し始めて、その様子を岡村さんが見に来たのが最初でしたよね。あの、岡村さんから見たBase Ball Bearの第一印象って聞いていいですか?
岡村:すごいこと聞いたね。どう答えようかな。
小出:(笑) 一番最初に会ったのは僕じゃないですか。取材で。どんな感じでした?
岡村:小出くんは複雑な人格の饒舌さ・・・。
全員:(笑)
堀之内:僕
、岡村さんに「落語家さんみたいにすごくしゃべってるね」って言われたのが一番最初で、そこから一緒に作業させてもらう時間が経過して、最後のほうは「陰湿な落語家」って言われて・・・。
全員:(笑)
小出:落語家の前に「陰湿」って付いたんだ(笑) !
岡村:快活にしゃべってるのに、全然陽気じゃなく、ちょっと人が変なこと言うと突っ込むし、「余計なこと言わなくていいよ」とかメンバーに言うし・・・。さわやかな感じはあんまり受けないというか・・・。
全員:(笑)
小出:でもなんかすごく落語家口調で、シメにちゃんとオチもあって、しゃべりとしてはすっごくエンターテイナーだなと思うんだけど、何とも言えない複雑怪奇な精神構造をしてて・・・。あれ何でしょうね?複雑ですね。
小出:・・・まあまあ、そうですね。心を開いているようで開いていないっていう(笑)。
今では岡村さんには100、開いてますから! 180くらい開いてますから!
堀之内:これホントですかね??
岡村:本当じゃない。メールの返しが遅い遅い。
全員:(笑)
堀之内:ほら、気にされてるじゃないですか!!
小出:それはねえ・・・、いやホントにごめんなさいです。相手が岡村さんでも、すぐメールを返せないっていう。
岡村:この前もマスタリングで全曲聴いて、「いいじゃないですか、小出くん。いいところたくさんありましたよ!」って言ったら、「はあ・・・、そうっすか・・・」って。
俺はなんかもっと「いいこと言ってくれたなあ! 」とか言ってくれると思っていたのに・・・。
小出いや、褒められ慣れてないんですよ!
岡村:褒めちゃよくなかったのかなってドキっとしましたよ。
小出:えー、じゃあもっと素直に喜ぶようにします。「いえーい!」とか(笑)。
岡村:4人で「いえーい!」って遊ぶことあるの?
堀之内:全っ然ないっすね。
小出:4人でいる時、「いえーい!」なんて言ったことないです。
岡村:そうか、俺バンドじゃないからそのあたりのメンタリティがわからないんだよね。

小出:今回岡村さんにプロデュースをしていただいた楽曲「君はノンフィクション」の制作過程を話していきたいんですが・・・。
岡村:この曲は小出くんに全部作ってきてほしいと言って出てきた曲で、詞曲はほぼ完成していて。小出くんの中でいつか歌おうと思って練りに練って温めてたテーマで、聴く人が聴けば結構ショッキングな内容だと思うんですけど、かなり曲の中でコンフェッション(告白)しているのですごくいい詞だと思ったし、みんなにしっかり感じてほしいなと思いましたね。
小出:歌詞をすごく気に入ってくれたのがすごくうれしかったですし、「歌詞がいいから、歌詞が聞こえるようなアレンジにしよう」となって・・・。
あと、曲作りに入るときに最初に岡村さんとキャッチフレーズ、キャッチコピーを作ろうっていう話になって。架空の広告のコピーというか。たとえば化粧品のCMのキャッチコピーだったら、とか。昔だったら広告のコピーがそのまま曲名になってたり曲の歌詞になってたりっていうパターンが結構あったので、それを勝手に作ってタイトルにしよう、そこからサウンドをふくらませよう、みたいな作り方をしたんですけど、その中に「君はノンフィクション」があったじゃないですか。そこから原曲とかサウンドも広がっていったんですけど、僕らももともと曲のタイトルから曲を作ったりっていうのは全然あったので、そのご提案をいただけてすごくやりやすかったです。だからこそ「君はノンフィクション」みたいなのが出てきたし。強いフレーズを作りたいと常々思っているので、その中でこういうフレーズが出てきてすごく良かったなって思います。
あとアレンジを固めている段階で、スタジオでアレンジャーの白石さんと岡村さんと3人でご飯食べた後に作業して、みたいなことを何回かやらせてもらったじゃないですか。あの時に、やっぱり岡村さんってスゴイなって思いました。
岡村:どういう風に?
