メジャーデビュー作であり、初期のミニアルバム3部作の完結編という意味も込めて制作された『Variety』。タイトルが示す通り、この作品でミセスは音楽的な彩りをグッとカラフルなものへと拡張。照度を増した光り輝くハイブリッド・サウンドで奏でる狂騒的な高揚感で、強度の高いポップネスと爆発的なエネルギーをプリズムのようにキラキラと乱反射させ始めた。
この“StaRt”はまさにそれを決定づけた一曲だ。＜ここは遊び心で満ちよう！／敢えての策略なのら。ララララ♪／一人でも多くのマヌケが居るなら／正すことから始めましょう＞、＜I love youの言葉だって／どこから信じればいいの？＞という皮肉な歌詞も歌われている通り、内側には不条理な現実や孤独・葛藤に対する痛烈な苦味や毒味を忍ばせつつ、外側を明るくヴィヴィッドな音色と曲調でシュガーコーティングすることで、誰もが飲み込みやすいポップソングとして世に放っていく。その強い意志の結晶。「始まりの歌だから」ということで、サビに♪ドレミファソラシド♪の音階そのままのメロディを入れるなど、文字通り遊び心にも満ちている。
