LUNA SEA
オリジナル 9th アルバム
『LUV』インタビュー

RYUICHI

愛ってなかなか思うようにはいかないじゃないですか?

――ヴォーカル同様、RYUICHIさんの歌詞も進化を極めていらっしゃいます。愛の多面性を描く深みがあり、作品に奥行きを与えていると感じました。

RYUICHILUVというタイトルは、最初、この歌詞たちを生み出す最中に核にしなきゃいけない言葉として自分が抱いてたものなんですよね。日本は平和な時でも世界のどこかでは戦争が起きていたり、餓死している子どもがいたり…当然、日本でもいろいろな災害が起きていたりもしますし。また、マクロではなくて一対一の恋愛を考えていった時でも、やはり人の心というのがあるから、愛ってなかなか思うようにはいかないじゃないですか?

――本当にそうですね…。

RYUICHI時にすごく無常だし、切ないものだし、時にすごく温まって、これ以上ないものだと思わせるものだし。でも、裏切られたり裏切ったり、時の流れと共に人の心が移りいく瞬間もあって。だから、なかなか征服し得ないものが愛であり、そこが“LUV”に繋がっていってるのかな?と思います。世界中にこれだけ人間がいて、ライヴというのは本来すべての人に向けてチケットをリリースしているわけですけど、「とてもライヴなんか観てる場合じゃないよ」という人が何億人も、何十億人もいる現実を考えると、本当の幸せ、本当の終着点はどこなんだろうな?と考えてしまうんです。死までの間、常に移り行くアップダウンが人生にはあって。当然、すごく幸せな時も、悩んでいる時も、寂しい時も、いろいろな時があるわけですよね。今回はそういった「未だに真実を掴み切れてない」ということを書きたかったんです。

――愛に到達点はない、ということ。それこそが答えなんでしょうか?

RYUICHIそうですね。愛というものと向き合った時に、自分の価値観をしっかりとフォーカスして何かを信じて、信念を持ち、想いをそこに集約するというのは、もう絶対条件だと分かってるんですよね。それを伝えた時、社会や、対一人の人間に響けばシンパシーが生まれて、手を繋ぎ合ったり抱き合ったりするわけだけど…。自分の中のフォーカスしている目標が、じゃあ20年、30年、40年と永遠に変わらないのか?というと、そこにもまた変化が訪れるんですよね。逆に、子どもの頃は信じられなかったものも、その裏側の真実を知って「こんなに憎む必要なかった」と思えてくるものもあるし。じゃあ、「すれ違いなんだ」「誤解なんだ」とか、「対話が足りなかったんだ」とか、いろいろ言えるんですけど…でも、それだけではない何か大きな流れといものも感じるし…難しいですよね。

――では最後に、さいたまスーパーアリーナ2DAYS1月からスタートするツアーに向けて、一言お願いいたします。

RYUICHIこの数年、12月23日・24日と言えばLUNA SEAのLUNATICなクリスマスを皆が観に来る日になっていて、僕たちも1年で一番楽しみにしている瞬間なので、やはり楽しみたいですよね。いかに力まず、全部を出し切るか。「水に浸かったら体液が全部出ていっちゃった」みたいな感覚で(笑)、「音楽が始まったらそこに想いがすべて溶け出していって、楽しくてしょうがなかったな、今日は」と振り返るようなね。余裕ともまた違うんですけど、“リラックスした時間の本気”というか、スポーツ選手で言うところの“ゾーン”を見せられれば理想的ですね。ツアーをどういうものにするかは、これから5人で話し合うのでまだ分からないんですが、やはり各地の会場には色があって、音の違いもあるんですね。それをしっかりと受け止め、味方に付けながら廻っていけるのがいいですね。どんな会場であっても、「俺たち、もうこれだけ長くやってんだからさ。リラックスして全力出せるようにしなきゃマズいよね?」みたいな(笑)。なかなかうまくいかないのが実情ですけど、そうありたいですね。

(取材・文/大前多恵)

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