2019年12月から始まったアリーナツアー「エデンの園」と並行して制作された新曲。全体像としては瑞々しい衝動を爆発させていくようなバンドサウンドの楽曲ではありつつ、ベースラインとの絡み方も含め緻密に構築されたギターリフだったり、細部まで趣向が凝らされている。
「アボイドノート」という言葉は、直訳すると「避けるべき音」。ざっくり言えば音楽理論上、曲を構成する基本のコードに対して不協的に響いたり、音がぶつかって本来のコードの響きや役割を邪魔してしまったりする、だから「使わないほうがいいですよ」とされている音のことだ。つまり理論上は不要とされる存在だが、使い方次第で思わぬ効果を生んだり、未知の美しさを発揮することもある。それは言うまでもなく歌詞の内容と連動していて、何かや誰かを恨んだり羨むだけの人だったり、始める前から諦めてしまうような態度だったりに対するシニカルな物言いを多分に含みながらも、<ところでさ 君という存在/誰も敵いはしない美の潜在>と、彼ららしいエールを送る。どこまでも伸びやかに飛翔するメロディと颯爽とした力強さに満ちた歌唱をもって、<果てない道が続く旅路の様に/僕らは生きてる>と迷いなく歌い切る場所に、今のミセスは立っている。