Stories 02

近藤くみこ(ニッチェ)×Ms.OOJA

“あの頃の自分”を
知ってる希少な存在

Ms.OOJA
私たちは三重県四日市市出身の同級生で、中学生の時、2人ともソフトテニス部だったんだよね。
近藤
そう。学校は違うけど、試合の時にはいつも顔を合わせてて。おじゃは真っ黒に日焼けしてて背も高いから、交換留学生みたいだった(笑)。
Ms.OOJA
その頃からもう170cmぐらいあったからね(笑)。
近藤
そうそう。でもじっくり話したのは東京に来てからなんだよね。名古屋で歌ってるらしいとは聞いてたんだけど、東京に出てきたのは知らなかったから、気づいたらドラマの主題歌を歌っててビックリだった。
Ms.OOJA
私も「お笑い芸人やってる子がいるよ」ってことを人伝てに聞いてて、それがくみこだった。同郷でテニスやってた仲間がこうやって東京で頑張ってるっていうのはすごい励みになったし、テレビで見るとすごく嬉しかった。連絡とって飲みに行ったら、偶然家も近かったりしてね。
近藤
うん。で、コンサートを見に行かせてもらったりして。最初行った時、感極まって泣いちゃったよ(笑)。すごいなと思って。
Ms.OOJA
でもお互い”あの頃の自分”を知ってる希少な存在だよね。

