LUNA SEA
オリジナル 9th アルバム
『LUV』インタビュー

INORAN

昼間に見える月でもいいんじゃないの?と俺は思っちゃう

――メンバーの皆さんのデモを聴いて、変化や進化を感じる部分はありましたか?

INORAN俺は、『らしいな』と思いました。もちろん皆挑戦とか進化もしていると思うんですけどね。らしさというのは別にテンポでもないし、音像でもなくて。でも、SUGIZOならSUGIZOっぽい、JならJっぽいクセがやっぱりあるので、どんな曲が来ても「あ、“〇〇っぽいな”」って。そこに俺はフォーカスを当てました。アレンジをする過程でも、皆こだわるポイントが違っていて、面白かったです。途中、いい意味でぶつかり合うこともあったし。でも、そこにこだわっているからこそ“らしい”んだろうしね。全体的に楽しかったですよ。

――INORANさんのつくられる楽曲は今、光に満ちたモード、という印象を受けたのですが…?

INORANどうなんでしょうね? LUNA SEAで言うと、満月とか新月とかじゃなくて、昼間に見える月でもいいんじゃないの?と俺は思っちゃう、というか。たまに見えるでしょ?

――はい、うっすらと見えます。

INORANそれでもいいんじゃないのかな?と思ったりして。

――受けるイメージは違っても、月は月だ、ということですか…?

INORANそうですね。要は、「どう思うか?」ってことで。物事の配置とか出来事じゃなくて、どんな風景を見ても、どんなことがあっても「心が躍ればいいんじゃないの?」って。そういうことを、題材をLUNA・月に譬えて言ったんだけどね。光に満ち溢れてるのかどうかは分からないけど、俺はたぶん、雨の日よりは晴れの日のほうが今は心が躍る、というか。雨の日も落ち着くし嫌だとは思わないけど、「やっぱり天気がいいほうが気持ちいいな」と思ってるのかもね、もしかしたら。だからそういう曲調なのかもしれない。あとは、自分だけでアルバムの全曲をつくるわけではないので、皆のつくる曲の「らしいな」という部分もなんとなく感じながら、「じゃあ、俺のポジションはここだろうな」という曲調とか、曲のタイプとか。そういうことは思ったかな。俺がJやSUGIZOみたいな曲を書いてもしょうがないし、他の4人がいるから今俺がこういうふうに好きにできる、という部分もあるじゃないですか? そういうことも踏まえて書いたかもね。

――ある種の役割分担はあるにせよ、ソロでの表現の仕方・曲の雰囲気と、LUNA SEAでのそれと、いい意味であまり分けることなく、自然に両方をなさっているモードのように感じます。

INORANうん、その通りだと思います。どこに行っても楽しさを求めること、高揚感を求めることは一緒なので、あまり変わらないですね。

――それは昔からですか? 最近そういう意識が強まったのでしょうか?

INORANまぁ、徐々にですよね。いろんなことに挑戦して、いろんなことにぶつかって、いろんなことがなくなって、いろんなことを発見して…それがキャリアなんじゃないですかね。自分の足元の地層というか、川というか。

――『A WILL』リリース後は全国ツアーを廻られるなど、ライヴで音を重ねる機会が増えましたよね。その時に感じたこと、気持ちの変化が今回の楽曲群に表れている、という部分もありますか?

INORAN多少はあるでしょうね。これはLUNA SEAの5人に限ったことではなくて、何でもそうだと思うんですけど、生きていく上で、「時間はすごく尊いものだな」とツアーをしていて感じたんですよ。SUGIZOがよく言うんだけど、誰か一人が欠けたらこの風景はないなって。だからこそ、5人でいたり、ファンやスタッフの皆といたり、そういうことを大切にしていこう、と…それはツアーで一番感じたことですね。奇跡とまでは言わなくても、それに近いものだし。だからこそ、時間の観念がすごく変わったと思う。

――それは、年齢を重ねてうることによって高まった意識でもあるんでしょうか?

INORANうん、それもあるんじゃないですか? 年を重ねたことで、死も意識し始めたりもするし…だからこそ、その時を楽しめるというか。そういう気持ちを共有しなきゃいけない、というのはありますよね。

――『GOD BLESS YOU 〜One Night Déjàvu〜』(※2007年の一夜限りの復活)から10年という長い時間が経ちました。その中でLUNA SEAへの想いが激的に変わったポイントはありますか?

INORANどこで変わった、というのはないですけど、やっぱり特別で、格別だよね。ライフワークというか、そういうポジションになりましたよね、バンド自体が。“ない”ってことはあり得ない、というか。それは活動ではなくて、LUNA SEAという 存在がね。メンバーもスタッフも皆それが分ってるし、誇りを持ってもっと育てていく、ということかな? 意図的に止める必要もないし、意図的に動かす必要もないしね。不思議な活動のタームではありますけど(笑)。それは音楽の神様にしか分からないこと。だから、尊いものなりに大切に、できることをやる、という感じですね。

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