小出:僕はすごく考えちゃうんですよ。1個やることに対して。ギターを1個弾くにしてもすごい考えちゃうし、アイデアを口に出すまでにすごく考えちゃうんですけど、岡村さんってまずアクションじゃないですか。
岡村:はい。
小出:まずギター弾いてみようとか、まずこういうオケでやってみようとか。まずやってみる感じは、白石さんと岡村さんと一緒にやらせてもらってすごくためになった部分です。
岡村:ああ、本当ですか。良かったです。
小出:「何でもトライだぜ」みたいな感じじゃないですか。それがすごく新鮮でした。
いつもそういう感じで作ってるんですか?
岡村:そうですね。
小出:アレンジたくさん作りますか?
岡村:いや、今回はたくさん作った。「あれして欲しい、これして欲しい」って言われたからね。
全員:(大爆笑)
小出:いやいや、それは曲をもっと良くしようと思って(笑) 。僕も言いなりになるんじゃあんまりプロデュースし甲斐がないじゃないですか。「こうしたほうがいいんじゃないですか?」みたいな提案をしたほうが最終的にはぶつかり合いで楽しくなるんじゃないかな? って思って・・・
岡村:なるほど。
岡村:最終的にシンセを入れたけどなるべくシンセを入れずに、打ち込みもやらないようにって言われたし、なるべくバンドの演奏を生かしてほしいって言われたし、そういうリクエストと、今までなかった感じのアレンジやプロデュースにしてみようっていうことのバランスはすごく考えたかな。
小出:そうだったんですね。考えていただいてありがとうございました。
サビとかだとオケ全体をギターで埋めちゃったりするんですよ。それが僕らの基本パターンというか。そうじゃなくてグルーブでサビを盛り上げる、みたいな作り方は、岡村さんはいつもこうやってるのかなって思いました。
岡村:小出くん、最後ノリノリでしたよね。踊ってたよね?
全員:(笑)
小出:あれはノリノリになりますよ、そりゃあ。
岡村:じゃあライブでも踊ってくれますか?
小出:う、う、うん、あの、、考えます。
堀之内:やろうよ!そこは(笑)。
小出:考えときます。
堀之内:今小出も言ってましたけど、全部やってみた結果、最後すばらしいサビのフレーズになって。小さいフレーズでも何個も試すっていうのはすごくいい勉強になりました。
小出:僕らの場合、可能性をどんどん捨てていくでしょ。岡村さんの場合はそうじゃなくて、選択肢を増やしてそこからチョイスしていくっていう考え方なのかなと思ったんですけど。
岡村:でも、ビートルズみたいにずっとバンドサウンドでやってたけど、途中からキーボード入れたり、ストリングス入れたり、ホーンセクション入れたり・・・、そういう時期があったかと思えばホワイトアルバムみたいに一度戻って、すごくアコースティックなアルバムを作るときもあって、『LET IT BE』みたいに本当に一発録りみたいに戻ったりする時もあったり・・・。毎回いろんなパターンがあっていいんじゃないですか?
小出:なるほどねー。じゃあ、そうしよう!!
岡村:えー?!
全員:(笑)
♪ Base Ball Bear 「君はノンフィクション」
小出:そろそろお時間でございます! 今日は岡村さんをお迎えしてお送りしましたけれども、この学校は10代の生徒がたくさん聴いてくれてまして、最後に岡村さんから10代のみんなに向けたメッセージをこの黒板に書いていただきたいと思います。
何でもいいです! 岡村さんからもらえるんだったら何でもいいですよ、ホントに。
(黒板に書く)
小出:じゃあ岡村さん、読み上げていただいてもよろしいでしょうか?
岡村:はい。「告白しろ!」

小出:おお!これはどういうことですか?
岡村:思春期の方や中高生の方が聴いているということで、その人たちに向けて言えることは、好きな人がいたり、友達にごめんねって思ってたりとか何でもいいんですけど、絶対告白したほうがいい!俺もできなくて後悔してる。
小出:僕も後悔してます・・・。でも僕も10代の時に岡村さんのそういう曲を聴いて、「俺もがんばんなきゃな」って思った一人ですから。
今回何より一番うれしかったのは、岡村さんと仲良くなれたことですね。
岡村さんって僕にとって本当に神様だから、そんな神様と仲良くなれてすごい良かったです。
岡村:いいなあ。
全員:(大爆笑)
小出:どういうことですか?それ(笑)?! 逆に?? 逆にいいなってこと??(笑)
いや、今日は本当にありがとうございました!! また来て下さい!
岡村:よろしくお願いします。
小出:以上、Base Ball Bearと・・・
岡村:岡村靖幸でした。しゃべりすぎました!
全員:(大爆笑)