今の自分がやって、
納得出来るものをやりたい

Ms.OOJA
今回はいろんな女性と対談して歌詞を書いていこうと思ってるんだけど、お笑い芸人・近藤くみことしてはもちろん、ひとりの女性としての言葉も引き出せたらなと思って。
近藤
やだ、恥ずかしい(笑)!とはいえ、この話をもらった時はなんの迷いもなく即答だったけど(笑)。ネタは普段から書いてるし、コラム書いたりとかもあるけど、さすがに作詞は初めて。あ、でも我々も歌ネタがあるので、その歌詞を考えたりはしますけどね。中身はだいたいボケなんですよ。痩せたいとか(笑)。じーんとさせるような要素はひとつもないです(笑)。
Ms.OOJA
でも何かを作り出すって意味では一緒だからね。普段はどうやってネタ作ってるの?
近藤
ネタを作る時は、書くぞ!ってノート広げて2人でやります。設定とか展開とか2人でずーっと喋りながら、いい案が思い浮かんだら、江上がなんとなく文章にしつつ作っていく。だからミュージシャンの人がよく言う”降りてくる”とか、そういうのは一切ない。ひねり出す(笑)。
Ms.OOJA
私も同じ。作るぞ!って決めてスタジオとかに入って、それこそひねり出す。
近藤
ドリンクバーでどれだけ飲んでも、ずっと喉乾いてるみたいな(笑)。いいネタはブワーって書けるけど、最近ちょっと苦しい。年取ったから、ネタのジャンルも変わってきたりして。今さら子供やっても、みたいなね。最近はおばさんネタ。PTAとか(笑)。
Ms.OOJA
私も年代ごとに書くこと変わってきてる。20代の頃と今とはまた全然違うし、若い子が書くような曲を歌っても違和感でしかなかったりするからね。今の自分がやって、納得出来るもの。そういうのがいいよね。
近藤
そうだね。わかるわぁ。ひとつ前の単独ライブ、7〜8割が情のネタだった。人情の情。昔は走り回ったり、野糞がどうとか(笑)、すっごいわかりやすくて子供でも笑えるようなものもあったりしたけど、もうなんか、すごいストーリーがある。おばさんがどう生きてきたかとか。
Ms.OOJA
演技が上手いからね。そういうのもグッと入り込んで見ちゃう気がする。
Ms.OOJA
私とネタ作るとなったらどういうの作る?
近藤
えー!?やっぱり交換留学生のネタじゃない(笑)?
Ms.OOJA
あははは!さすが!何か言われた時にさ、サッと言葉が出てくるからね。
近藤
いやだからね、たまに嘘ついてる時があるのよ。
Ms.OOJA
嘘!?
近藤
テンポが染み付いちゃってるから、本当は思ってもないことを喋ってる時もたまにあります(笑)。わかりやすく言うと、ちょっと気になってる人とかに褒められたら、全然真逆のことを答えたりとか。
Ms.OOJA
そうやって答えたほうが面白いから?
近藤
そうそう。たとえば「近藤さんって、ひとりで生きていけそうですもんね」って言われた時に、「生きていけないよ」って言うのは面白くないし恥ずかしい。本心は生きてはいけないんだけど、「いやそれがさ、生きてはいけるんだよね」って言ったほうが面白いじゃん。
Ms.OOJA
たしかに。
近藤
なんで本音を言わなかったんだろうって、毎回後悔するけど(笑)。
Ms.OOJA
それはやっぱり芸人であることが根底にあるの?
近藤
うーん、ウケたい(笑)。
Ms.OOJA
恋よりも、ウケたい(笑)。
近藤
やばいよね(笑)。たぶん付き合っちゃったりすればそこまで考えないんだけど、楽しい空間でありたいから。悪気はないんだけど、どうしてもテンポで喋っちゃう。ウケるほうを選択しちゃうんです(笑)。
Ms.OOJA
職業病だね(笑)。じゃあ仕事でもプライベートでもいいんだけど、最近辛かったことはある?キツいなあとか。
近藤
ビンが開かない(笑)。
Ms.OOJA
(笑)。
近藤
男手が必要だなと思ったのが、その、ビンが開かない時ぐらいしかなかったの。
Ms.OOJA
逆にね(笑)。
近藤
この前洗濯機が壊れたんだけど、備え付けで、たぶん外国製のやつなの。一応日本語の説明書もあるんだけどエラーが出たからそれ見てやってたら、動いたのよ。私、ひとりで生きていけるなあと思った(笑)。だけど、ビンだけは開かない(笑)。そういう状況が辛かったかな。もうちょっと機械に弱い人間でありたかったなとも思う。頼れるじゃん、人に。業者とか頼んだ記憶、ないからね。テレビの設置も自分でできるし。辛いよね。上手に生きれるんだなと思った。あとね、すぐイライラする。要領悪い人とか見るとすごくイラつく。おばさんになっちゃったんだよな。でも、そんな不器用さが愛おしく見えたら大人なんでしょうね。
近藤
最近やっと自分に向き合えているんですよ。生活も安定してきて、時間も、仕事のやり方もなんとなくわかってきた時に、やっと自分がどういう人間なのか考える時間というか余裕ができたの。だから私は今、ひとりの時にそういうことを考えて、何でも喋れる女友達に「私、こういうことを思うんだけど」って、勝手に発表してる(笑)。「わかる!」とか「それはないよ」とか言われながら、自分がどういう人間なのかの外枠を今探ってる。それがすごく楽しい。
Ms.OOJA
私もやっと、自分のことがわかってきた感じする。自分ってこういう人間だと思ってたけど、意外とこうだったとか。で、それを受け止めたり受け入れたり出来るようになってきたっていうか。
近藤
私はね、死ぬための準備なんだよね(笑)。自分が何者かわかってない状態で死ぬと、何だったんだろうって思うから。自分がどういう人間だったか、ちゃんと引き出しに書いておきたい。自分をどこまで理解できるかが、これからの人生なのかなと思ってる。どういう人間かっていう型取りをね、する旅。
Ms.OOJA
恋愛とか、そっちはどう?相方さんはご結婚されてますけど。
近藤
8年いないです。9年目に突入しました(笑)。
Ms.OOJA
そのあたりも変わってきた?恋愛の感覚とか。
近藤
必要ないと思ってた時期は長かったですね。この1〜2年かな?去年ぐらいから、もう作りたいなと。そろそろいいんじゃないかと思いましたが、そう思った時には手も足も出ない状況になっておりまして(笑)。
Ms.OOJA
どういうこと?
近藤
いいなと思う人はもう結婚してたり、年を追うごとに自信がなくなってくるから昔みたいなアプローチができなかったり。
Ms.OOJA
昔はどんな風にアプローチしてたの?
近藤
好きだっていうのがバレていいと思って接してた。今はもう、こんな私に好かれてると思ったら、この人恥ずかしいんじゃないかなとか考えちゃう。
Ms.OOJA
いろんなこと考えちゃうよね。先々のことまで。
近藤
