「“サママ・フェスティバル!”で振り切ったことによって、模索しながら答えを見出していくモードが一旦終わった」と語っていた大森。彼が20歳になって一発目のリリースとなったこのシングルは明確にその節目、つまり新しい始まりを意識して作ったという。とはいえ大人びるわけではなく、むしろ「20歳になった時に自分らの音楽性は1回振り出しに戻るんだろうなって漠然と思ってた」と彼が語っていた通り、メジャーデビュー以降少しずつEDM等の海外のポップスの影響を咀嚼してきたあの時期のバンドの等身大と、そして何よりも自分達自身がMrs. GREEN APPLEという生命体が向かう未来に期待し、ワクワクしている様が表れているような、そんな楽曲だ。当時彼らは、ジャンルに囚われることなく誰かに夢をずっと見せ続け、夢を与え続けることができる存在でありたいと口にしていたが、そんなバンドの在り方に確かな実感を持ち始めていた時期だったのだろう。
<傷ついて傷ついて/隠すしかなかった/大切な大切な/【本当】も/こんな処で亡くすなよ>と歌いながら、<笑える朝を迎えに行こうか/今>と呼びかけるこの曲には、向かうべき場所を見つけた清々しい強さがある。