リレー・コメント 森田 一浩 (もりた かずひろ)

森田 一浩 (もりた かずひろ) 作曲 /  編曲

~ Profile ~

作曲家。東京芸術大学にて故・長谷川良夫氏に作曲を師事。管弦楽からギター独奏まで幅広いジャンルに作品を発表するいっぽう、多方面にわたるスタジオ・セッションのための作・編曲を数多く手掛け、レコーディング・ディレクターとしても活躍する。主要作品には、クラリネット7重奏のための「エレジーア、リトミカ、サンバ・オスティナート」「オーバード」、ギターのための「バッハの名による3つのソネット」「6つの前奏曲」、ピアノ連弾のための「花時計」などがある。
「ポップ・ステップ・マーチ」(1985年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)、「ユングフラウへの前奏曲」「花時計」「ガリヤルドとフーガ」「十月のマナ」などの吹奏楽作品も発表している。1991年から94年まで日本バンドクリニック委員会委員をつとめた。98年、第8回日本吹奏楽アカデミー賞(作・編曲部門)受賞。

参加作品

第39集 ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2011 第27集 ニュー・サウンズ・イン・ブラス '99 第19集 ニュー・サウンズ・イン・ブラス '91 第12集 ニュー・サウンズ・イン・ブラス 第11集 ニュー・サウンズ・イン・ブラス and more...

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「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」の思い出

私が初めて【ニュー・サウンズ・イン・ブラス・シリーズ】にかかわったのは、1983年の第11集でした。編曲した作品は「ファンダンゴ」(あ~、懐かしい!)。まだ30代に入ったばかりの私は、当時このシリーズを制作していた東芝EMI(当時)の学芸制作で、、スタジオ・レコーディング用の作・編曲をいろいろやらせて頂いていました。それとは別に、クラリネット・アンサンブルや金管合奏の楽譜をたくさん書いていて、この2種のアンサンブルを一緒にすれば吹奏楽になるんじゃないかな~、などとまったく甘い考えから、吹奏楽の楽譜も少し書くようになっていました。
「君、吹奏楽の譜面も書くんだって? ウチにも【ニュー・サウンズ・イン・ブラス】っていう企画があるんだけど、だったら書いてみない~?」と気軽に声をかけてくださったのは、当時の担当プロデューサーS氏。吹奏楽1年生の私でも、もちろん【ニュー・サウンズ・イン・ブラス・シリーズ】はよく知ってますよ、そりゃ、吹奏楽界の登竜門のひとつだもの。だけど編曲陣は岩井直溥先生を始め小野崎孝輔氏、浦田健次郎氏、藤沢守(久石譲)氏など、超ヴェテランばかり。控えめで小心な私は「はい、左様ですか」とは応えられず「とても無理~」と逃げ出したのですが、S氏は「じゃあさ~、1年間勉強して来年やってみようよ~」。この世界、一度仕事を断ったら次はない、と先輩諸氏から教わっていたので期待はしていませんでしたが、1年後にちゃんと「どお~、今年は書けるかな?」と声がかかりました。のんびりした時代だったのかもしれませんが、プロデューサーS氏には感謝してます、はい(今や大御所となった真島俊夫さんは、私より1年早く登板。このシリーズを通じて親しくなりました)。

【ニュー・サウンズ・イン・ブラス・シリーズ】には、連続してはいませんが14シリーズ、全部で17曲の編曲を担当しました(特別企画は除く)。ライナー・ノーツは、かつてはシリーズの立ちあげからかかわっていた故・石上禮男さんが書かれていましたが、90年に引き継ぎ、7年間の中断を挟んで現在も続いています。曲種の幅が広いこの企画の解説を書くのは、正直言って資料集めなどがかなりシンドイんですが、“第1聴取者”として楽譜を見ながらテスト盤を聴くことができるので、編曲者として参加する以上に企画の推移、傾向が手に取るようにわかって面白いですね。
 来年は【ニュー・サウンズ・イン・ブラス・シリーズ】もついに40集目を迎えます。私が初めて参加してから約30年、編曲者の顔ぶれやスタッフ、そして録音方式も徐々に変化してきましたが、常に注目され、愛される企画であってほしいと願っています。

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