LUNA SEA
オリジナル 9th アルバム
『LUV』インタビュー

RYUICHI

曲が出来た瞬間「あ、これはLUNA SEAに合いそうだな」

――今作のRYUICHIさんの歌声はますます極まっている、と感じ入りました。「Hold You Down」のインタヴューでは、何度もテイクを重ねるよりはライヴ感を大事に歌った、とお話しされていましたが、アルバム全体もそのスタンスだったのですか?

RYUICHIそうですね。基本、ファンの人たちが目の前にいるライヴを思い浮かべるとボルテージがアップするし、気持ちも入るんですよね。とにかく「失敗は許されない」と思ってマイクの前に立たないと。レコーディングだから3回でも4回でも歌えるんだよ、という気持ちだと、何と言うか、器用につくったものになってしまう気がして…。メンバーも、特にJなんかは、上手さだけではない熱、「ちゃんと魂震わせてるのか?」ということをすごく気にしいてると思います。歌を録っている時に傍にいてくれる際、「俺、ちょっとここ気になってんだけど、Jはどう?」「いやいや、RYU、これ以上詰めなくていいでしょ」みたいなやり取りがありますから。「息吹があればいいでしょ?」というニュアンスは、言葉にはしなくても、すごく伝わってくるんですよ。直していけば綺麗には整うけど、それはロックという意味で言うと耳触りが良すぎて、パンチや情熱に欠けているのかな? と。それはいつも思ってますね。でも、時間を掛けて苦労して歌った曲もありますよ。

――例えばどの曲でしょうか?

RYUICHISUGIZO原曲の、「闇火」ですね。低いキーから高いキーまでいろいろな声を使っているんですけど…使うマイクというのは、分かりやすく言うと、A、B、Cのうちピタッとその曲のキー帯にハマれば、ほぼ全部Aで行けちゃうので、迷わないんですよ。だけどこの曲は、平歌に合わせてBのマイクを使ったら、「サビはやっぱりAのマイクがいいな」とか、「ヘッドアンプを変えてみよう」とか…。いろいろ考えて、「歌詞が悪いんじゃないか?」「言葉数の問題かな?」と思って書き直したりもしたし。最終的には気に入ったテイクが録れましたけど、難しかったですね。

――SUGIZOさんのヴォーカル・ディレクションにはどういう特徴を感じましたか?

RYUICHI音の正確さに関しては、注文を付けたら彼が一番うるさいんだと思うんですね(笑)。元々クラシック畑で育っているから“絶対音感”もあるし、シビアな耳を持ってるので。でも、SUGIZOも「RYUが気持ち良く歌ってくれていることが一番大事なんだ」とは言いますね。気持ち良く歌っているものを聴いた時は、細かいことはあまり気にならない、と。そこはもしかしたらINORANも真矢も一緒なのかな? 少しでもそこに迷いがあったり探っているように聞こえたりすると、音程やリズムといった部分も気になっていくんですよね。

――RYUICHIさん原曲の「piece of a broken heart」と「So Sad」も収録されています。ソロ活動も盛んになさっていますが、「この曲をLUNA SEAに持って行こう」という割り振りは、すんなり決まったのですか?

RYUICHI今回は過去のものも含めて、たしか3、4曲出したのかな? 曲が出来た瞬間「あ、これはLUNA SEAに合いそうだな」というのは分かるので、それを皆が聴けるストック・リストのバンクに入れておくんですよ。最近はSUGIちゃんに「興味があったらちょっとギターアレンジしてもらっていい?」とお願いしていて。「俺RYUの曲やるの好きだから、やるやる!」みたいなことを言ってくれて。そこからSUGIちゃんがアレンジすると、当然ギターワークなどがLUNA SEAらしくなっていって、次第にテンポやその他いろいろなものが決まっていくんですね。それで最終的にアルバム収録曲を選ぶ時に、「この曲とこの曲」という感じで選ばれた、という経緯です。

――「piece of a broken heart」はヴァイオリンがフィーチャーされていますが、これはRYUICHIさんからのリクエストではないのですか?

RYUICHIこれはSUGIちゃんのアイディアなんです。すごく無責任に聞こえるかもしれないですけど、僕は自分の曲に対して「絶対こうじゃなきゃヤダ!」みたいなのがもう、ゼロなんですよね。雰囲気さえ残ってくれれば、どんどん変化して、LUNA SEAらしくて「ライヴでやることを楽しい」と思ってもらえるアレンジになったほうがいいですし。そうしないとソロワークのテイストに似てきてしまって、「わざわざLUNA SEAでやらなくていいじゃない?」と思いますからね。やっぱり「5人で音を出してるよね?」ってことなんですよ。フレーズは、何かの時にふと出て来る癖みたいなもので、それがLUNA SEAらしさを形成している一つの柱になっていると思うんですよ。

――では「So Sad」も、アレンジへのリクエストはなかった、ということですね。

RYUICHIうん、そうですね。ずっとアルバムを通して聴いてくると、ここでちょっとほっこりするような曲になりましたね。僕の中で、この曲の核になっている匂いは、昔々「LASTLY」(『EDEN』収録。1993年)の原曲のデモテープをつくった頃のイメージなんです。どんな歌詞で歌っていたかも覚えてないんですよ? ただ、「LASTLY」の完成形ではなくて「LASTLY」が生まれた時の感じだな、と勝手に思ってつくっていた曲です。切ない歌詞なのに温かくなるような歌詞ですよね。曲の感じがそうさせるんですかね?

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