「形あるものはいつかなくなるけど、それまでの間に何を大事にすべきか」ということを、人との出会いや関係性を軸に描いた2015年のセカンドミニアルバム『Progressive』の1曲目。大森は「初の全国流通盤の1曲目、つまり顔も知らない人達と出会う最初の曲だから、人と人が音だけで繋がることを強く意識して書いた曲だと思う」と振り返る。
大森は時に世界に対する絶望と達観を表すような表現もするし、時にはリスナーに厳しい視点で問いかけもする。ただ、それでも彼の芯には「貴方」に対する期待と願いと、人と人との間に交わされる温かなものや優しさ、人と人が交わることで生まれていくポジティヴな未来を信じたいという気持ちがある。その想いは活動を重ねていくにつれてより確かなものとなり、ミセスなりの愛の歌として様々に結実していくわけだけど、この“我逢人”という曲ではそれがまだ確信に至る前の、けれど、だからこそ切なる「まだ見ぬ貴方達への想い」が、とてもささやかなれど何よりも大きな願いとして瑞々しい光を放っている。