LUNA SEA
オリジナル 9th アルバム
『LUV』インタビュー
J
最初のうちはやっぱり、霧の中というか...
――これまでのどのアルバムとも似ていない、新しさを感じる作品でした。つくり終えた今、Jさんの手応えはいかがでしょうか?
J本当に、いい感じのアルバムができたと思います。今回のアルバムでLUNA SEAは新しい世界に突入していったんだな、と聴けば聴くほど思うよ。次のページにストーリーが進んでいった感じがするね。メンバーでお互いキャッチボールをしながらセッションをしていく段階では、まだ点だったんだよね。でも、その点がどんどん線になって、形になっていって。どういう形になっていくか? それはつくっている最初のうちはやっぱり、霧の中というか、探り探りでね。そこで崩れていってしまったり、形にならなかったものもあったりしたし。そういう作業を繰り返しながらのレコーディングだったから。やっぱり、出来上がった今、達成感はすごく感じるよ。
――Jさんが原曲を手掛けられた2曲の新曲は、いずれもフレッシュな印象でした。どんな思いで持ち込まれた曲たちだったんですか?
Jバンドとして次の世界に進んでいくエネルギーを持つ曲にしたいな、と思っていたんだ。それは決して難解なことに挑戦する、という意味ではなく、むしろ全く逆で。実は、誰が弾いても演奏できるような曲で、それでも俺たちらしいグルーヴ感やメロディー、世界観をつくれるような曲があっていいんじゃないかな?って。前作をつくり終えた後、俺はそう思ったんだよね。そんな曲を手にすることによって次のフェイズに入っていける、次のステージに上っていけると感じたんだ。上手く言えないんだけど…「LUNA SEAとはこういうものだ」みたいな世界のその先というか。決して否定という意味ではなくて、俺たちだからこそできるものを、最大限シンプルに表現できる曲があったらカッコいいな、と思ったんだよね。
――前作『A WILL』をつくり終えた後、「自分たちが鳴らせばLUNA SEAらしくなる」という確固たるものが更に強まったからこそ、でしょうか?
Jうん。当然、それは自分たちがしてこなかったことをする、という話ではなくて、“自分たちが歩んできた、その先にある場所”でなければいけないんだけど。シンプルな世界の中で強く響くようなもの、というのを今回は自分の中でのテーマとして、曲を書いてバンドに持っていったかな。
――「Brand New Days」はアレンジも含め、シンプルでストレート。他のメンバーの皆さんにもJさんのそういった想いは伝えた上で、アレンジを編み上げていかれたのですか?
Jそうですね。デモを聴いてくれた段階で、その曲が持っている、向かって行こうとしている場所というのはたぶん、皆すぐに捉えてくれたと思う。そこで俺が言いたかったのは、抑えきれないような想い・衝動みたいな部分を“今の”俺たちがバンドとしてどう表現していくのか? そういうことを表したかった曲なんだってこと。だから、難しいことは必要ないし。かといって、それを表現するのは簡単か?と言ったらそうでもなくて。色気とか説得力とか、バンドとしての力量が備わっていないとできないものだし。でも、今の俺たちだったらできると思ったから、俺はそれをしたかったんだよ。
――その確信は、『A WILL』のリリース後に全国ツアーをするなど、バンドで生で音を鳴らし合う機会が増えることによって強まった部分もあるんでしょうか?
Jうん、そうでしょうね。ただ、REBOOT(2010年の再始動)からずっと歩んで来た時間…『GOD BLESS YOU 〜One Night Déjàvu〜』から10年ですからね。その中で自分たちが築き上げてきたもの、再確認してきたもの、守って来たもの、壊したくなかったもの、そういうものはLUNA SEAとして、一つの形をつくり上げられたのではないかな?と、『A WILL』 をつくり終えた段階で既に思っていたんですよ。俺個人としてはね。当然LUNA SEAとして、“LUNA SEAとは?”と自問しながら曲をつくっていくわけだから、いろんなことに慎重になる部分もあったよ。でも、慎重になること自体が何かを奪っていく部分もあって、表裏一体なんだよね。よくよく考えてみた時に、このままだと次の世界へ飛び込んでいくことはできないなって、正直、ちょっと感じてた自分はいたんだ。それが何を意味するのか?についても考えたし、悪いことばかりじゃないとも思うし。そういう意味で、今回のアルバムは、『GOD BLESS YOU 〜One Night Déjàvu〜』からずっと積み重ねてきた中での、弾き出された答えであり、今の俺たちの形。そういったものを爆発させられたアルバムになったんじゃないかな?と思うよ。