うん。で、やたらと客観視もできるから「今、サムいなぁ!」とか。ウケたい人間だから、スベってることにすごく敏感なの(笑)。だから素直に恋愛できなくなってきてるかな。大人って取り繕えるから、本心が見えないよね。全部は信用できないし。疑いたくなっちゃう。ヤバい、暗い話だな(笑)。
Ms.OOJA
いや、すっごいわかる。
近藤
だから(向こうから)来てくれたら楽なんだよね。この悩みは全て無くなる。
Ms.OOJA
でも、誰も来てくれない(笑)。
近藤
来てくれたと思ったら、勘違いだった(笑)。
Ms.OOJA
忘れられない人っている?
近藤
学生時代に付き合っていた人かな。初めてデートした時、午前11時集合だったんだけど会話がずっと止まらなくて。結局次の日の朝までずっと楽しく喋ってて、始発で帰る時に「付き合おうか」ってなったの。
Ms.OOJA
すごく素敵!なかなかないよね、そこまでずっと喋っていられる人って。好きなタイプってどういう感じ?年上とか年下とか。
近藤
そんなの全然ないかな。一生懸命生きてる人が好き。
Ms.OOJA
じゃあ昔と変わったところはある?異性に求めるものとか。
近藤
やっぱり経済力かなぁ。それはお金持ちがどうとかじゃなくて、男の人自身が満足できるくらい稼げているかどうかっていうのは、その人の人となりが見えるというか、評価でもあるじゃないですか。それをちゃんと受けている人なのか、受けられるような努力をしている人なのかは見るかな。
Ms.OOJA
私も、好きになる要素が”尊敬できるかどうか”っていうところになってきてて。昔は全然そんなこと考えてなくて、見た目とか、なんとなく好きとかでよかったんだけど、今はそういうことだけじゃ全然好きにならない。
近藤
うちらとんでもないことを求めてるよね、付き合う前から(笑)。でもそれをなぜ思ったかっていうと、以前デートに誘ってくれた人がいて。その時30歳くらいの人だったんだけど、仕事が楽しくない、趣味もない、貯金もないって言われた時に、何のために生きてるんだ!?と思ったの。しかも、ご飯行こうって言われたから行ったけど、結局こっちが盛り上げてさ。本当に大変だよ。全然つまんない話でも、面白いようにする技術は持っているよ(笑)?
Ms.OOJA
面白すぎるから(笑)。
近藤
店決めないし、予約もしないし。「女の子には払わせない」って、お金だけは払ってくれたけど(笑)。
Ms.OOJA
疲れるね(笑)。男の人のほうが精神年齢10歳若いって言われてるから、いちばん差が出る年頃なのかも。
近藤
男の人って、人生に彩りとか求めないよね。豊かさとか。たぶん仕事がうまくいって、家庭があればいいみたいな感じ?でも女はそれだけじゃイヤじゃん。いろんなお喋りとかして、いろんな感動を覚えたいし。
Ms.OOJA
自分はロマンチストだと思う?夜景とか好き?
近藤
夜景を見ると、そこで働いている人とか想像しちゃってダメなんだ(笑)。
Ms.OOJA
(爆笑)。
近藤
どれだけの電力があって、そこを今も管理している人がいてとか。残業してる人は残業代もらってるのかなとか、そんなこと考えちゃう。ダメだね、全然ロマンチストじゃない(笑)。
Ms.OOJA
それ、四日市の人の発想だよ(笑)。私も、コンビナートが大好きだってことに最近気付いて。
近藤
わかる!好き!
Ms.OOJA
テンション上がるんだよね、見ると。コンビナートの中の見学とかすごくしたい!
近藤
したいしたい!工場見学とかも好きだよね?
Ms.OOJA
好き好き。でっかい鉄骨とか見るとテンション上がるんだけど(笑)。それに気づいたんだよね、最近。私ってこういうのが好きだったんだ!って。
近藤
一緒!いま、すごい型どったよ(笑)。なるほどそうか!自分はなんてロマンチックじゃない人間なんだろうって思ってたけど、プラスの話だったんだね。よかった。一瞬おじゃが名探偵コナンに見えたよ(笑)。
Ms.OOJA
あははは!
近藤
人と共有するって、こんなに感動するんだね。男だったら惚れてたよ(笑)。
Ms.OOJA
思いがけない共通点がみつかたりしたけど(笑)、歌詞はどんなテーマがいいと思う?
近藤
いや、実はメモったんだよ。恋愛の歌で歌詞を書くってどういう感じでやるんだろうと思って。
Ms.OOJA
恋愛こそ、人生においていちばん欠かせない人間らしさだったりするからね。人間らしさがいちばん出る。
近藤
(スマホを見ながら)「今は上手な逃げ方を知ってる」って書いてる(笑)。あとこれはこの対談とは関係なくメモったものだけど、「自分から意志をもって近づこうとすると、全く別の景色が見えてくる」。「欲がない人間になりたい」っていうのもある(笑)。うち、何しようとしてるんだろう(笑)?
Ms.OOJA
欲、あると思う?
近藤
めっちゃあると思う。2〜3年前かなあ。それにぶち当たってね。自分の欲に。昔はテレビに出たい、売れたい、それなりの生活をしたいと思って10年ぐらいかけて頑張って、それが叶ったわけじゃん。そしたら、また違う夢が出てくるというか。いい意味で言うと向上心があるってことなんだろうけど、それって永遠に続くんだなって思った時に、私はなんて欲深い人間なんだろうって思ったわけ。欲が、よくないものだと思ってるから。だって充分じゃん、ここまでで。一般的に見て万々歳の結果を残しているのに、それでもまだ私は満足しないんだと思うと怖くなった。
Ms.OOJA
欲があるから楽しいところもあるしね。欲しいものがある時とか、それを手に入れるまでがいちばん楽しかったりするし。恋人になるまでとかね。そこまでの過程が楽しかったりするから、それを手に入れちゃうと、その過程をもう一回楽しみたいってなるんだろうね。
近藤
堂々巡りやな。
Ms.OOJA
死ぬまで続くんだよ。でも100歳まで生きると、そういうのを全部解除するというか、ある意味悟りを開いた境地になれるらしいよ(笑)。
近藤
100歳かぁ。別に長生きはしたくないんだよな。
Ms.OOJA
太く短く。じゃあ、将来の理想ってある?
近藤
笑って死にたい。それだけ。これはもう昔から決まってるの。病床で「楽しかったな、人生!」って言って死にたい(笑)。だから、その過程はなんでもいい。
Ms.OOJA
将来の不安とかは?
近藤
えー?それがねぇ、なんとかなると思ってるからなぁ。楽観的なのよ、たぶん。末っ子だしね(笑)。自分は恵まれてるって、ちゃんと思ってるし。人に良くしてもらってるし。それにね、上手にあぐらかいて生きたいよ(笑)。

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