一条ゆかり先生インタビュー
一条ゆかり先生に特別インタビューを敢行!
今だから聞けるオペラを舞台にした名作「プライド」誕生の舞台裏を初公開!それでは早速スタートです。
第1章「プライド」ができるまで
Q:なぜ、舞台に「オペラ」を?
■「オペラ」ではなかった? プライドの舞台
今だから言えるんですが…実は、最初からオペラにしようとは思っていなかったんですよ。
「女のプライド」をテーマにしようとは考えていたんですが、具体的な舞台は決めていませんでした。
でも、物語の設定だけは決めていたんです。
それはハンデのある戦い。
一言で言うと「お金持ちのお嬢様」と、「超貧乏な女の子」が競り合う話。しかも、それを「お嬢様のフィールド」で競り合う。
1人はお金もあって環境もいい。言われたことはキチンと出来る優等生のお嬢様。
そしてもう1人は、お金も環境もない最悪の場所からのスタート。でも、そこから這い上がろうとする野心があって、手の届かない所へも「根性と企み」でグイグイのぼっていくタイプ。
この2人を軸にした女性のプライド勝負。それを描きたいな、とは思っていたんです。
■ヴァイオリンや乗馬?!どんなフィールドだと面白いかな?って考えていて…。
最初は「ヴァイオリン」とかも考えたんです。
でも、ヴァイオリンって形が複雑でしょ。描くのが大変そうだなぁ…って。次に考えたのが「乗馬」。ところが乗馬は紳士のスポーツなの。最終目標はオリンピックになるだから卑怯なことができないんです(笑)。
かなりハンデがある戦いなんだから、多少は「卑怯」なこともしなければのし上がれない話を書きたいのに、紳士のスポーツでは…それができない!
今度の作品は、実力勝負の世界で、少々のことなら皆が目をつぶってくれるフィールドじゃなきゃダメなの。
そんなシチュエーションって、どんな世界がいいのかなって考えていて…。
■そうなるとやっぱり芸能界なのかなという感じで、なんとなく芸能系に絞っていたんです。
実は取材も少し始めていて、「スターはどう作られるのか?」なんかも、取材してて結構面白かったんですね。
でもある日の深夜、仕事中につけていたテレビが、たまたまオペラ歌手を取材した番組をやっていたんです。
ある女の子がオペラ・コンクールで歌うまでの1年を追っていて、この子が1位になるんだろうなと思って見ていたんですれど、結局1位を取れなかったんです。
でも、凄く面白かった。
そのコンクールに参加する人の思いも強くて、いろいろなドラマがある。
ちょっと意地が悪いところもあったりしてね…みんな相当、根性が入っているんです。
見ているうちに引き込まれて、「凄い世界だなぁ…」と感じたんですね。
それで、「ああ、これだ!」って。
■映像やPVはやり直しができる世界。でもオペラは…。
オペラの勝負はすべて生の舞台。
やり直しがきかない世界。その時失敗したらそこで終わり。 普段ちゃんと出来ていても、その時出来なければアウト! すごく足を引っ張りやすい、ありがたい設定ですよね(笑)。
その緊張感が面白かったんです。気合いも凄いし。
■最後の決め手は…
でも、最後の最後は「服装」で決めました(笑)。あのドレスで歌うところが「お姫様」みたいだなって。豪華だし派手だしね。
少女漫画にはもってこいでしょ?