オフィシャル・ライナーノーツ
MUSICA編集長・有泉智子
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Love me, Love you

この2ヶ月後にリリースされたサードアルバム『ENSEMBLE』のテーマを最も鮮やかに体現する曲にもなった、6作目のシングル。具体的に言えば、彼らが抱えていたミュージシャン集団としてのコンプレックスを克服するために、演奏の「アンサンブル」に正面から向かい合い、音楽的な知識と理解を深め、より奥行きと説得力のある音楽を鳴らすことができるバンドになるための挑戦に取り組んでいった時期の曲だ。そんな背景があって生まれた“Love me, Love you”は、ブラスセクション(管楽器)をフィーチャーしたビッグバンド編成で、ジャズやゴスペルのエッセンスを導入した楽曲に仕上がっている。また同時に、組曲的な展開含め、ブロードウェイのような華やかなミュージカル性を湛えたこの曲は、彼らのもうひとつの理想である「普遍的なエンターテイメントとしての音楽の在り方」を鮮やかに体現した曲でもある。

生きることの肯定や愛と祝福に満ちた、多幸感溢れる楽曲ではあるけれど、<愛し愛されても消えゆく定め/なんの意味があるの?/生まれたんなら何か残したい/また淋しくなるなぁ>という一節に変わらぬ根源が見えるし、それをこういう形で昇華したことに感慨も覚える。

LISTEN!